98.ゲームと現実の境目
今回のあらすじ。花ちゃんのお母さんからメッセージが来た。どうやら来週花ちゃんの誕生日らしい。
なんで花ちゃん自身が教えてくれてなかったのかと思ったが、その疑問にもお母さんは答えてくれた。誕生日情報をわざわざ言わなくても俺は既に知っていると信じているらしい。もちろんそんなわけがない。
下手をすると俺は花ちゃんの誕生日を知らぬままその日を迎えて過ぎ去っていたわけで、お母さんには感謝である。
俺はノートパソコンの前で無の表情となっていた。
画面には通販サイトの商品が表示されており、その名称は『猫なりきりセット。男性用Lサイズ』である。
猫のモフモフ感溢れる素材でできた短パンとタンクトップ風な上下、もちろんしっぽ付き。猫足のスリッパと靴下が一体化したような履き物。おっきな猫の手の形をした手袋。
ゲーム内で俺が着たらフラウがはしゃいだ服とそっくりである。
なんでこれを見てるかというと、フラウへのプレゼントを考えた際に思いついたベタなあれ、俺がプレゼントだ! のやつである。
一応他にも魔道具っぽい感じに見えなくもない髪飾りは用意しているのだが、さらに追加でどうかなという感じだ。
いや、正直にいうとゲーム内で猫姿の俺を見てはしゃいだフラウを現実でも体感したいのだ。
なにせ普段はクールな口調に表情の花ちゃんが変貌する……はずなのだ。
無邪気にはしゃいで猫を可愛がる女の子となる花ちゃん……そんな子に可愛がられる俺。
やってみたくなるのは当然ではないか。
もしかしたらその先の何かが起きる可能性だってある。
さて、1人で悩んでてもしょうがない。
というわけで久々に……俺の心の中ガールズ集合よー。
まずは悪魔ガールからどうぞ。
『買って着るのは確定事項よねー。でもどうせなら女の子用も買って猫パジャマパーティーなんてどう?』
うむ、それもいいな。てか、なんか気持ち悪いのでやっぱ普通に喋って。
『なんだよ、せっかくお前のバカみたいなはしゃいだテンションに乗ってやったのによ。あ、せっかくだし2人とも猫になろうぜ』
花ちゃんの猫姿か……。
ゲーム内とは全然違う見た目になるだろうし、さぞかし可愛いだろうな。
間違いなく襲いかかってしまいそうな危険はあるが……。
では次、天使さんの意見をどうぞ。
『舞い上がって気づいていないようだけど、その猫尻尾には重大な欠陥があるわ。よく見なさい』
欠点?
別角度の商品写真を見ると、お尻の上の方に位置してる感じか。
猫獣人もだいたいこんな位置だし問題ない気がするが……。
『バカね、短パンと一体化してるってことは、脱いだら尻尾がなくなるってこと。想像してみなさい。あなたたちが盛り上がって盛ってそういうことをしようとした時にまずどうする?』
そんなストレートに言われると恥ずかしくなるが……とりあえず脱ぐのかな?
『そうよ、脱がなくては先へ進めないの。でも脱いで尻尾が消えるとあら残念。あの子は夢から醒める。そしてあなたを偽物の猫と糾弾する。そのままあなたは逮捕される流れよ』
なんだってー!
確かに猫の姿で盛り上がっているところから尻尾を脱いでしまうと興醒めだ。
猫の姿のおかげで先へ進めるが、脱いでしまうとそこで終わり。
なんてこった……。
『そう落ち込まないの。今ならまだ間に合うわ。体に直に装着できる尻尾もあるはずよ。検索しなさい』
言われるがままに俺は通販サイト内を検索する……。
そして見つけた、まるで体から尻尾が生えているように見せられるグッズを。
だがこれは……差し込むタイプ。
いやいやいや……無理無理無理。
『なにかを為すためには犠牲は付き物よ。なんなら装着をあの子に頼んでもいいんじゃない? 嬉々としてやってくれるわ』
確かに楽しそうにする姿が想像できてしまう。
花ちゃんが俺のお尻に……。
いやいや、なんかすごいおかしな方向に行ってしまうぞ。
『ならば猫になってイチャイチャにゃんにゃんはあきらめるの?』
くっ……それはあきらめたくない。
他にいい方法はないのか?
