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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
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赤点と爆炎のスペースデブリ

「須藤」

「はい」


 前の席に座ってた人が、先生から1枚の紙を受け取った。

 チラっと中を覗いて、すぐにいつものグループに合流する。


「ねえねえ、どうだった?」

「まあ、平均くらい。今回あんまり勉強してなかったから、仕方ないかなー」


「空峰」


 ……ついに、真白の番になった。

 神に祈りながら、ゆっくりと噛みしめる様に先生の元へと歩いていき、折りたたまれた数学のテストを受け取った。


 ある人は言った、「信じれば必ず救われる」と。

 ……ちょっと見えてしまった左側の3の文字にショックを受けつつ、出てきた点数は32点。

 ちなみにこのクラスの最低点は4×8点だ。


「どうだった?」

「……(パッ)」


 横からやって来たツィンこと芽衣が、点数を覗き見しようとしてきたが、UAOで鍛えられた反射神経で隠した。

 

「見してよー」

「……ちょっと、紛失しちゃった」

「いや、手の中にあんじゃん……え、32?」

「キャー!!」


芽衣 83点

蘭丸リムス 67点(平均)





 帰ってすぐに鞄を投げ出し、ゲームのハードを握った。

 ……真白は、文系なのだ。


「ログイーン!」


 テスト週間はUAOを親に禁止されていたので、実に1週間ぶりにUAOにログインする。

 アップデートもあったらしいので、とても楽しみだ。



 次に目を開けた時には、いつもより少し閑散とした、ピポ弐アにいた。

 ツィンやリムスもすぐ来るらしいので、色々と新しい情報を追って、時間を潰しておく。


「お、シロンやん」

「Fじゃん!やっほー」


 Fもやって来た。


「何や? お前もテストやったんか?」

「ワー!」


 大音量のシロンの声が、Fの言葉をかき消した。

 通行人が時間が止まったように静止し、何事もなかったように過ぎ去っていく。


「……もうなんか全部察したわ」

「あ、赤点はなかったから」

「いや、数学赤点だったじゃん」


 背後から聞こえてきた声に振り返ると、若干呆れ顔になっているツィンと、少し動きが硬くなりながら並飛するリムスがいた。


「え……数学の欠点って何点からだっけ?」

「確か、平均の半分だから……34か33ってところかな?」

「……ねえねえ、今回のアップデートって何が追加されたの?」

「こいつ、強引に話題変えたぞ……」


 これ以上テストの話題を続けていると、シロンのライフが消し飛びそうなので、本格的にUAO の話に入った。

 

「えっと……第3の町、グル参が追加されたらしいよ」

「いいじゃん、行こう行こう!」

「場所は、どこなんでしょう?」


 リムスの質問に、ツィンは人差し指を上げ、


「上よ」

「また空中?」

「いいや、もっと上。宇宙よ」



 ツィンに連れられて、宇宙空挺都市グル参へと続く、宇宙エレベーターの様な金属の管へと向かった。

 地上から天空へと(そび)え立つそれは、とても重厚で、宇宙へと届けだしてくれそうな安心感がある。


「ここにいない《チーム・スカイマウス》のメンバーは、もう行っちゃったらしい」

「あれ……ヒロとか学生じゃないの?」

「あいつはキャンパスライフの大学生やから」

「……単位ヤバいって言ってた」


 どうやら、うちの男子組は結構仲がいいらしい。

 あと、中二の深淵は不登校なので心配ない。


「さっさとグル参に行って、みんなと合流しよう」

「そうだねー」


 4人で金属の管の中に入っていき、遥か上空にあるグル参を目指す。

 だが、素通りさせてもらえるほど甘くはない。


「GOMI!」


 リムスのBGMを聞きながら、大気圏を突破しかけた頃、鉄くずみたいなモンスターが出現した。

 もちろん羽もついてる、ゴミ鳥だ。


「GOMIII!」

「うわあ!」


 本物の宇宙ゴミの様に、一直線に突っ込んできた。

 スピードが無いリムスの方に行ったので、余裕があるシロンが横から〈霊破〉を入れ、直撃だったルートをずらす。


「あれ……思ったよりダメージ入らない」

「金属だから硬いんでしょ。F」

「〈炎弩〉」


 シロンの〈霊破〉では2割くらいしか入らなかったが、Fの魔法はあと8割を削りきった。


「やっぱり鋼タイプには炎タイプだね」

「そうやなぁ。〈炎纏い(ファイア・ポーター)〉」


 Fが、シロンとツィンに炎を付与して、炎タイプに変わった。


「「GOMIII!」」

「〈ツバメ返し・弐連〉」

「〈霊炎破〉」


 新しく出てきたゴミ鳥を、熱を纏った長刀が3つに切り刻み、炎を帯びた霊力が……ドロドロに溶かした。

 人数が少なかったので、少し不安だったが、これで火力は足りそうだ。


「〈超音波〉……前方に、群れがいる。多分それ倒したら終わり」

「〈炎纏い〉切れる前に、さっさと行こう!」


 シロンの言葉に頷いて、ずんずん進んで行くと……宇宙ゴミ問題を風刺しているような、ゴミ鳥の群れがいた。


「群れ、です」

「いや、確かに群れだけどさぁ……」


 陰キャによくある、情報伝達不足である。


「GOMIIIAAAA!」×無限

「ヒー!」


 流星群の様に降り注ぐゴミを、


「〈ツバメ返し・散連〉」

「〈霊炎纏い〉」


 ツィンの返しと合わせて2倍の斬撃と、霊破ではなく、攻撃範囲を大きくする〈霊炎纏い〉で広い範囲を防ぐ。

 だが、今は前から降って来るだけだが、一回通り抜けた奴が、背後から突進されると辛い。


「ッチ、あれやるぞリムス、合わせろ!」

「は、はい」


 BGMだった音楽が、聞いたことあるような曲に変わり……山場に入る瞬間。


「〈爆音奏撃〉」

「〈炎纏い〉」


ダーン!


 爆音が響き渡り、辺りの生物全てにダメージを与えた。

 ゴミ鳥達に一律で3割ほどダメージを与え、シロンに7割ほどダメージを与えた。


「ねえ、私にもダメージ入ったんだけど!?」

「あー、すまん、耳栓つけててくれ」


 もう少しでまた曲の山場に入るので、慌てて耳栓を装着した。

 ツィンは既に着用していた。


「さて、もう一発や!」


ダーン!


 また3割削り、シロン達がダメージを与えたゴミ鳥達は消し飛んだ。


「オラ、ラスト行っくぜぇぇぇ!」

「乗って来たなぁ」


 一層大きな爆音が響き渡り、全てのゴミ鳥を倒した。


「うわー、すごい経験値入ってくんな」

「数が数だからね」


 とりあえず、待望のグル参に到着した。

 ……普通は一点突破で、全部討伐したりしないんだけど。


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