第二形態ヘルフレアドラゴン
「一旦離れるよ!」
「うん」
「オウ」
ツィンの号令に頷き、近接攻撃をしていたシロン、ツィン、ヒロの3人は、一旦下がることにした。
黒く染まったヘルフレアドラゴンは、やはり初手に口を開き、黒い珠を作り出す。
「散開!あとリムス、バフ最大」
「任せとけぇぇぇ!」
ギターの弦が心配になるくらいに演奏が激しくなり、曲の音量とスピードが上昇した。
それに伴い、バフの効果も上昇する。
「ハッシュは奔流を最大出力、シロンは〈ノックバック〉を惜しみなく使って」
「い、イエス」
「そんなに?」
シロンの疑問を打ち消す様に、ドラゴンは黒いブレスを発射した。
さっきの赤いブレスより、範囲、威力、スピード共々上がっている。
「〈ノックバック〉」
「〈大気の奔流〉」
ブレスの範囲内には、シロン、ツィン、F、ユー、ラウルの5人が巻き込まれそうになったが、シロンとツィンは上がった素早さで自力で脱出し、そのついでに〈ノックバック〉でFを救出。
引っ付いていたユーとラウルは、ハッシュが吹っ飛ばして、被害はほとんどなかった。
「ピヨ(あんなの絶対喰らいたくない)」
「……そろそろミーのMP尽きるんですけど」
「……早く終わらせるよ」
ツィンが、振られた腕を長刀で受け流し、
「〈ツバメ返し・散連〉」
今度は「Y」の字を刻み込んだ。
シロンもそれに続き、その中心に〈霊破〉を叩き込み……ドラゴンのHPは、残り4割まで削れた。
防御力は、むしろ下がっているみたいだ。
だが、そこまで上手くいかない。
「tllthkftbhttlf」
「「熱!」」
ドラゴンが、体全体に黒い炎を纏った。
シロンは触れていないタイミングだったため、ちょっと火の粉がかかったくらいで済んだが、ツィンは奴の腕に触れていたため、足の先が軽く焦げた。
「ダメ、炎が熱過ぎて、攻撃できる気がしない」
「しょうがない、下がってろ。遠距離でやる〈黄金砲〉」
「〈自動爆撃機〉」
MPを回避のために使いたいハッシュと、流石にヘルフレアドラゴンに炎が効かなそうなF以外の遠距離部隊、深淵とユーで攻撃する。
ドラゴンは、それを腕で防ぎつつ、
「ckjb szlhkdfjbrgks rmshkdvsl qrgjkdszttlxd」
また、青、黄、緑の小ドラゴンに追加して、グレードラゴンを呼び出した。
「私が青、ヒロは黄色と緑、一番ヤバそうなグレーはシロンがやって、Fは全体的に支援」
「すまん、俺2体同時に戦える気がしないんだが」
「……ハルヒ」
「ピヨ(アニキならできる)」
「……やってやろうじゃねーか」
何のスキルも発動していないのに、彼の足は、少し黒く光って見えた。
シロンも、ツィンの指示に従って、強そうなグレードラゴンに向かって飛んでいく。
「VIAOO!」
「〈霊破〉」
少し細めの灰色ブレスを迂回して躱し、首に横から霊破を叩き込む。
「VAI!」
次に、デザインの違う槍を二つ作り出し、シロンの方に投げつけてきた。
余裕で回避しようとしたのだが……いくら逃げても付いてくる。
「追尾!?ストーカー!?」
「なんでそうなるんや……〈炎弩〉」
Fが炎の矢で追尾してくる槍を貫き、爆散させてくれた。
「ありがとうF!」
「へへ。おっと、ツィンがやべえ〈炎槍〉」
Fに感謝して、背後から羽の付け根辺りに、さらに両手で2発の〈霊破〉を食らわせる。
Fの援護もあって、この強かったグレードラゴンの討伐に成功した。
「よし……って」
集中して黒いドラゴンの相手をしていたので、状況確認をしようと辺りを見回すと……ヘルフレアドラゴンが、黒いブレスを用意していた。
そして、狙われているのは、今攻撃に集中している深淵とユーたち。
「シロン、〈ノックバック〉使える!?」
「ダメ、まだクールタイム中」
「流石に一人しかブロウできませんよ」
「……」
司令官役のツィンも押し黙ってしまった。
だが、
「ピヨ(耐えるぞ)」
「……マジ?」
第一形態のブレスはギリギリ、本当にギリギリでラウルが耐えれてたが、第二形態では防御を下げてでも火力を上げている。