俺の心の中の悪魔よ、知恵を貸してくれ。
『別にそんなことしなくてもよ、脱がなきゃいいだけだろ? 短パンの前に穴をあべしっ!』
鈍い音が聞こえ、悪魔の断末魔が聞こえた。
一体何が?
『勘のいい悪魔は嫌いよ』
俺の心の中の悪魔は床に突っ伏して倒れている。
その右手のある床には赤い血文字で『てん……』と書かれている。
悪魔の血って赤色だったんだな……。
『ちょっと埋めてくるわ。あなたは何も見なかった。いいわね?』
拒否すれば俺もああなるという恐怖を感じ、うなづくしかなかった……。
床にあった謎の文字には天使が書き加え『てんきヨシ!』という文章になってしまった。
とりあえず今の出来事は忘れよう。
えーと……あとは心の中のカーチャンの意見でも聞くか。
『まったくあんたは自分の欲のことばっか考えて。なんでその服買おうか悩んでるのかもう一度思い出しなさい』
なんでって、それは花ちゃんが喜ぶかなあって……。
あー、でもそのまま俺の欲望方向に話がシフトしちゃってたんだな。
『そうだよ。まず相手のことだけ考えな。それが1番大事。じゃあいくよ。天気いいみたいだから洗濯物干さなくっちゃね』
ふう、なんとか俺の妄想が暴走していくのが防がれた。
脳内がエロい方向に走ってしまった時は母親を思い出せばいいと聞くが、まさにその通りであった。
ピロリン!
おっと、花ちゃんからメッセージだ。
『もうすぐ着くわ。結界を弱めておいて』
答えの出ぬまま花ちゃんが学校から帰ってくる時間か。
俺は玄関へ行きドアを少し開け、ドアストッパーを挟んでおいた。
これで鍵がない花ちゃんも普通に入ってこれる。
なぜいつものように出迎えるのではなくこうするかは、後でわかる。
部屋に戻り、ノートPCの前でこの画面をどうするか考える。
いっそのこと花ちゃんに全てを託すか。
よし、そうしてみよう。
ではこのまま紅茶の準備でもするか。
やがて、玄関の開く音が聞こえてきた。
そして当たり前のように歩いてくる足音が近づいてくる。
「ただいま」
その声を聞いた瞬間、俺の脳内がはしゃぎだした。
まるでこの部屋が花ちゃんの住んでいる場所のようで、同棲をしている気分だ。
興奮を隠しつつ、俺も当たり前のように返そう。
「おかえり、花。今お茶淹れてるから座ってて」
「ん……」
ゲーム内の夫婦生活を持ってきた感。
ゲーム内で仲が深まるごとに、現実でも俺たちの仲は深まっている。
俺の脳内は完全にお花畑だ。
さあ紅茶よ、おいしくなーれおいしくなーれ。
紅茶を用意して戻ると、花ちゃんはノートPCの前でマウスを操作していた。
先ほど開いていた猫コスセットのページはどうなったのだろう。
ドキドキを隠し、普段の仕草のように紅茶を置く。
「ありがとう、いい香りだわ」
「どういたしまして、何見てたの?」
「少し魔法の実験をね。この空間の時を少し進めておいた。でも少し足りなかったわ、続きは後であなたにお任せするわ」
「そっか、了解」
花ちゃんは答えたあとでノートの画面を閉じた。
意味はわからないが、いつも通りわかった風に答えておく。
後で画面を見ればわかるのだろうか?
とりあえず紅茶を飲み一息つく。
まずは花ちゃんの誕生日の予定を確認だな。
「次の金曜日の予定は何かあるか?」
「いつも通り何もないと言いたいのだけど、その日は少し遅くなるわ。同胞たちと秘密の会合があるの」
もしや友達も誕生日を祝ってくれるのかな。
そうなるとケーキも食べてそうだし、量より質の美味しいケーキを探すか……。
あとここでふと思ったが、花ちゃんのお母さんも祝いたいのではなかろうか。
ううむ、考えるべきことは多い。
「その後でいい、俺にも時間をくれるか?」
「ええ、元よりあなたに会いにくる予定だったわ」
嬉しいことを言われ、誕生日の予定は確保である。
その後短時間ではあるがお話ししつついろいろしつつ、花ちゃんは帰って行った。
この後宿題や夕飯お風呂を済ませてゲーム世界で会うのだ。
さて……ノートPCを確認するか。
先ほど開いていた男用猫コスセットの画面……ではなくなっていた。
女性用セクシー猫悩殺コスプレセット!?
