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66.猫だらけ

 前回までのあらすじ。

 俺と花ちゃんの中は絶好調。なんていうかもう、中二病とか一切関係なく単なるバカップルと化しています。さて、現実ではそんな感じに楽しく過ごしている間、ゲーム世界ではかしわもちが大変なことになっているのでした。


 朝ごはんを食べ終わり、片付けをした後ゲームにイン!

 さてさて、かしわもちを探すとするか。

 今かしわもちは、フラウのレベル30おめでとうパーティーの計画を立てている。

 俺の役目は相談役をしつつ、観察することである。

 中二病的が好きそうなワードで言えば観測者……でいいのか?


 かしわもちの気配を辿った結果、服屋さんにたどり着いた。

 ここは戦闘用というよりオシャレ用の服が置いてあるお店。

 ゲーム側が用意してくれるものだけでなく、プレイヤーがデザインした服も探せる。

 そういうのが好きな人はここで過ごすだけで日が変わる恐ろしい場所である。


 窓から中を覗くと、猫耳としっぽのアクセサリーをつけたかしわもちが見えた。

 中の人のことを考えなければ、ちっこいホビホビ族はとってもかわいくなる。

 猫好きのフラウのためにコスプレをするのかな? 喜びそうなのでいいと思う。

 あ、なんかメッセージが来た。


『タカシへ、今メールしています。フラウちゃんのパーティーに参加するのって何人くらいになるかねえ?』


 店の中にいるかしわもちからだ。

 とりあえず、適当に数えて予想できる最大人数を返信しておく。

 店に入って直に話せよと思われるかもしれないが、不用意な接触が事象に影響を与えて観測結果に差異が云々……。

 要はこのまま見てる方が楽しそう。


 さて、かしわもちを見ていると……猫耳と尻尾のアクセサリーを今伝えた人数分買おうとしている。

 みんなあれをつけるのか……?

 女性陣はともかく、男はなんか痛い見た目になりそう。

 ドワーフの猫耳とか……まあ面白そうだからいいか。


 とりあえず俺の猫耳姿を見たフラウの反応を妄想してみよう。

 嬉しそうに抱きついてくるかもしれないし、ペタペタもふもふ触ってくるかもしれないな。

 よし、とてもヨシ!

 採用!


 ただよく考えると気になることはある。

 人数分用意してしまうと、自前で猫耳と尻尾を持つニャコラ族にも配ることになる。

 尻尾2つは猫又みたいでいいが、耳を増やすとなんか変だな。

 仕方ない、店に入って伝えるか。


 カランコロン。


「お、ここにいたんだね」


「あ、タカシ見てみてこれ。これをみんなで着けたらフラウちゃん喜ぶと思うんだよ。どう?」


 猫耳をぴょこぴょこ動かすかしわもち。

 動かす機能付きとは面白いな。


「きっと喜ぶと思うよ、でもニャコラ族の人のぶんは用意しなくていいかもね」


「あ、そっかあ。耳4つになっちゃうね。あ、でも尻尾は猫又みたいでいいかも。尻尾だけ配るのはどうかな?」


 親子だから思考が似通ってまうのだろうか。

 まあ、面白そうだしやってみもらおう。


「とりあえず渡してみて、本人が猫又になりたかったら付けてもらえばいいんじゃない?」


「そうだね、そうしよっか。じゃあ数はと……」


「あ、そうだ。買わなくても後からレンタルって手もあるんだよ」


 こういったオシャレ着は買うだけでなくレンタルもできてお財布に優しい。

 後からレンタルとは、いったん買っておいて、不要な分を後で返すことのできるシステムだ。

 つまり、みんなに配ってパーティーで使ってもらい、欲しい人にはあげて不要な人からは回収すればいいわけだ。

 パーティー前日に受け取れば、返してもらった分のレンタル代も安く済むしお財布に優しい。


「なるほどねえ、タカシはいろいろ知ってるねえ。そこらの主婦より経済的だよ」


「小銭稼ぎと貯金が趣味だからね」


「うんうん、貯金は大事だよ。しっかり貯めておいていつでも結婚できるようにね」


「ああ」


 昔の俺だったら、ここで気が早すぎだと思ったことだろう。

 だが今は違う。

 花ちゃんが学生から社会人へクラスアップしたら結婚したいと思ってるくらいである。

 というわけでゲームだけでなく現実でもしっかり貯金しよう。


「さてと、レンタルで安く済ませられるならコスプレ衣装もたくさん借りようかねえ。いいこと思いついたよ。ちょっと手伝ってくれるかい?」


「ああ、なんでも言ってよ」


「人に見られない場所で準備したいけど、どっあえるかい?」


「ああ、俺の庭に来なよ」


「タカシの庭! 行きたい!」


 俺の家の建設予定地は、自由に立ち入れるのは俺とフラウだけの素敵空間。

 かしわもちの手をとり、招待という形でワープ開始!

