第二回イベンティッド
『第二回イベント開催!』
GWの初期に、第二回イベントの告知があった。
今回のイベントは、強いボスを倒すという形式らしい。
みんなで協力するやつ。
とりあえず、真白はウッキウキになりながらUAOにログインし、フレンドに片っ端からチャットを入れていったが……すぐに来れるのは、三人だけだった。
「おーい、ツィン」
「ん、シロン」
一人目はツィン。
というか、このシロンとツィンは学校も同じで、生活リズム自体が似通っているのだ。
「どうせ他の人たちにもチャット送ってるんでしょ?」
「えへへ。でも、今来れるのは、」
「あ、いたいた。ダーリン、行くよ」
ツィンが来たのと真逆の方向から、相変わらず仲のいいユーとラウルが飛んで来た。
「この前キャンプした人達はいないのかい?」
「ちょっと忙しいみたい」
「GW真っ最中なのに……」
「まあ、午後からは来れるらしいから」
そんなこんなで、四人で談笑していると、ザ・バードのホログラムが現れた。
『レディースアンドジェントルマン、今日はお集まりいただき、ありがとうございます』
礼儀正しく頭を下げ、プレイヤーたちを招き入れる様な仕草を見せる。
いつもより騒がしいピポ弐アが、さらに騒がしくなった。
『さて、世事の言葉はここまでにして、本題。第二回イベントです』
ザ・バードがパチッと手をならすと、地響きが始まり……地面から四つの大門が現れた。
『この門は、ボスと戦う特殊マップに繋がっています。右から、初級、中級、上級、超級です。報酬はとても豪華なので、ご期待下さい。ご健闘をお祈りします』
そう残して、ザ・バードは消えていった。
直後、ピポ弐アに集まったプレイヤー達が、ドンドン四つの門に吸い込まれていく。
「どれから行く?」
「初級は飛ばして、中級からがいいかな?」
「ハニーがそれでいいなら」
「ダーリンがそれでいいなら」
……満場一致で、中級のボスに挑むことになった。
各門の前には凄まじい行列が並んでいるが、並立して挑めるらしく、ほとんど潜るだけのため、そこまで時間を掛けることなく挑戦できるだろう。
「よし、頑張ろう」
「「「オ―――!」」」
シロン、ツィン、ユー、ラウルの4人は、右から2番目の、中級の門を通った。
◇
門を通り抜けると、そこには真っ白な風景が……雲が広がっていた。
ある程度の空間が確保されて、その周りは雲で囲まれている。
入って来た門は、最後にラウルが入った直後に消えてしまい、要するに逃げられない。
そして、その空間の中心に、何かが太い鎖に繋がれていた。
鷹の様な頭と翼に、鳥の足と細長い尾。
「……グリフォン」
「あれがボスなのかな?」
「〈円盤〉」
鎖に繋がれているグリフォンに、ユーの飛び道具がヒットしたが、キンっと金属が弾ける音がして、簡単に弾かれてしまった。
「効いてない?」
「まだ始まってないってことだろ」
「……はぁ」
ツィンが軽く耐え行をついた時、
『そろそろ始まりますよ』
ザ・バードの声が響いた。
同時に、グリフォンを拘束している鎖にひびが入り……謎の威圧感がシロン達を包み込んだ。
「……戦闘態勢」
シロンはいつでも突撃できる体制に、ツィンは刀に手を掛け、ユーとラウルは、恋人繋ぎしてた。
『では、開始』
一気に鎖が弾け飛び、
「GURYUAAA」
自由の身となったグリフォンが、咆哮を轟かせた。
「シロン、行きまーす!」
「はーい(もう止めるのを諦めた人)」
とりあえず、上から頭を狙い、
「〈霊破〉」
いつものを叩き込んだ。
もはや相手の硬さチェックにもなっているが、今回はゴリラと同じくらいだ。
「もう一発!」
……いつもなら反撃が飛んできて、誰かに助けられて終わるのだが、今回は反撃がなかった。
「……そういえば、グリフォンってどうやって頭上に攻撃するの?」
呟いた瞬間、グリフォンが急激に高度を上げ始めて、上の雲に叩きつけられそうになり、慌てて離脱した。
「対策法強引過ぎない!?」
「そんなもんでしょ」
……実際、下から見るグリフォンは威圧的で、攻撃し辛く見える、
「GURI!」
グリフォンの鋭い鍵爪が振るわれ、風の刃が飛ばされた。
よくハッシュが飛ばす〈エアカッター〉に酷似しているが、威力は比較にならなそうだ。
数は前足の爪から出た6つだし、そこまで多くないので、シロンは余裕で回避し、
「〈空裂〉」
他の3人は、飛んで来た風の刃をツィンが斬った。
「〈円盤〉」
「〈電気纏い〉」
その後ろから、ユーが円盤を飛ばし、ラウルがそれに電気を付与した。
飛び道具に属性付与をするのはタイミングが難しいのだが、息の合ったコンビネーションで難なく決めてくる。
円盤は左右から翼にヒットし、軽く体勢を崩す。
「〈ツバメ返し・弐連〉」
そこに、ツィンの斬撃が入り、グリフォンの腹にVの字が刻まれた。
「〈霊破〉」
シロンの追撃も加え、一気にHPを削る。
残り4割くらいになった。
「〈GUGU、RYU!〉」
グリフォンがバっと翼を開き……落ちた羽が、雨の様にシロン達に降りかかる。
さっきとは比べものにならない数に、シロンも少し被弾し……HPが赤くなった。
「やばいやばいやばい!」
「〈ダークマター〉」
ユーが黒い物質で壁を作り、羽を止めてくれた。
「ふう。ありがとう、ユー」
「ホント耐久ないんだね」
シロンは耐久を投げ捨てて、回避で全てどうにかするスタイルのため、全体攻撃にはめっぽう弱い。
「早めに終わらせた方がよさそ。やるよダーリン」
「任せろハニー」
「「〈宇宙真空空間〉」」
恋人繋ぎをした二人が、ある魔法を発動させ……グリフォンの高度が落ちていく。
周りの空気が薄くなったからだ。
シロンは、またグリフォンの頭上に陣取り、〈霊破〉を打ち込む。
さらに、遅れてきたツィンも、
「〈ツバメ返し・弐連〉」
首に左右から喰らいつく様に切り付け、首を落とした。
すみません、マジでポケモンが面白すぎて、更新がやばいっす。
……だれかバイオレットの人、テツノブジンくれ。




