グルメッシュグルメリアン シロン
ゴリラ鳥が爆煙に包まれながら消え、そこに残ったのは……虹色のバナナ。
しっかり人数分、3房ある。
「これがダンジョンのクリア報酬なんか?」
「……虹色って、あんまり食欲そそらないんだけど」
「任せて。私が味見してみる」
シロンは、自分の美食センサーを信じて、虹色バナナの皮を剥き、同じく虹色の実を食す。
「どうや?美味いか?」
「お、お……」
「も、もしかして毒だった……とか?」
「美味しい!」
虹色なのもあってか、不思議というか、ファンタスティックな味で、とにかく美味しい。
「本当にこんなの食べれるの?」
「要らないなら貰うよ」
「……(パクッ)。本当だ、美味し!」
「マジかよ……(パクッ)マジやわ」
「ええ……(パクッ)……(モグモグ)」
全員で食べてたら、いつの間にかバナナは消滅していた。
そして、シロンの脳内にはダンジョン報酬=美味しいというイメージがしっかりと刻まれた。
「……またダンジョン行かない?」
「どこにあるか分かんないから無理やわ」
「あー、でもヒロとハルヒが見つけたって言ってたよ」
……シロンがチャットを打つ速度は、音速を越えた。
◇
THE NEXT DAY
「ハルヒちゃん、ダンジョンを見つけたって本当!?」
「ピヨ(凄い迫力だ)」
「何があった?」
チャットで落ち合ったヒロとハルヒに、森のダンジョンで発見した、虹色バナナの話をした。
「とにかく美味しかったんです!」
「ピヨ(食レポが下手なのは分かった)」
「と、いうことで、二人が見つけたダンジョンに連れて行って下さい!」
「つってもなー、3人だとクリアできるか怪しいぞ。せめてあと一人は欲しい」
「任せて!」
今日ツィンは色々事情あって、UAOにログイン出来ない。
フレンドにチャットを入れていき……ある人から、3秒で返信が帰って来た。
「ハロー、ナイストミ―チュー。マイネイムイズハッシュ!ピュアジャパニーズ!」
風に乗って飛んで来たハッシュが、アイドルみたいなポーズをとった。
「ピヨ(ナイストミューチュートゥー)」
「……何だそのエセ外国人みたいな喋り方。外国語教師とか?」
「よくティーチャーって分かりましたね。ジャパニーズ古文のティーチャーです」
「え、そうだったの!?」
「ちなみに、三ーは学校で一番要らないサブジェクトは古文だと思います。あれだけはマジで要りませんゴミですトラッシュです」
「……どうやったらそんな人生送ることになるんだ?」
ハッシュ合流。
4人で、ヒロとハルヒが見つけた、地下のダンジョンへ向かった。
「任せて下さい、ミーにかかればダンジョンの一つや二つ、ランチ前です!」
「……ピヨ?(昼飯前って結構色々できるくね?)」
「……だってブレックファーストって言いにくくありません?」
「そんな理由で朝飯をクビにするな。っと、着いたぞ」
ヒロが指をさした先には、地面にカッポリと穴が開いていた。
あそこが地下のダンジョンらしい。
「じゃ、俺とハルヒが先行するから」
「ピヨ(私たち前衛スキル)」
「オーケーです。ミーは魔法スキルなので」
「頑張ろう!」
結構広めの縦穴を、少しずつ下っていく。
飛行を無くせば急降下で一気に進めるが、暗くて先が見えないので、ゆっくり降りるしかない。
「ピヨ(暗い、怖い)」
「ほら、兄ちゃんに掴まっとけ」
「仲いいですねーっと。〈エアカッター〉」
ハッシュから放たれた空気の刃が、ヒロとハルヒの間を通り抜け、
「MOGU!」
前方にいたモンスターにヒットする。
「〈回し蹴り〉」
一発では倒しきれなかったそいつに、ヒロが回し蹴りで止めを刺した。
「おおー、よく気付いたね」
「フッ……ウィンドが教えてくれるんですよ。それより、どんなモンスターだったんですか?」
蹴っ飛ばされて、壁に埋まっているモンスターを確認すると……モグラだった。
いや、壁で隠されているが、しっかり羽が生えてる、モグラ鳥だろう。
「これはまたファンタスティックなっ!〈エアカッター〉」
「MOGU!」
背後の壁面に穴を開けて飛び出してきたモグラ鳥を、さっきと同じように察知したハッシュが出鼻を挫き、
「〈霊破〉」
今度はシロンが止めを刺した。
「なるほど、暗闇で視界が悪いのに加えて、モグラが周囲360度どこからともなく襲ってくると」
「ミーがいなきゃ危なかったですね」
「ピヨ(認めたくないけど認めるしかない」
「あ、でも地中のエネミーまでは感知できないので、よろしくです」
新作ポケモンするので、更新頻度落ちるかもしれません。