 かしわもちのアイデアがなんなのか楽しみだな。


「すたっ!」


 こんな風にエリア移動ワープをした時、ホビホビ族だけは空中に現れて、そこから地面に落下するという仕様となっている。

 見た目もコミカルで可愛く、ホビホビ族というのは楽しい存在なのである。

 なお、落下が苦手な人は設定で変えれちゃうぞ。

 ちなみに人族の俺は特に何もないが、好きなポーズで転移可能。

 最近はフラウと共にかっこいい転移ポーズを思案中である。


「ここがタカシたちのハウスね。わ、家はないけど木材たくさんだねえ」


「建設準備中だからねえ」


 工事現場を思わせるように並ぶたくさんの素材たち。

 ゲームなのでアイテムボックスに収納しておけばこうやって並べる必要はないのだが、雰囲気作りのためにこうしている。

 作る時も一気に完成まで持っていけるのだが、これまた雰囲気作りに少しずつ建設して動画でも撮ろうと思う、


「さてさて、じゃあこっちの空き地を借りるね。ちょっとした建物を作るよ」


 かしわもちは愛用のポシェットに手を突っ込んでいろいろなものを取り出していく。

 出てくるのは主に木材で、小屋の骨組みっぽいのがみるみるうちに組み立てられていく。

 まさに4次元ポシェットを操るかしえもん。


「かしえもん、木工スキルも上げてるんだね」


「そうだよタカシくん、ゆうすけと遊んでる時に教えてもらっちゃった。面白いからハマっちゃってね。こうやって簡単なものなら作れるのさ」


「なるほどね。それで何を作ってるの?」


「当ててごらん」


 骨組みを見ていると、入口っぽいのが2つあって2つの部屋がくっついたような構造に見えるな。

 この形だと、なんとなく公衆トイレを想像させる。

 だがこの世界の住人はトイレへ行かない。

 見た目をそれっぽくするためのトイレ家具はもちろんあるが、水を流して遊ぶくらいしかできない。


 余談だが、トイレに行く時は一時的にログアウトする。

 それが嫌で水分をあまり摂らない人もいるが、このゲーム機は体内の水分量が一定以下になると強制ログアウトさせてくる安全仕様。

 極まった一部の猛者はリアルでオムツを愛用するとかしないとか。


「公衆トイレっぽい構造だけど、そんなわけはないよね」


「あはは、もちろんだよ。でも男女でわけるってところは当たりだよ」


 建物の外観はほぼ出来てきた。

 オシャレなログハウス風の見た目で入り口が2つ。

 ここにくる前にコスプレどうこうの話をしてたわけだし、もう正解がわかった。


「なるほど、更衣室だね」


「そうそう。このゲームだと着替えは一瞬だけど味気ないからね。例えばほら、フラウちゃんがその場でパッと着替えるより、そこから出てきた方が良くないかい?」


 妄想してみよう……。

 フラウがかしわもちに渡された可愛い服を持ってあの中へ消えていく。

 俺はソワソワクワクしてそれを待つ。

 そしてあの入り口からフラウが顔だけひょこっと出して微笑む。

 その後、照れくさそうにしつつ登場……。


「いいかもね」


「だろう?」


 心の中では萌え悶えているのだが、母さんの前でそんなんになるのも恥ずかしいので冷静さを保つ。

 気分的にはいい妄想をさせてくれたかしわもちの頭をなでなでしたいところ。

 さて、外装ができたようだ。

 ここでかしわもちが手を止めて考えるポーズをしつつ俺の方を見る。


「ところで今悩んでるんだけど、衣装は外に置いてあるのと中に置いてあるのと、どっちがいいかねえ」


「うーん、中で見ながらいろいろ着替えて楽しむのがいいんじゃない?」


「そう思ったけどね、タカシはフラウちゃんとここにきた時にさ、着てもらう衣装を一緒に選びたいとは思わないかい?」


 確かにそうだ。

 何を着てくるかわからない状態で待つのもいいが、一緒に選ぶのも楽しそう。

 これはなかなか難しい2択だが、現実とは違うので解決は簡単である。


「外ではディスプレイとして飾っておいてさ、実際に着れる服は中に置いておけばいいと思うよ。確かそういう設定できたはず」


「あ、そういう手もあるねえ。確かくーちゃんにもらったんだよ」


 そして4次元ポシェットをまさぐるかしえもん。

 そこから出てきたのは、女性型マネキンである。


「確かこれに装備を合わせて、コピーしてぺったん……。ほらできた」


 かしわもちが取り出した衣装は夏祭り用のハッピ

 それをマネキンにくっつけて呪文を唱えると、マネキンがハッピを着た状態となった。

 かしわもちが持っている衣装は消えてない。

 このマネキンは持っている装備や服で好きに着飾れるわけだな。


「これ置いとけばイメージできていいね。これを見てある程度決めてから更衣室に入ればいいわけだ」


「そうだね。あとはマネキンを増やさなくっちゃ。いろんな種族のあれば賑やかになっていいよね」


「よし、じゃあマネキンの準備は引き受けたよ。母さんは更衣室作りの続きしてて」


「ありがとね、じゃあ任せたよ」


 と言っては見たものの、マネキンの入手方法をよく知らないので調べてみよう。

 ……えーと、わりとめんどくさそうである。


 なんかいろんなところで落ちるパーツ、頭、胴体、右手、右足、左手、左足を一式集めてようやく1つできるらしい。

 普通に集めるのは難易度高いな。

 そんないいものを普通にあげるくーちゃんはいい子ということを再認識。

 

