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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第二章 クラン結成編
21/76

クモとサソリは親戚

「敵、ワンオクロックとトゥエルブオクロック方向……あとシックスオクロックも2体」

「分かりにくいなぁ!」

「えっと、左右前方に1体ずつと、後ろに2体……かな?」

「イエス」


 とりあえず、前の奴をヒロとハルヒで、後ろの奴をシロンが対処する。


「〈殻盾〉」

「〈(かかと)落とし〉」


 左側のモグラ鳥の鋭い爪を、ハルヒの殻が防ぎ、ヒロの踵がモグラ鳥をいまだ見えない穴の底に叩き落した。

 右側のモグラ鳥が爪を振るうが、


「〈二度蹴り〉」


 両腕の爪を全てへし折り、


「〈卵包み〉」


 卵がモグラ鳥を包み込んで……これまた穴の底まで落ちていった。

 やっぱりこの兄妹は息ピッタリである。

 後方の方は、


「〈霊破〉」


 一瞬で一体目を消し飛ばし、残った方の攻撃を霊力を纏った腕で弾いて、左手の〈霊破〉で滅した。


「お疲れ様でーす」

「ピヨ(お前も働け)」

「失礼な!新しく出てきたモグラはミーを倒したんですよ?」

「……どこにも死体ねえぞ」


 ハッシュが索敵、その他が適当に対処して、地面の穴を降りていく。


「ピヨ?(ねえ、たまにある白い模様は何?)」

「アイドンノウです」

「なんだろねー?」


 大きめの白い模様へ近づいてみると……どうやら模様ではなく、何かの塊らしい。


「……ピヨ(こういうのに触れるのは男の役目)」

「やだよ」


 そういいつつも、しっかりと引き受けてくれるヒロ君。


「ウェ、こいつネバネバしてやがる。気持ち悪い」

「ピヨ(触らないで)」

「お前がやらせたんだろ……」


 白塊は置いておいて、とりあえず先に進むことにする。

 それは、奥に進むに連れて数を増していき……ある地点から、壁面全てが白くなった。


「これは、ボスのルームの匂いがしますねぇ」

「……もう俺、ボスが何か分かった気がする」

「えー、教えて教えて!」

「見たら分かるよ」


 穴の隙間に入って、球状のボス部屋の中心にいたのは……


「KUMO!」

「オー、アンビリーバブルスパイダー」

「正確に言うとタランチュラだな。地面に巣を掘って、近づいて来た虫に飛びかかるんだ」

「ピヨ(流石アニキ、虫博士)」

「こんくらい普通だろ。別に虫博士ではない。来るぞ!」


 ヒロが叫ぶと同時に、タランチュラ鳥が糸の網を放出した。


「〈殻盾〉」


 ハルヒが糸を受け止めて、ネバネバになった殻を投げ捨てた。

 

「ピヨ(あんまり長くやるとカルシウムが持たない)」

「じゃあ、早く倒さないとね!」

「オイ!」


 ヒロが何か言うのを無視し、ハルヒを飛び越えて、腹部に〈霊破〉を叩き込もうとしたが、


「あれ……動けない!」

「そりゃあ蜘蛛の巣だからなぁ。見えない糸くらいあるに決まってんだろ」

「うわー、蜘蛛がこっち向いた!」


 八つの目が、動けなくなったシロンを見つめ……大きな牙が不気味に開閉する。


「キャー」

「ピヨ(エ〇同人みたいだ)」

「ちょ、お前どこでそんな言葉覚えた!?」

「助けてー!」

「いや、美春の情操教育の方が優勢だ!」

「ピヨ(おいリアルネーム出すな)」

「助けてー!(泣き)」

「仕方ないですねー。〈エアカッター〉」


 ハッシュが、止まっているシロンの周りに空気の刃をまき散らし、噛まれそうになっていたシロンを、間一髪で救出した、


「ついでに一帯の糸もカットしちゃいましょう!」


 そこら中に空気の刃を撃ちまくって……多分もう残っていないだろう。


「ありがとハッシュ!」

「ユアウェルカム」


 気を取り直して、噛みつこうと接近してきた所に、放物線を描く様に上から〈霊破〉を叩き込んだ。


「KUMOMOMO」


 タランチュラ鳥のHPは一気に2割も削れる。

 結構柔らかい感じらしい。


「もう一発!」

「危ない、避けろ!」


 ヒロの危険信号を受け取るも、止まりきれず、左手の〈霊破〉が通ったが……振り返ってみると、サソリの針のようなものが迫っていた。


「〈殻盤投げ〉」


 ハルヒが円盤投げの要領で、卵殻の円盤を滑り込ませ、その間にシロンは離脱した。

 改めて全体を俯瞰してみると、蜘蛛の糸を出す部分の上に、サソリの尾が付いた異様な形態になっている。


「……ワットあれ?」

「サソリは蜘蛛の親戚だからな。そういうことだろ」

「ピヨ(それより、あれはどこから攻めてくの?)」


 タランチュラ鳥は、前方向には大きな牙、左右には8本の足、上と後ろには尾があって、なかなか攻めにくいのだ。

 ハッシュの風魔法はあまり攻撃には向いていないし、また糸を出してきた時の為に、MPを温存しておきたい。


「私が尾を避けて、上から……」

「んにゃ、俺が崩す」


 耐久と火力に振っている、重戦車型のヒロが、ゆっくりと動き出した。

 本来の生態なのか、一瞬加速して飛び掛かって来たタランチュラ鳥の横顔を蹴り、反動で左側面に張り付く。

 四本の脚が襲い掛かるが……二本は弾き、二本は躱す。

 段々動きが雑になって来たところに、


「〈横蹴り上げ〉」


 凄いパワーで蹴り上げ、軽く横転させた。


「頼むハッシュ!」

「オーケー。〈大気の奔流〉」


 ハッシュの風で、タランチュラ鳥は完全にひっくり返り……虫特有の、Gがひっくり返ったみたいな動きをした。

 幾ら空中に飛んでいると言っても、ひっくり返ってる状態から簡単に復帰できる訳ではない。


「ついでにもう一発〈大気の奔流〉」

「KUMO!?」


 むき出しになった足の付け根辺りに、太い風の柱が刺さり……壁のネバネバに思いっ切り突っ込んだ。

 自分の糸で動けなくなっている。


「あとはもうクッキングするだけですね」

「行きまーす〈霊破〉」


 残り6割程になったHPを、ガンガン削っていき、やがて光のポリゴンになって消えた。


「ピヨ!(やった!)」

「クリア報酬は!?美味しい食べの物は!?」

「落ち着け、多分あれだ」


 ボス部屋の中央が光出し、そこにあったのは……虹色のにんじん。


「にんじん?」

「それだけじゃねえ、玉ねぎとかジャガイモとか、地中にできる野菜だな」

「ピヨ(野菜嫌い)」


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