とある少女の恋愛事情
……ごめんなさい。なんか良く分からないけど、なんか読みにくいです。
最悪後書きだけ読んでください。
「フー、ギリギリでしたね」
「もう一人くらい欲しかったな。F以外で」
Fがいたら、モチが撒かれた時点で連鎖爆発が起こっていただろう。
「さて、ドロップアイテムを確認しますか」
「イエーイ」
ボスが消えて、モチから解放されたシロンは、真っ先にドロップアイテムに飛びついた。
そこには、予想通り虹色に光るモチと……あと一つよく分からない、鳥の羽の様な物があった。
[特能ツバサ]
「なにこれ?」
「さあ?調べるのも面倒です、アフターにツィンから聞きましょう」
「それでいいのか……」
◇
「ってことがあったんだ」
昨日はもう遅かったので、次の日、学校で芽衣に聞いてみることにした。
「……そのくらい、自分で調べなよ」
「いやー、仕事を奪ったら悪いかなって」
悪態つきながらも、少し嬉しそうに話し始めた。
芽衣によると、[特能ツバサ]を武器に使うと、翔具というという特別なものになるらしい。
翔具には能力が付与されていて、スキルを使わなくても燃える剣が使えるとか、髪飾りで変身能力を得られるとか、そんな感じ。
その能力も、なんとなく自分が願ったものになると。
要するに、今までほとんど差がなかった武器に、自分に合った能力を付与できるということだ。
「でも、私の武器たちは、元から能力が付いてたよ?」
「さあ? 先行体験でもしてたんじゃないの?」
「……まあいいや。今日すぐ入れる?」
真白としては、今すぐに帰って、すぐにUAOにログインしたい気分なのだが。
「ごめん、今日の帰りは遅くなりそう」
「えー、どうして?」
「これよ」
ドン!
教室に掲示されていた、一枚のポスターを叩いた。
それは、生徒会イベントの告知。
内容は……京都の某映画村にある日本刀を使った劇を、この学校の生徒会長と副会長が演じるらしい。
これが入学時に楽しみにしていた、月に1度のイベントだ。
ちなみに、先月は謎のス〇ブラ&マ〇カ大会が行われ、真白は1回戦敗退。
芽衣は良い所までいったけど、後に優勝する化け物カズヤにボコボコにされた。
「とにかく、面白そうな劇を見るから、今日は遅くなる。真白も見ていったら?」
「そうだねー」
UAOをしたい気持ちもあったが、月に一度しかない生徒会主催のイベントを優先することにした。
◇
学校で勉強し……ほとんど勉強ではなく、芽衣や他の友達と喋るだけだったが、イベントが始まる午後8時となった。
ほとんど全員の生徒が学校に残って、劇が行われるというグラウンドを、各階のベランダから眺めている。
「そろそろ始まるかな?」
「ん、アレ見て!」
芽衣が指さした先には……暗闇で顔が見えないが、誰かが階段を降りて、グラウンドの中央へと進んで行く。
その顔を見ようと、目を凝らしながらベランダに身を乗り出して……危ないからと芽衣に引っ張られる。
運営の方も、見えにくいのは分かっていたのか、屋上からスポットライトが当てられた。
その人物は……巫女服の様な着物を纏い、帯刀したこの学校の生徒会長だった。
入学式の時にも見たが、やはり綺麗な人だ。
彼女は、服に挟んでいた扇子を広げ、
『人間五十年……』
なにか良く分からないが、凄い舞を始めた。
長い髪と垂れた振袖がなびき、緩急のある劇が、客達を引き込む。
「……?なにこの音楽」
「知らないの?桶狭間の戦いの前に、織田信長が舞ったと言われる、結構有名なやつだよ」
「へー」
「まさか、桶狭間の戦いを覚えてない?」
「……あれだよね、織田信長がザビエルを倒したっていう」
「……うん、そうだよ」
珍しく芽衣が匙を投げた。
とにかく、会長の美しい舞が続いていき……途中から刀も使って、華やかな幕引きを迎えた。
鑑賞していた生徒たちが、多くの拍手を送る。
真白と芽衣も、笑顔で大きな拍手をした。
「凄かったね」
「……いや、まだ終わらないみたいだよ」
疑問に思った真白が、芽衣の視線を追ってみると……鬼がいた。
「芽衣、鬼だよ!鬼がいる」
「よく見て!ただのお面だから」
どうやら、お面を着けただけの、普通の人らしい。
彼(鬼)はこれまた帯刀していた刀を抜刀しつつ、巫女服の会長に向かって歩いていく。
BGMも変わり……某鬼狩りアニメのオープニングが流れ始めた。
「あ、本編こっから?」
キンッ
BGMが早くなった瞬間、鬼が横薙ぎに刀を振るい、会長が上段から刀を振り降ろした。
基本は会長が押して、刀回しやバク宙などで、一つ一つの行動に歓声が上がる。
しかし、アニソンがサビに差し掛かった頃。
ギン!
刀の応酬が一気に激しくなった。一気に金属音が5倍くらいに増える。
少し火花も見えてきた。
鬼が横向きに刀を振り、下からそれを受け止めた会長が、一瞬鬼の刀を止めて、彼女の体を射程外にどかしてから、振り上げた刀を振り降ろし、鬼が間一髪で横転する。
一泊置いて、鬼が全力で刀を振り上げて……会長の刀が真上に飛ばされ、一瞬彼女は素手になった。
だが、刀がなくても、彼女は鬼の刀を全て避けきり、たまに刀の側面を殴って軌道を捻じ曲げる。
そして、刀が落ちて来る時に飛び上がり、真剣なのにも関わらずピッタリ柄を握って、そのまま俺に振り降ろし……ギリギリ斜めに流した刀が、お面の片角を切り落とした
サビも終わり、アニソンもクライマックス。
両方一歩引いて、俺は刀を振り上げ、会長は一旦刀を鞘に収めて、抜刀術の準備をする。
「ハッ!」
「ヤア!」
鬼の首に、思いっきり刀が振るわれ……彼は倒れた。
真剣を使っていたので、鬼の生死が不安だったが、会長が蹴るとすぐに起き上がって仮面を外し、会長と共に頭を下げた。
鬼は生徒会副会長だったらしい。
先ほどよりも、大きな拍手が巻き起こった。
「凄かったね。……真白?」
芽衣が真白の方を見ると……ベランダの端でうずくまっていた。
「……何やってんの?」
「なんでもないよ」
体調でも悪くなったのかと、顔を覗き込もうとしたが、真白は力ずくで振り払う。
しかし、あることに気付いて、芽衣は放っておくことにした。
何故なら、壁に反射した真白の表情は、少女の顔をしていたから。
とりあえず、なんか生徒会の人が凄いことをやって、真白にあるの感情が灯ったと思ってくれれば結構です。
ちなみに、敦盛は刀を使いません。