 とりあえずギルドメンバーに一斉メッセージ送信で、マネキン持っていたら貸してほしいとお願いしておこう。

 あと集まらなかったら買うことも検討しておくかな。

 家にあれば普通にインテリアとしてもいい気がする。

 研究室とかに置いたら人体模型感が出て怖いかもしれないが……。


「さてタカシ、フラウちゃんに何着てほしい?」


 唐突にそう聞かれた。

 そりゃまあメイド服とか、はたまた露出多めの水着とかいろいろ思いつくけどそんなの母さんに言いたくない。


「えっと……それはまあフラウが着たいやつでいいんじゃ……」


「基本はそうだけどね。タカシが見たいのも聞いとけばさ、あたしがフラウちゃんにオススメしてあげれるよ。ほらほら、ちょっとこっち来て」


 かしわもちに付いていき、女子更衣室の中へ侵入していく。

 単なる部屋ではあるのだが、ここには今後男が立ち入れなくなると考えると感慨深い。

 なかなかオシャレな内装の中、たくさんの衣装が並んでいた。

 ドレスやら普段着ぽいのやら、かしわもちが着ているのを見たことある奴が多いので、私物かな。


「たくさん持ってるんだねえ」


「女性のたしなみだからね。持ってない系統のレンタルしてくるから、もっと豪華になるよ。ほらほら、フラウうちゃんがこういうの着てるとどうだい?」


 かしわもちが手にしたのは、食堂のおばちゃんが着てるような割烹着。

 リアル母さんが着ている姿が容易に想像できてしまう。

 だがこれをフラウ……あるいは花ちゃんが着てると考えてみるか……。


 なんとなく……小学生の給食時間の給食係の女子を思い出す。

 あの頃はコスプレという概念はなかったが、好きな子が給食係だった時はワクワクしたなあ。

 そうするとこんななんでもないような服でもフラウが着ればときめけそうな気がする。


「うん、まあ似合うんじゃないかな」


「じゃあこれとかこれは?」


 かしわもちが次々と服を手に取り提案してくる。

 そして俺はそれをフラウや花ちゃんが着るところを想像する。

 結果として、どの服であってもいいという結論が俺の中で出た。

 フラウ、もとい花ちゃんは常に可愛いのだ。


「うーん、なんかつまんないねえ。やっぱ男は女の服とかあまり興味ないのかねえ」


 俺の心の盛り上がりとは裏腹に、かしわもちは俺の反応の薄さにご不満のようだ。

 だって母さんの前で好きな子の格好がどうこうとかでテンション上げれないんだもん。


「そんなことはないよ。フラウは何着ても似合うってだけでさ」


「あらあらお熱いねえ。まあいいや、当日はタカシが言葉を失うくらいに綺麗なフラウちゃんを見せてあげるよ」


「それは楽しみだ」


 愛想なくそう答える俺だが、心の中では小躍りしている。

 果たしてどんなフラウを見せてもらえるのか。

 あとこの流れをいつかリアルでもやっていただきたいところ。

 母さんプロデュースによる花ちゃんファッションショーの開幕だ。