これは花ちゃんが開いたページなのか?
じっくりと見てみる……俺の選んだコスセットににてはいるが、形状がビキニの水着タイプだ。
花ちゃんは時を進めた、後は任せたと言っていた。
つまりこれを買えということか?
む、よく見るとカートに商品が入っているな。
カート内には俺の表示していたコスセットが入っている。
間違いなく花ちゃんが入れたんだろう。
時を進めたって言うから、花ちゃんの中では俺が入れたことになっているのかもだけど。
とりあえず間違いないのは、これら両方買えと言うことである。
ポチッ!
こうして新たなる世界の扉は開かれた。
この後俺は誕生日の計画を立てつつ、ゲーム世界へ飛び込むのであった。
――Welcome to Eternal Fantasy――
ゲーム内自宅のソファに座りのんびりと待つ。
やがて玄関の開く音が聞こえ、足音が近づいてくる。
「ただいまー」
「おかえり……かしわもち」
「ふふ、フラウちゃんじゃなくて残念かい?」
「そなことないよ。俺が呼んだんだし」
フラウがインしてくるまでの間、誕生日のことを相談しようと呼んだのだ。
当日はいろいろ忙しい。
現実でも軽く祝いつつゲーム内でも祝う。
俺は現実で手いっぱいなのでかしわもちにお願いするわけだ。
「ふむふむふむ、遅めになるから短時間で盛大に祝うんだね。だいたいわかったよ、くーちゃんと計画立ててくるね!」
「うん、よろしく」
「はりきるよー!」
かしわもちは元気いっぱいに窓から飛び出して行った。
張り切りすぎてやりすぎる可能性もあるが、それはそれで問題ない。
さて、こちらでも紅茶を淹れて待つか。
紅茶をテーブルに置いてソファでのんびり。
ゲーム世界では冷めないようにできるので早めに準備ができて楽である。
そして予定していた時間に玄関の開く気配がした。
遠いので音は聞こえないが、この家の主は玄関の状況を把握できる便利機能がある。
さあ、迎えに行こう。
「おかえりフラウ」
「ただいま、あなた」
「紅茶淹れてるよ」
「ええ、いただくわ」
うん、この会話はまさに夫婦。
現実でもゲームでも同じことをやっているわけだが、それぞれ良さがある。
一言で言うと幸せである。
ソファに戻りのんびりくつろぎながら今日の計画を立てる。
「今日は何か予定はあるのかしら?」
「レオンたちが家を作ろうとしてるらしく素材集めをしてるらしい。フラウが他にしたいことがないなら手伝うのはどうだ?」
「そうね、可愛い妹猫を手伝いに行きましょう。魔の森で伐採かしら?」
「いや、その魔の森の奥で樹木タイプの魔物と戦っているはずだ」
俺たちはDIY気分で森に行き木を伐採していたが、他にも魔物を倒して材料集めもできる。
ひとつの目的に対して様々な手段を選べるのがこのゲームのいいところ。
というわけでさっそく向かうことにした。
森の入り口までワープし、後は徒歩で移動だ。
レオンには向かうと連絡して現在座標を聞いている。
移動しつつ、フラウが初めて戦うであろう樹木タイプの敵について説明だ。
「敵は樹木で火に弱いイメージがあるが、実際には水分で潤っているためあまり効かない。風邪魔法で切り刻むように攻撃するんだ」
「承知したわ。それに炎で燃やしてしまっては材料として使えないものね」
「そういうことだ」
このゲームは倒し方でドロップが変わったりはしないが、そう言うことにした方が気分的に楽しい。
俺は戦いの準備として両手で使うおっきい斧を取り出す。
「あなたは普段使わない武器を使うのね」
