第一形態レッドブレイズドラゴン
「よし、《チーム・スカイマウス》行きます!」
「や、やっぱこのチーム名無理があるのでは……?」
リムスの発言を無視して、先日の十人で超級のドラゴンに挑む。
なお、正式名称はレッドブレイズドラゴンらしいが……長いからドラゴンで。
◇
門から出て、多分初手は熱線ビームなので少し散らばっておく。
また温度が少し上がり、緊張も相まって、頬に汗が垂れた。
『では、始めますよ』
「じゃ、そろそろ。〈疾走嵐歌〉」
テンポが速く、軽快な音楽が流れていく。
音楽を聞いているメンバーに、素早さのバフが入った。
『では、開始』
ドラゴンが鎖から解放され、ブレスの用意をし始めた。
モンスターの癖に、少しは頭が働くのか、バフ役を真っ先に潰すべく、リムスの方にブレスを発射した。
だが、彼は演奏をやめない。信頼があるから。
「〈大気の奔流〉」
リムスにハッシュの魔法が直撃し……吹っ飛んでブレスを回避した。
そして、風に吹っ飛ばされても……ちょっとパワー調整をミスって、雲に埋まったとしても、彼は演奏をやめない。仲間のために。
「チャンスタイム、突撃!」
ブレスの後は強い攻撃は飛んでこないので、
「〈霊破〉」
「〈ツバメ返し・弐連〉」
「〈踵落とし〉」
近接攻撃部隊のシロン、ツィン、ヒロで爪や尾の攻撃をいなしつつ、ダメージを与えていく。
基本はツィンかヒロがターゲットを取り、ヤバそうな場合はシロンがその攻撃を妨害。
魔法部隊はまだ温存。
「wjdlbscrxkbshlkrpzwhvljwllpqb」
次は小ドラゴン召喚呼び出し……かと思ったが、炎のリングが3つほど生み出され、空気を切り裂きながら、シロンとハルヒとユーに飛ばされた。
シロンは余裕で回避して、むしろカウンターを当てたが、もちろん彼女たちでは素早さが足りないので、
「〈大気の奔流〉」
ハッシュがハルヒを飛ばして、無理やり回避させた。
壁が柔らかい雲で助かった。
ユーの方は、
「〈ダークマター〉」
「うおー、ハニーのためにライフで受ける!」
ユーの暗黒物質で少しでも威力を下げ、耐熱のラウルが受けた。
HPは3割くらい削れたが、まだ全然余裕はある。
「〈霊破〉」
シロンが4発目の〈霊破〉を食らわせた時、
「ckjb szlhkdfjbrgks rmshkdvsl」
今度はしっかりと3体の小ドラゴンを呼び出した。
それを、待機していた遠距離攻撃部隊で攻撃する。
「〈火雨〉」
「〈シャイニングゴールド〉」
「〈円盤〉」
黄色にFの火の雨が、青色に深淵の光が、緑色にユーの円盤が刺さり、倒せないにも確実に削っていく。
反撃に飛んで来た3色のブレスを、
「〈殻盾〉」
「〈超合金〉」
ハルヒが卵の盾を展開し、それをラウルが強化することで、軽く防いだ。
「ピヨ(大丈夫、なんとかなりそう)」
「お前らはドラゴンの攻撃に集中しとけ」
「分かった。〈ツバメ返し・散連〉」
ツィンの刀が、ドラゴンの首辺りを後ろから入刀し、正三角形を描いた。
そして、その三角形の中心に、
「〈回し蹴り〉」
ヒロの足の甲が入った。
ドラゴンのHPは、残り半分くらいまで削れる。
その時、奴は攻撃が通らない無敵状態になり……体が震え出した。
「なにこれ!?」
「……もしかして、第二形態!?」
ツィンが叫んだ瞬間、ドラゴンの変化が始まった。
体中に漆黒の炎が宿り、目、角、鱗の一部……様々な物が、真っ黒に染まっていき、さらに気温が上がる。
あと一つ変わったのは、ドラゴンの名称。
ヘルフレアドラゴン
「……いいネーミングセンスをしているな」