「さあて、次はゲームとか考えなきゃね。ビンゴとかカラオケ大会とか、手品大会とか。フラウちゃんは何が好きかねえ」


 コスプレパーティーだけですでに楽しそうだが、やはりさらに盛り上げる何かは必要だろうな。

 フラウが好きな催し物はあれしかないな。


「フラウは魔法が好きなんだよ。だから創作魔法大会とか喜ぶかも。見たことないような魔法を見せてあげたい」


「ふむふむ? いろな魔法をみんなで考えて……マジックショーみたいなものかねえ」


「間違ってはないんだけど、その言い方だとタネも仕掛けもある手品っぽくなっちゃうな。えーと……」


 あの子は素直ないい子。

 手品を魔法だと言って見せれば素直に信じてしまうだろうな。

 せっかく現実とは違うゲームなのだから、魔法を魔法と言って見せたい。

 かしわもちにどう説明すればいいかなあ、この自分でもよくわからないニュアンス。

 とりあえずいい例が以前にあったな。


「母さんが前に卵出す魔法使ったでしょ。あれはフラウがかなり喜んでたんだ。あんな感じのやつ他にあればいいんだけど」


「そうだねえ、じゃあちょっと鳥さんに相談に行こうか。よっこらしょーたいむ」


「えっ?」


 鳥さんに相談?

 不思議なことを言いながら俺の背中に取り憑くかしわもち。


「ほにゃらはにゃらるとんでいくー! まちあわせーは、かえるのまえでー」


 謎の呪文と共に景色が歪んでいく。

 ワープっぽいがどこへ行くのだろうか?

 やがて異空間トンネルを抜け、どこか知らぬ外に立っている。

 なんかすごい綺麗な景色が遠くに見えるから高い山の上?

 てか移動もできそうにない場所に立ってるんだが? 一歩足を踏み外せば落ちそうな断崖絶壁。


「ど……どこここ?」


「山の守り神様の新居だよ」


 山の守り神……おっきな鳥で、オルカオルデ平原の隅っこにある山に住んでいる設定。

 以前卵を守るというクエストを受けたことがあり、かしわもちは気に入られて鳥の卵を生み出すという不思議な力をもらっていた。

 でもなんでこんなところに来れるのかはよくわからない。

 ワープというのは基本、自分で移動したことのある特定ポイントにだけできるものなんだが?


「新居って……。そもそもどうやってこんなところに来れたの?」


「そりゃあ連れてきてもらったのさ。あ、さすがに家の中にワープしちゃ悪いからね、ここ待ち合わせ地点だよ。ほらきた」


 なんかでっかい鳥さんがバッサバッサと迫力満点で飛んできた。

 そしておれたちのいる少し斜め下の崖に沿って飛び始める。


「さあタカシ、飛びな!」


「えっ?」


 このゲーム、見た目崖でも落ちることができない場所は見えない壁があって移動できないはず。

 でも言われるままに足を踏み出すと見えない壁がない。

 どうせゲームで何かあっても死ぬことはないのだし、思い切って鳥に向かってジャーンプ!