「ああ、樹木タイプの魔物は斧で大きなダメージを与えられる。俺の得意武器ではないが、こちらの方が効率がいい」
やがてレオンたちの姿が見えてきた。
俺と同じようにでっかい斧で木の魔物を殴っている。
職業は斧が得意な戦士のようだ。
ニャーノさんはいつも通りに回復薬で、他メンバーとしてレン樽4体だ。
「参戦する?」
「いや、あれを倒し切るまで待とう」
ゲーム的にパーティーメンバーを再編成する必要がある。
今のままだと、俺とフラウはあの敵に攻撃できないのだ。
たとえレオンたちがピンチになったとしても、それを救うべくかっこよく参戦とかできない。
少し待つと特に問題なく倒せたようだ。
素材集めが目的だし、この辺の敵は弱いはずだ。
レオンとニャーノさんが俺達に気付きやってくる。
「よおカーター、きてくれて助かる」
「うちらの愛の巣のためにありがとですニャー」
「俺たちの家も手伝ってくれたしな」
「ええ、この世は全ての輪廻が繋がり影響しあうもの」
と言うわけでレン樽2体が帰還しパーティー編成。
レオン戦士、俺闇騎士、ニャーノさん回復術師、フラウ魔術師、レン樽2体は斧戦士と盗賊。
弱めの敵を狩まくるってことでアタッカー多めの構成だ。
盗賊は敵の素材ドロップアップを狙えるし、敵から木材を盗むこともできる。
「では戦闘開始だー!」
「おー!」
今日のパーティーリーダーはレオン。
レオンが戦う敵を選んでフルボッコ。
敵は木の見た目で根っこが足のように動く、ファンタジー定番のトレントみたいなやつだ。
「風よ切り裂きなさい!」
斧でザクザク、風邪魔法でヒュンヒュンと木材を切り出すように魔物を攻撃していく。
「あ、カーター。すぐ後ろに伐採ポイントが沸いてる。戦闘中でも構わないから伐採してくれ」
「よし任せろ」
俺は戦闘体勢を解き、後ろにある木材伐採ポイントに向かって斧を振り下ろす。
普通の伐採と魔物の素材、両方集めれば効率がいい。
人数が多いから可能なことだ。
お、ニャーノさんも別の伐採ポイントで斧を振っている。
「レオン、なかなかいい場所を見つけたな」
「ああ、偶然にも今日はすぐいい場所が見つかってな。早く家を建てろってことだなこれは」
「ゲームの神様が応援してくれてますニャー」
「にゃあ子は普段からいい子にしてるものね」
「ニャー」
敵の生息地は基本同じだが、伐採ポイントは日によって湧きやすい場所が変わる。
ここは戦いつつ伐採もできる絶好の場所のようだ。
伐採し終わり再度魔物に攻撃を開始するとすぐに倒し終えた。
期待通りに木材がドロップする。
「よし、今日は調子がいいぜ。次の敵釣ってくるわー」
「レオンさんファイトにゃー!」
こんな感じでのんびり敵を狩りつつ木材集め。
難しい作業ではないのでほのぼの会話しつつできる。
こないだのドラゴン戦の緊張感とは雲泥の差である。
「レオンとニャーノさんはどんな家にする予定?」
「ログハウスみたいなのが作りたいんだよ」
「山の中にあるポツンと一軒家みたいにしたいのニャー」
自然の中にある山小屋的なログハウスか。
なかなか良さそうである。
「じゃあそこでバーベキューとかしたいな」
「そうだな、完成したらみんなを集めてパーティーだ」
「その周囲には滝があるといいわね。魔力を練る修行に使えそうだわ」
「滝もほしいニャー。そうなると高低差も……」
俺の家がある土地は平面だが、立体的な土地にもできるらしい。
デザイン考えたり作るのが大変らしいが、ぜひ完成させてほしい。
それを早く見たいのでガンガン素材集めだ!
