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48.探索ロールプレイ

 前回までのあらすじ。

 今日の冒険は俺とフラウ以外にも2人の同行者がいる。恋が終わりし男レオンと、恋を求めし猫ニャーノさんである。4人でわいわいと移動する中、ゲーム内動画を撮ろうという流れになった。レオンは動画編集と投稿を趣味としており、俺と2人でよく動画を作っていたのだが、そこに女性2人が入ればいいものになる予感。なによりフラウの可愛い姿を残せるのが嬉しい俺であった。


 さて、ここはオルカオルデ平原に複数あるオランデー遺跡への入り口のひとつである。

 フラウが探索を楽しめるように、以前入った場所とは違う入り口を選んだ。

 フラウは自身が作成したマップを表示させ、現在位置を確認している。


「なるほど、以前赴いた場所とはかなり離れているわけね。探索し甲斐があるわ」


「そうだな、今日の道順はフラウに決めてもらう予定だ。いけるか?」


 探索大好きなフラウだし、進む道を自分で決めるのもやってみたいだろう。

 わりと見渡しのいい通路が多くて安全な場所なので問題ないと思う。

 レオンもニャーノさんも初心者に対する気遣いができる人たちだから、いい感じに合わせてくれることだろう。


「ええ、やってみたいわ。それに何があろうとあなたが助けてくれるのでしょう?」


 いつものやり取りだが、レオンが冷やかすようにヒューと口笛を吹く。

 ニャーノさんはそんな俺たちを羨ましがるような目で見ている気がする。

 フラウは2人きりの時以外でもそういうことを当たり前にするんだなあ。

 そういう男女関係を意識せずに言ってるっぽいからちょっと寂しいが……。


「もちろんだ。今日はレオンもニャーノさんもいるからな。より安全だ」


「そうね、2人とも頼りにしているわ」


「おう、任せとけ!」

「ニャー!」


 フラウははりきった感じで一歩前へ踏み出し先頭に立つ。

 昨日も思ったが、多人数での冒険が楽しいのかもしれない。

 しっぽ振ってて可愛い。


「本日の主目的は遺跡の探索。その際に暴走した魔導兵器を制圧。部品を可能な限り回収して正常な姿を復元するわ」


「おー!」


 フラウは普通に喋ってるだけでいい動画が作れそうである。

 あとは俺たちもフラウに合わせてそれっぽく喋っていこう。

 アドリブ芝居の見せ所である。

 劇団レオン&カーターwith厨二病猫と恋猫の舞台が開幕だ。


「そうだわ。移動先はわたしが決めるとして、戦闘に関してはどうしたらいいのかしら?」


 フラウの疑問はもっともだ。

 普段は俺が戦う敵を選んでいたからな。

 俺が最初に攻撃を仕掛けた方が、敵の攻撃を俺に向けられると言うのもあったし。

 だが今日は盾役となれる聖騎士のレオンがいるので、フラウに戦闘の口火を切ってもらっても構わないだろう。


「今日はメンバーが違うことにより、戦い方もこれまでと違うことが可能だ。フラウ、最初から敵に攻撃を仕掛けて構わないぞ」


「そうなのね。ならば方法は聞かないわ。皆の戦いに期待させてもらうわね」


「おう!」


 元気よく返事をしたのはレオンである。

 聖騎士というのはパーティーメンバーのを守り盾となる役目を持つ。

 打たれ弱い後衛職であるフラウやニャーノさんを守るのにうってつけなのだ。

 唯一の懸念点は、戦闘でレオンが俺より頼りになってしまうことだが、それでフラウがレオンに好意を持つとかはないと思いたい。


「ではまず進路の確保をするわ。炎よ唸れ……ファイアーボール!」


 離れたところにいる暴走タルタル、略してボサタルに炎の球が直撃する。

 そのボサタルは当然フラウ目掛けて走ってくるのだが殴りかかる直前に……。


「させるかっ!」


 レオンが盾でタルタルをぶん殴る。

 ボサタルはスタンという状態異常となって、一瞬動きを止める。

 動けるようになったボサタルはレオンを攻撃対象として殴り出す。

 このように聖騎士は敵の攻撃を引きつけるのが得意なのだ。


「はああっ!」


 俺も負けてられないのでカッコつけて大剣を振り下ろす。

 守りの聖騎士と攻めの闇騎士、相対する2人が共に戦う熱い瞬間である。

 ただし、今のレベルだと装備が似た感じなので違いがよくわからない。

