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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
33/76

爆霊蒼 エイジリングΩ

「やっほーツィン」

「シロン!大丈夫!?」


 あれから、シロンは3日もUAOにログインせず、学校でもどこか上の空だった。

 普段、能天気な彼女からは考えられないことである。


「うん、もう大丈夫。ごめんね、心配かけちゃって」

「気負わないでよ。親友でしょ」

「ありがとう。……ねえ、やっぱりアレって、そういうことだよね」


 シロンが回復できた要因として、ツィンがあるジャンルの漫画を差し入れしたことにある。


「……まあね。応援してるよ」

「ッツー」


 シロンは顔を真っ赤にして、ポカポカとツィンを軽く叩いた。

 町中にあるUFOの中にログインしたのでダメージは入らない。

 


「ふう。さーて、何しようかなー」

「アレじゃない?翔具」

「そう、それ!」


 [特能ツバサ]を手に入れて、自分に合った特殊能力を持つ、翔具を作り出す所だった。


「まずは、どの武器に[特能ツバサ]を使うか選ぶの」

「……どうしよ」


 候補は、シロンが霊力を使える要因である腕輪[エイジリング]か、霊力を感じられるようになる天冠[霊魂冠(れいこんかん)]の二つだ。

 適当に決めても良いのだが、彼女は優柔不断でもある。


「……私の翔具を見せてあげようか?」

「え、持ってるの?」

「うん」


 [特能ツバサ]は、グル参のダンジョンをクリアすることで得られる。

 シロンが休んでいる間に、ツィンもまだ挑んでいなかった人たちと共に、月のダンジョンに挑んだらしい。


「Fが思いっ切りモチを爆発させて、一回やられちゃったけどね」

「ハハハ……」


 ともかく、ツィンの翔具を参考にするために、野生のモンスターがいる宇宙空間へと向かった。

 空気がないはずの宇宙空間を、翼を広げて飛んでいく。

 この辺は運営の都合を感じる。


 数分進むと、宇宙空間に浮かんでいる人工衛星のモンスターがいた。

 太陽光パネルを翼の様に羽ばたかせて、アンテナの先っぽには目がついている。


「ESEI」

「……鳴き声『エイセイ』は無理があるんじゃないかな」

「余計なこと言わないの!」

「ESEI!」


 話が聞こえていたのか、激昂して突っ込んできた。

 ラウルの【宇宙ステーション】と同じように、電気を纏っていて、当たったら痛そうだ。


「丁度いいや。見てなよ。[双透刀(ソウトウトウ) シンテ()]」


 今気付いたが、いつの間にかツィンの刀は二本になっていた。

 彼女はその両方を抜刀し、両手に持つ。

 そして、迫ってくる人工衛星に向かって、


「〈ツバメ返し・麓恋(ロクレン)〉」


 一気に六連にまでなったツバメ返しを繰り出し、モンスターをバラバラにした。

 彼女は、少し自慢気に振り返り、


「これが私の翔具だよ」

「……ツバメ返しの量が増える能力?」

「違うよ!見て!」


 彼女は、二本の刃を重ねようとしたが……通り抜けた。


「ほらほら」


 次々に自分の体に刃を通すが、ダメージは入らず、衣服を切り刻むこともなく、透過した。

 さっきは人工衛星を切ったのに、自分の体や刀は切らない。


「これが私の翔具、[双透刀(ソウトウトウ) シンテゑ]だよ」


 彼女は、【ツバメ】の能力を活かすために、手数を増やしたいと考えた。

 それで、普通の双刀を使ってみたが、両手の刃がぶつかり合って使い辛く、なんなら伸ばした左手を、右手の刀で切ってしまった。

 意外と両手で刀を使うのは、難しいのだ。

 この問題点を解消するため、ツィンは自分の体を通り抜ける翔具を作り、自由に両手の刃が使えるようになったと。


「どうよ?」

「凄い!」


 シロンも、ツィンに習った方法で考えていく。

 まず、もう防御を上げるのは諦めて、攻撃特化にしたい。

 そのために……ジェットエンジンとドカーンと……もうなんか凄いのが欲しい!


「お姉さんから貰った天冠を変えるのも悪いし、エイジリングの方でいっか」


 呟いた瞬間、両腕のエイジリングが光り出した。

 光が収まった後、腕に嵌っていたのは[爆霊蒼(バクレイソウ) エイジリングΩ(オメガ)]となっていた。


「……なんか凄そうだね」

「でしょ!」


 試しに、近くにいた人工衛星に飛び掛か


ダッ!


 翼辺りから、ジェット機の様に霊力が吹き出し、凄いスピードで進んで行ってしまった。

 行き過ぎたということで、方向を調整し、今度こそ人工衛星に肉薄する。

 そして、新しいサブスキルを使用した。


「〈爆霊覇〉」


ドカーン!


 人工衛星君が、流し込まれた大量の霊力に耐えられなくなり、爆散した。


「……どういう能力よ」

「えっと、霊力を操りやすくなる?」


 ……忘れがちだが、あくまでエイジリングはゴミみたいなスペックで、その強さは、シロンの有り余る霊力によって成り立っていた。

 しかし、今回翔具となったことで、霊力が使いこなせるようになった。


 言ってみれば、これまでのエイジリングは豆電球で、[爆霊蒼(バクレイソウ) エイジリングΩ(オメガ)]は最新型LEDという感じだ。


ドカーン


「凄い凄い」

「……うん、すごい」


 一回長い棒を持って、二刀流ってやってみてくれ。

 意外とムズイから。

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