「ピヨ(やってみなきゃ分かんない)」
「シャア、やってやろうぜぇぇぇ!〈守衛防曲〉ぅ!」
ハルヒに乗せられて、リムスの音楽が変化し……何故かギターから、重低音の大太鼓、シンバルが聞こえてきた。
「ピヨ(〈殻盾伍花〉)」
ハルヒが卵の殻を、五枚重ねて展開し、
「やるよ、ダーリン。〈ダークマター〉」
「……おし〈超合金〉」
ユーが卵の殻に暗黒物質を重ね、それらをラウルが強化した。
「ワイらもやるぞ」
「フッ……我が力を見せてやる」
Fと深淵がスキルの準備をし、万全の状態を整えた。
「qqypgygqpjgG」
ついに漆黒のブレスが放たれた。
もの凄いスピードでどす黒い炎が迫って来る。
「〈烈炎〉」
「〈宝石槌〉」
まずは、Fの魔法と深淵の宝石が、黒い炎と衝突し……勢いが少し落ちた気がするが、まだ止まらない。
次に強化されたユーの暗黒物質を焼却し、卵の殻が、1枚2枚……ドンドン貫かれていく。
「……ピヨ(やっぱり、無茶だった?)」
「耐えろ!もう少しやから!」
3枚、4枚……粉々になった卵の殻が煙を上げて燃え、最後の殻盾にひびが入る。
そして……ついに、全ての盾が貫かれた。
「粘るぞ、〈烈炎〉」
「〈宝石槌〉」
「ミーもやります。〈大気の奔流〉」
ハッシュも加わって、黒いブレスを押し返そうとしたが……それでも止まない。
「gjjpqyqqJ」
ドラゴンが咆哮を上げ、さらに勢いが強くなりそうになった瞬間。
「せーの、〈霊破〉」
「〈ツバメ返し・散連〉」
「〈滅脚〉」
ブレスを吐いてるドラゴンの上顎に、シロン達3人で全力の攻撃を加え……ブレスを止めた。
どうやら、ブレスを使っている間は、炎を纏う事が出来ないみたいで、気兼ねなく殴れる。
「間に合った!?」
心配して、ハルヒ達の方を向いてみると……若干1名焼け焦げていたが、
「ピヨ(ナイス)」
全員生き残っていた。
安心しつつ、ドラゴンに向き直る。
「tllthkftbhttlf」
再び炎を纏ったが、その体力はもう風前の灯。
「深淵、止めお願い」
「我の黄金は……尽きた」
「こんなん殴れば終わりだろ〈滅脚〉」
「wrmnxxzvsssr!」
適当にヒロが蹴って終わった。
後から熱そうにしてた。
「やったー!」
「GGです」
「お疲れや」
みんなで頑張りを称えつつ、報酬の確認に入った。
虹色の食べ物はなかったが、武器の素材、豪勢な家具、高く売れそうなアイテム等、見ただけで凄いことが分かる。
だが、そんな中でも一際存在感を放つアイテムがあった。
[スキルの珠]
「なにこれ?」
「ちょっと待ってね……ああ、あった」
ツィンがメニュー欄から検索してみたところ、1日に10分だけ、スキルを変えられる様になるらしい。
珠によって得られるスキルは変わるが、基本は倒したモンスターのスキルになるっと。
「ってことは、【ヘルフレアドラゴン】になれるってこと!?」
「私それ欲しい!」
深淵が、あまりの激情にいつもの口調を崩した。
それほど価値のある、貴重なアイテムなのだ。
「じゃあ、ジャンケンで決めよう!」
「私たちはいいや」
「ハニーとのスキルに運命を感じてるし」
「あ、僕も。今のが気に入ってるので」
そんなこんなで、何人かリムス、ユー、ラウルが辞退し、7人で、
「ジャンケン!」……
「やったー!」
「うん、まあそんな気はしてた」
結果、シロンが勝った。何故かジャンケンは強いのだ。
[スキルの珠]を手に取り、すぐに使用すると、テッテテーという効果音が鳴って、スキル【ヴィゾーヴニル】獲得という文字が浮かんできた。
「【ヘルフレアドラゴン】は?」
「……そういえば、シロンとワイが倒したグレードラゴンの名前は、ヴィゾーヴニルやったぞ」
……ちょっとだけ、がっかりした。
【ヴィゾーヴニル】の能力はまた今度。
二章はここまでです。
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三章をお楽しみに。