「そおーい」

「ヒャッハー! 新鮮な風だー」


 2人でテンション高く空に飛び立つ。

 そして守り神の鳥様の背中に着地。

 そのまま鳥は急上昇し、山頂らしき場所にでっかい鳥の巣が見えてきた。

 まさか守り神の鳥の巣にいつでも行けるパスを持っているとは、かしわもち侮れぬ。


「さあついたね。鳥さんいつもありがとうね」


「一応神様と呼ばれる存在なのに普通に相手してる母さんがすごいよ」


「あっはっは。あ、この子うちの息子だよ。あ、覚えてるんだね。うんうん、あの時は大変だったよねえ」


 かしわもちが独り言を言っているようだが、でっかい鳥さんはかしわもちの言葉に合わせるようにでっかい目をパチパチと動かす。

 もしや心で会話しているのか。

 俺には鳥の声は聞こえなくて残念。


「それでねえ、今日は相談があるんだよ。今度、とある女の子のちょっとしたお祝いパーティーやるんだけどね。なにかすごい魔法見せてあげたいんだよ」


「うんうん、前卵を出すやつ見せたら喜んでくれたからあんな感じで見た目が派手ならいいんだ」


「そうだね、もう少し日があるから練習はできるよ」


「いやいや、そんなの気にしなくていいってば。来てくれるだけでありがたいんだから」


 かしわもちの独り言をひたすら聞いている感じの俺。

 これが現実だったら、母さんがボケてしまったのかと泣いているところである。

 なんかしてくれるようだが、プラウをここに連れてくるだけで喜ぶのではなかろうか。

 落ちてはいけないからと俺の体にしっかりつかまらせて……。


「あ、もちろん報酬は用意させてもらうからね。何がいいかな?」


「え? あたしの友達は鳥さんにとってもお友達? 嬉しいこと言ってくれるねえ。うーん……そうだ、パーティーに来た記念品をみんなに配るから、それは受け取ってね」


「うん、可愛くなると思うよー。他にも色々と……あ、食べれないものとかあるんだっけ?」


 お礼の報酬は受け取ってくれないようなので記念品をあげるという形にするようだ。

 もしやみんなに配る猫耳をこの鳥さんにもあげるつもりだろうか。

 そして鳥は何を好むのか……虫かな?


「あ、なんでも食べるんだ。好き嫌いしないのはいいことだね」


「え? 人は食べたことない? うん、それは一生食べないでほしいな」


 なにか物騒な話をしておられるな。

 この鳥のサイズなら獣やら普通に捕らえて食べそうだよな。

 モンスターのでっかいサイズの虫とかちょうど良さそう。

 その場合食事風景はフラウに見せてはいけないな……。


「だいたいこんなところかねえ。あ、お茶にしようか。はい、牛肉の煮こごり。お茶で煮込んでるんだよ」


 おっきなお皿に乗った立方体のゼリーのような物体。

 これは鳥さん専用の料理というかお茶菓子というか、お茶の代替品なのだろうか。

 なんか、しょっちゅうここに来てお話ししてそうだな。

 いいお茶飲み友達なのだろうか。


「え? そうなの? あの人とあの人が浮気ねえ……。わりと長いことバレずにやってるんだ。お天道様と鳥さんは見てるけど、下界の民にはわからないんだねえ」


「うん、ばれたらえらいことになるよね。だってあの家は子供多いだろう? 浮気はダメだから懲らしめたいけど、子供達まで被害に遭うのがねえ……」


 なんか話題が噂話に移行した。

 守り神の鳥さんは上空から街を見守っていると聞いていたが、こんな細かい情報も持ってるのか……。

 悪いことはできないなと思ってしまう。

 てか……仲良しの母さんの影響で性格が決まってたら怖いな。


「あ、忘れてた。ねえねえタカシはどう思う?」


「うん、浮気は良くないね」


「あ、そっちじゃなくてフラウちゃんの件」


 急に話を振られて適当に相槌を打ったが、間違えたようだ。

 なんて言うか、俺の助言の必要ないレベルだと思う。

 こんなでっかい神様と呼ばれる鳥が出てきたらそれだけで楽しいもの。


「それでいいと思うよ。俺も当日何が起こるか驚きたいし、この部分は母さんの思うままでいいと思う」


「そうかい? じゃあ鳥さんと話を固めとくよ」


「あ、ただ……その日でも後でもいいからフラウをここに連れてきてあげてほしいな。きっと喜ぶ」


「そうだね、家族しか連れてこないつもりだったけど、フラウちゃんなら未来の家族だしいっか。あ、今度ゆうすけとくーちゃんも連れてこようっと」


 ということになった。

 フラウが未来の家族……妄想はよくしてるが、自分以外の口から聞くとまた違う味わいがある。

 ゲームだけでなく現実でもそうなりますように。

 この後、山の頂上で写真をたくさん撮って帰りましたとさ。

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