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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第二章 クラン結成編
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関西人三日生

「えっと……ツィン、その人誰?友達?」

「オア、彼氏?」

「(……ゴクリ)」


 心なしか顔を強張らせているリムスを置いて、素面のツィンの返答は、


「ちょっとしたリアルの友達だよ。彼氏とかあり得ないから」


 あっけらかんとした様子で、すっぱりと言い切った。


「良かったぁー。私を置いて彼氏を作っちゃったのかと」

「そんな訳ないでしょ。私たち『彼氏できない同盟』は永遠でだよ」

「ちょっと、『彼氏できない同盟』じゃなくて、『彼氏作らない同盟』でしょ。結構意味変わるんだから」

「へー、三ーも入れてもらおうかな?」

「我も入れるのだ。彼氏など私には合わん、自由に生きる」


「……おい、ワイの紹介はどこ行った?」


 女性陣で『彼氏作らない(重要)同盟』の話で盛り上がっていると、ツィンが連れてきた人が、寂しそうに囁いた。


「あ、ごめんごめん。私のリア友の(エフ)だよ」

「ワイはF、こいつの昔の友達や。まあ、最近は年賀状くらいの付き合いしかなかったけどな」

「ちなみに、こいつの親は転勤族で、まだ関西に行って3日目です」

「おい、さっき口止めしといたやろが!転勤ばっかしてたら順応力も上がるんや」


 ……「触れて言いのかな?」とシロンは、年長者のハッシュの方を見てみると、目が合った彼女は首を横にふった。

 リムスも難しい顔をしており、誰もあれには触れずに、


「なあ、どうしてお前は左足がないんだ?」


 中二病には通じなかった。

 何故かFの左足はない。

 現実で足がないとバランス感覚などの問題で、VRMMO内でも上手く動けなくなるらしい。

 UAOでは全員が飛べるので、足がなくてもあまり関係ないが、触れられて気持ちいいものではないだろう。

 まあ、全く触れないのも、それはそれでダメなのだが。


「ちょっと深淵、もう少し慎重に!」

「ああ、この足か?これただのスキルのデメリット効果や。というか、最近の技術でバランス感覚問題は解決したらしいで」

「え、そうなの!?」


 ……現代の科学は想像の10歩前を進んでいる。

 それよりも、片足が無くなるスキルとは。


「それより、今日は森のダンジョンに行くつもりだったんだけど……一緒に行く人!」

「はい!」

「つ、ツィンさんが行くなら」

「三ーは途中のクエストがあるので、グッバイ」

「今まで何してたんだよ……。我も現実で用事があるから、今日は無理だ」


 と、いうことでシロン、ツィン、リムスに新メンバーのFを加えて、ツィンが見つけてきた森のダンジョンに向かった。





 見渡す限りの大木。

 十数分飛んで、4人は森のダンジョンに到着した。


「よーし、ガンバロー!」

「「「おー!」」」


 木を躱しながら、アマゾンのジャングルの様な熱帯雨林に入り込んでいく。


「暇だね」

「……そ、そういえば、ツィンさんとFさんの出会いは、どういう風な感じだったんでしょう?」

「あー、それ聞く?聞いちゃう?」


 ツィンはちょっと面倒そうな顔をして、逆にFは嬉しそうに彼女との馴れ初めを語った。

 小学校低学年くらいの頃、二人は近所に住んでいた。

 すぐそこに公園があったこともあり、休みの日は毎日二人で遊んでいた。

 ちなみに、シロンがツィンと仲良くなったのは中学に入ってからで、小学生の頃は学校が違ったので接点がなかったのだ。


「隣に住んでいたから、親同士の仲がよくて、これまで腐れ縁を続けてきたって訳よ」

「そうだったんですね」


 リムスは、ツィンから見えない死角でガッツポーズをした。

 その後もつまらない雑談を続けようとしていると、


「UKIII!」


 背中に翼を生やしたサル鳥が、木をかき分けて登場した。


「いっくよー!」


 シロンは〈霊破〉の用意をして、サル鳥に突っ込んでいき……


「KIKI」

「え!?」


 外した。

 シロンの方が速かったのだが、サル鳥が一瞬だけ加速したせいで避けられてしまったのだ。

 そして、奴は反転してキックを繰り出し……


「〈炎槍〉」

「KIII!」


 横から飛ばされた炎の槍が、サル鳥の腹に穴を開け、討伐に成功した。


「大丈夫か?」

「うん、ありがとう。カッコいい技だね」

「まあな。うちの【フラミンゴ】の効果や」


 Fのスキル【フラミンゴ】は、炎魔法を強化する効果がある。

 フラミンゴの語源は、赤い羽から炎を意味するラテン語の「floma」に由来するので、そういう能力になったらしい。

 あと、片足が無くなるのは片足で立っているイメージがあるから。


「森を燃やさないように気を付けてよ?」

「分かったわ」


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