そして順調に木材集めを続けていると、森に異変が起きた。
この辺りは木の魔物意外に、害の無い小動物がウロウロしていたのだがそれが見えなくなった。
「お、なにかの予兆だな」
「このあたりのレアモンスターといえば……」
これはレアな名前持ちモンスターNMの出る予兆。
そして大きな影が森の奥に見えた。
「おお、ログログトレント! 釣ってくる! カーター、陣形をいい感じにしといてくれ」
たしか正式名称はとう発音すればいいのかわからない文字で書いてある不思議な名前の敵。
様々な種類の木を混ぜ合わせたような見た目、さらに大量の木材を落とすことからそのあだ名がついたとか。
とりあえず今の状況にはうってつけの敵だ。
丸一日過ごして会えるかとうかわからない低確率らしいので、ここで会えるとは運がいい。
「フラウ、ニャーノさん。少し下がる。あのあたりの木の影から攻撃や回復をしてくれ。範囲攻撃の予兆が見えたら木で防ぐんだ」
「承知! これより陰よりの支援に移行する」
「影からサポートですニャー」
ログログトレントの名前の由来はもう一つ、丸太を周囲にぶん投げる範囲攻撃がある。
それを防ぐのに周囲の木が使えるのだ。
普通は地形を利用した戦闘はできないが、こいつは特別にできる。
この攻略法が見つかるまでは難敵だったが、これを知っていればそんな恐ろしくないのである。
「レオン、この辺りがいいぞ」
「よし、うまいことヒットアンドアウェイだ!」
木の影で丸太攻撃を避けるのは後衛なら容易いが、前衛はうまいこと動き回る必要がある。
でも下手に逃げ回ると敵も動いてしまうのでちょっと工夫が必要だ。
具体的には……。
「さっそく来るぞ。今狙われているのは俺だ」
大型の木が体をわさわさと震わせて、いかにもこらからなにかしますよというモーションを取る。
狙われているレオンはその場から動かない。
その時の敵の位置を見て、木の影に他の人は隠れる。
ここで下手にレオンが動くと、敵も動いて隠れるのが無駄になるわけだ。
そして全方位丸太飛ばし攻撃がやってきた。
「ぐおおっ!」
「回復ニャー」
レオンは丸太の攻撃で大ダメージを受けるも、回復魔法数回でなんとかなるはず。
もしあの攻撃をみんなで受けてしまうと、回復が間に合わず全滅コースだ。
こんな感じであの技を避けながら戦っていく。
ちなみにAIで動くレン樽達もちゃんと木に隠れてくれて優秀である。
HPが高いはずなので時間はかかるが、集中力を切らさず戦っていくぞ。
そして次の丸太攻撃の予兆、今回もターゲットはレオンのままなので、俺は木陰に隠れる。
するとそのすぐ近くにフラウが来ていた。
「どうせ隠れるなら後方にいる必要はないわ。一緒に戦いましょう」
「そうだな」
隣同士の木にそれぞれ隠れる。
スパイ映画とかでパートナーと同時に物陰に隠れる気分である。
「むー、フラウさん達イチヤついてずるいニャー! うちもー」
ニャーノさんも前の方に出てきた。
そしてレオンに近い木の陰から見守る感じ。
その姿はまるで、少女漫画とかでスポーツに励む彼氏の邪魔しないように見守るかのよう。
うーむ、なんか楽しいけど女性陣の思考はいろいろ不思議である。
ここでふと、フラウと知り合う前のことを思い出した。
レオンと2人で面白い動画が撮れないかといろんな敵といろんな戦い方を試してたんだよなあ。
それが今では2人とも恋人を連れ、イチャつきつつ戦っている。
いつの間にか冒険ものから恋愛ものにシフトチェンジしてることが何か可笑しくなる。
「楽しそうね」
「ああ、フラウがいるからな」
「うちもレオンさんがいるから楽しいニャー」
「お前らのんびり会話してないで戦えー!」
1人で丸太攻撃を喰らいHPの減ってるレオンが叫ぶ。
いかんいかん、いつもの癖で2人の世界に入り込んでいた。
でも楽しいんだよなあ……。
そして……なんやかんやで巨大な樹を倒し切った。
そして大量の木材をドロップする。
「よっしゃー、これでかなりの素材がたまったぞ」
「うちらの愛の巣の完成に一歩前進ニャー」
「よかったわね、にゃあ子」
「よし、どんどん手伝うから早く完成させてくれ」
この後もたくさん木を狩って過ごした。
いつものようにゆうすけ達やかしわもちが遊びにきたりもして、最終的にはかなり賑やかになっていた。
やはりみんなでワイワイすると楽しいな。
特に男女混じってるのがとてもヨシ!
ずっとこのまま楽しい日々が続くんだと俺は信じている……。




