命を懸けた伝授
次の日。
いつも通りツィンとUAOをプレイしようとしていると、
「今日は別行動にしない?」
「え……どうして?」
「ほら、サブスキル取りに行きたいから」
今回のアップデート内容は、第二の町ピポ弐ア追加と、サブスキルの追加がある。
【スキル】に派生して得られるもので、ツィンの【ツバメ】だと〈ツバメ返し〉ができる……まあ、何となく読んでれば分かるから安心してくれ。
「私とシロンだと取りたいサブスキルが全然違うから、別行動にしよう」
「んー、じゃあ仕方ないね。お互い頑張ろうね」
そう言って、何となくツィンと反対方向にゆっくり飛んで行ったのだが……行く当てがない。
全てのサブスキルの取り方はメニューに表示されているので、面白そうなのを確認しながら町を飛んでいると、
「ちょっと待ちなさい、そこのあなた」
霊媒師みたいなお姉さんに呼び止められた。
「えっと……私のことですか?」
「そうです。私には分かる、あなたに秘められた力が。とりあえず、中に入ってみてください」
寺のような建物に招待された。
普通ならこんな怪しい物に引っかかることはないのだが……シロンは勿論引っかかった
暗い寺の内部を、薄暗くロウソクの火が照らしている。
絶妙に怖いのだが、ここまできてやっぱりやめたは出来ないので、大人しくお姉さんに従う。
「さて、あなたの秘める力について、話をしましょう」
「それって、これのことですか?」
[エイジリング]を通して、霊力のオーラを両手に纏った。
「知っていましたか……では、一度私を全力で攻撃して下さい」
「え!?」
「大丈夫です、ここは町中なので、ダメージは通りません」
少し抵抗がありつつも、お姉さんの鳩尾に霊力パンチを叩き込み……幸いダメージは入らなかった。
「……なるほど、このレベルですか」
数言独り言を呟いてから、
「では、まず私が手本を見せましょう」
「は、はい!」
対衝撃態勢をとり、お姉さんがシロンと同じように蒼いオーラを纏ったが、その体積はちょっと分厚い手袋くらいしかない。
これなら普通に考えて、シロンの方が強いハズだが、
「〈霊破〉」
ドーン!
鳩尾に猫みたいな形の手が入ったかと思うと、蒼いオーラがシロンの体内に入っていき、身体を貫通してオーラが流れ出した。
ダメージは入らないけど、こっちの方が確実にダメージが高いと感じる。
「こ、これは?」
「〈霊破〉です。相手に霊力を流し込む技になっています」
「伝授して下さい!」
〈霊破〉LESSON1
「まずは、霊力を感じることです」
「あの……分かりません」
シロンには霊力は感じられず、オーラはオンかオフに切り替えることしかできない。
ハッシュとの戦いの最後でも、霊力の調整が出来なかったから、片方の[エイジリング]を外すことで強引に調整したのだ。
「えー、時間もないし、今回はアイテムで補いますか」
寺の奥から、天冠(幽霊が着けてる白い三角のやつ)を持ってきてくれた。
「どうぞ、あげます」
「良いんですか?」
「……できるだけ、早くしてください」
今まで着けていた天冠を外して、新しく貰ったものを着用する。
すると……マラソン後に体中に血液が巡っているような感覚がした。
「これが……霊力」
「そうです。それを操ります」
ちなみに、貰った天冠[霊魂冠]には、周囲に人魂を浮かべる効果があって、幽霊度がさらに増した。
LESSON2
「発頸の練習です」
「はい!」
「まずはこの、猫の手です」
人差し指〜小指を曲げて、親指を添えた猫の腕をした。
「こうですか?」
「そう、もう少し手を伸ばして……猫の心です。ニャー!」
「(=・ω・=)にゃ~」
LESSON3
「あとは発頸で霊力を流し込むだけです」
「こんな感じですか?」
寺の柱に向かって霊破らしきものを撃ってみる。
「少し霊力が遅れてますね。もう少し速く」
「こうですか?」
ドーン
「……あなたならもっと出力を出せるはずです」
「はい!」
ドーン!
柱を貫通して、蒼い霊力が弾け出し……シロンが触れている部分は壊れていないが、中身は空洞になっている。
テッテテーという効果音が鳴り、〈霊破〉獲得という文字が浮かんでくる。
「どうですか?」
「……完璧です、ね。では、最後の試験、です。あっちの方にいる、アルマジロ鳥を倒し、てきて下さい」
「だ、大丈夫ですか?」
明らかに体調が悪そうなお姉さんだったが、久しぶりに身体を動かしたせいだと誤魔化して、シロンを送り出した。
お姉さんが指さした方向に飛んでいくと、件のアルマジロ鳥が見えてきた。
「ARU!」
「行っくよー!」
丸まって転がって来るアルマジロ鳥を避けて、止まった所を殴ってみたが……霊力が遅れて、失敗した。
まだ安定していない。
しっかりと意識して、体感よりも少し速く霊力を出して、
「ARUUU!」
「〈霊破〉」
アルマジロ鳥の甲羅は傷一つ付いていないが、本体のHPは消し飛び、アルマジロ鳥は倒れた。
甲羅破片をドロップしたので、それを持ってお姉さんの寺に帰る。
「あれ?」
お姉さんがいた寺は、静まり返っていてお姉さんはどこにもいない?
ちょっと時間を置いてみたが、それでもお姉さんの姿は見えない。
シロンは、寺の隣人に話を聞いてみると、
「そこの寺に人は住んでませんよ?」
「え……?」
一瞬、強い風が吹き荒れた。
〈霊破〉に関しては、スマブラのルカリオ横Bを思い浮かべておいて下さい。




