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Universal Sky and Sea Online 空中のVRMMO  作者: カレーアイス
第二章 クラン結成編
15/76

深淵

「ARUUA!」

「霊破」


 今度は霊力は先行してしまって、ただの霊力パンチになってしまい、アルマジロ鳥は倒しきれなかった。 

 やはり、まだ〈霊破〉は安定しない。

 お姉さんが見てくれていると思いながら、今度こそ。


「〈霊破〉!」

「AAA!」


 今度は霊力がアルマジロ鳥の甲羅を貫通し、身体の中から破壊した。

 今回のは、今までで一番綺麗な〈霊破〉ができた気がする。


「もう少し安定させたいな」


 もう一度拳を猫の手にして、アルマジロ鳥を倒そうとしていると、誰かに肩を捕まれた。

 今日は一人で行動しているし、誰に掴まれたのか分からない。

 振り返ってみると、中学生くらいの……左目に眼帯を着けた少女がいた。


「お前、カッコいい戦い方するな」

「えっと……ありがとうございます?」


 眼帯のせいで左目は見えないが、見えている右目はキラキラしていて、とりあえず悪意はなさそうだ。


「何て言う名前なの?」

「いい質問だ」


 そう言いつつ、右腕を突き出し、


「我の名は深淵(アビス)。深淵と書いてアビスと読む」


 そう自身満々に宣言した。

 だが、その名前の所以になっているのか、彼女のベルスリーブ(袖が広い服)の袖内は漆黒に包まれていて、その中の彼女の手は見えない。

 彼女のスキルが関係しているのだろう。


「私はシロン。【始祖鳥】だよ」

「【始祖鳥】!? いいな、ますます気に入った!」


 謎に数回頷いて、背中を見せ、


「我に付いて来い、相棒」


 勝手に相棒にされた。





 することもないし、悪意はなさそうだから深淵に付き合ってあげることにした。

 アルマジロ鳥が出現する場所から、町の方に飛んで行って……コロシアムの様な建物に着いた。

 シロンたち以外にも二人組の人たちが、何人か並んでいる。


「えっと……ここで何をするの?」

「ここのタッグマッチで勝ったら、誰でも使えるスキルの〈ノックバック〉が貰える。安心しろ、我と相棒のタッグなら無敵だ」


 〈ノックバック〉は【スキル】に関係なく取得できるスキルで、攻撃が当たった相手を吹っ飛ばすことができる。

 シロンにとって、スピード特化でも相手を動かせる数少ない手段として、結構使えそうな感じだ。


「……深淵はどういう戦い方をするの?」

「遠距離タイプだ。近づかれたら弱いから、その辺を相棒がカバーしてくれ。あと、相棒も我を相棒と呼ぶがいい」

「私の相棒は多分ツィンじゃ……」


 そんな会話をしていると、いつの間にか並んでいる人はいなくなって、シロンと深淵の順になっていた。


「よし、じゃあ頑張ろう!」

「フッ……我の深淵が疼く」



 コロシアムの一つのフィールドを使って試合は行われる。

 シロンと深淵が並んで入場すると、反対側の入場口からも、高校生くらいの男女が入場してきた。

 しかし、何かの違和感を感じていて……


「羽がついてない?」


 しっかり飛べているが、相手の二人には羽が付いていない。


「スキルが関係してるのか?」

「……そういえば、深淵のスキルって何なの?」

「……秘密だ。我のスキルは、人に明かすことはできない」


『デュエル開始ィィィ』


 もう少し粘ろうとしたが、試合開始の合成音声が流れたので、先に戦闘を優先することにした。

 とりあえず、前に出ている相手の男の方に突っ込んで……とりあえずで突っ込むかなりの脳筋になっています。

 〈霊破〉のための猫の手を用意して、タイミングを合わせ……


「ッ!?」


 何か直感のような物に従って、急ブレーキを掛ける。

 そして、それは当たっていて、


「〈帯電〉」


 男の人の周りに電気が発せられ、シロンの前髪の一部が焦げた。

 電気の範囲は小さめだが、一撃でほぼ即死するシロンにとっては由々しき事態である。


「ごめん、この人倒せそうにない」

「チッ。仕方ない、我が直々に手を下してやる。相棒はもう一人の方をやれ」

「分かった」


 まだ帯電している男の人を無視して、後衛の女の人方に突っ込む。

 今度こそタイミングを意識して、猫を意識し、


「〈霊破〉」

「〈ダークマター〉」


 今度の〈霊破〉は完璧に機能したが、女の人が咄嗟に出した黒い壁に防がれる。

 だが、直撃してなくても、貫通した霊力は当たっている。


「もう一回!」


 もう一度猫の手を振りかぶった時、壁の端から何かが出てきて……光線銃。


「〈ビーム光線〉」

「わ!」


 ギリギリで離脱したからなんとか避けれた。

 当たっていたら即死していただろう。

 ()()()()()


「〈光弾〉」


 SF映画に出てきそうな黄色い球の軍団がシロンに襲いかかるが、一発も当たらない。

 そもそも、この程度の弾幕にやられるなら、イベントの覇者になどなれない。

 全てアクロバティックに美しく躱し切り、もう一発〈霊破〉を叩き込もうとしたが、


「〈帯電〉ハニー、大丈夫かい?」

「ええ、問題ないわ、ダーリン」


 男の人が近づいてきたせいで、接近できなくなった。

 ……それにしても、試合中にハグをし始めるのはどうなのだろう?

 今では100人に聞いたら300人から「リア充爆発しろ」と回答する様な光景が繰り広げられている。


「リア充爆発しろ!」


 勿論厨二もその範疇で、今まで漆黒に包まれていた彼女の袖が光だし、


「〈黄金砲〉」


 金のコイン、延べ棒、ネックレスなど、様々な物が相手に飛ばされた。

 深淵のスキルは【スズメ】で、能力は黄金を飛ばせるというものだ。

 スズメ自身にそんな能力や迷信はひとつもないが、舌切り雀という昔話が元になっている。

 知りたい人は自分で調べてくれ。

 名前がダサいからという理由で、深淵自身はあまり公言したがらない。


「ハニー!」


 深淵から飛ばされた黄金を、男の方が受けた。

 黄金も勢いからして、結構効きそうなのに、あそこまでケロッとしてるのは……


「男の方は耐久型だな。……恐らく、どっちの遠距離アタッカーが先に相手の壁役を倒せるかで勝敗が決まる。壁役頼んだぞ、相棒」


 冷静に分析した。 


 【宇宙ステーション】


 能力:防御力上昇 帯電


 ……宇宙に浮かんでいるやつですね。

 マッハ以上の速度で飛んでくる宇宙ゴミに耐える耐久力と、太陽光発電がある。


 【UFO】


 能力:メカニック


 ……宇宙人が乗ってるやつですね。

 地球にはない技術力があります。


 最後に一言。

 筆者「私がルールだ」

 

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