 高レベルになると白と黒のフルアーマーとなって並ぶとかっこいいんだけどなあ。


 そんなわけで最初のボサタルをあっさり撃破。

 フラウは次なるターゲットに向けて魔法を詠唱する。

 あれは魔術師タイプのタルタルだな。


「暴走せし魔導石、その狂った魔力の流れを抑えてあげるわ。少しの我慢よ……アイスボール!」


 フラウ的には暴走したタルタルを救うために破壊する感じらしい。

 やさしいヒロインという感じがして俺好みである。

 おっと、そのボサタルはフラウに向かってファイアーボールの詠唱をしてきたようだ。

 炎の球がフラウ目掛けて飛んでくる。


「任せろ!」


 レオンがフラウの前に立ちはだかり、その炎を身に受ける。

 魔法に限らず敵の攻撃は通常狙った相手に確実に当たるのだが、聖騎士だけはそれを遮って庇うことが可能だ。

 なお聖騎士以外がこれをやると、魔法がすり抜けてちょっとシュールな絵となる。


「そういったこともできるのね。助かったわ」


 庇われたフラウはそんな嬉しそうでもないようだ。

 魔法好きなので喰らうのも好きなのかもしれないな。

 びっくりはするけど、別に痛いわけでもないので何気に楽しかったりするのだ。

 フラウ的には余計なことを、って気分なのかもしれない。


 なんとなく好きな漫画のシーンを思い出す。

 乱戦の中で死角から攻撃されそうになるピンチ時に味方が庇ってくれて『余計なことしやがって』と言ったら、庇った奴が『嬉しいくせに』というシーンだ。

 フラウが言ってくれたらそのシーンが実際に見れたのになと思う。

 ただ、さすがのレオンも初対面の女性相手だと即座の対応ができないかもしれないな。


 なんて考えてる間に魔術師ボサタルは崩れ落ちた。

 一体一体倒すなら、今日のメンバーだと楽勝なのである。

 その調子で最初の部屋をクリアにし、調査開始である。

 ボロボロではあるが大きな机やたくさんの椅子があり、会議室を思わせるような広い部屋だ。


「ふむ……この遺跡には様々な設備が整っているようね。そうなると古代の民は地下で生活をしていたことになるわ。地上には脅威があったのかしら?」


 そのへんは諸説ある。

 設定上は明らかにされてなくて、想像にお任せします状態。

 ちなみに俺の好きな説はこれだ。


「かつて地上にあったものが地下に沈んだ可能性もあるな。あちらの扉を見てみろ。岩盤で完全に塞がれている。あれは硬すぎて掘ることもできないらしいぞ。この説の真偽は不明だがな」


「なるほど……そんな考えもあるのね。ならば……沈んだのではなく上から様々な物が降り積もって埋もれた可能性もあるわね。このあたりに火山はあるのかしら?」


 その説もいいなあ。

 火山灰やら溶岩やらが遺跡を固めていきつつ、なんやかんやで海の水位も上がって今の大陸になってるとか……。

 妄想は自由なので夢は広がる。


「このあたりは高い山に囲まれている。かつては火山だった山もたくさんあるだろうな」


「なるほど……少し記録をしていいかしら?」


「ああ、好きなだけしてくれ」


 フラウは昨日あげた簡易研究室テントを展開して、中で記録をつけ始めた。

 まさに研究者である。

 さて、レオンとニャーノさんはと……部屋に入ってきてないってことは外にいるのだろう。

 なにかいい雰囲気になってるかなと期待しつつ、こっそり見にいく俺。


「レオンさん、どんな感じにしてたらいい動画になりそうですかニャ?」


「そうですね、フラウさんが研究者風に動いてるので俺とカーターは護衛って感じにしようと思います。ニャーノさんはどっちがいいですかね?」


「そうですにゃあ、やっぱり守られたいので、うちは研究者見習いで助手がいいですニャ。フラウさんがしっかり者っぽいのでドジっ子属性とかどうですかニャ?」


「お、いいですね。今フラウさんは静かに調査をしているようです。そこになにかを発見したニャーノさんが元気に飛び込んでいくってのをやりましょう」


「わかったにゃー」


 いい動画にしようと盛り上がってて、想像とはちょっと違ったけどいい雰囲気。

 ニャーノさんもこういうロールプレイが好きなのかもしれない。

 だったらレオンと気が合うし、ほんと付き合っちゃってほしい。

 たぶんもうすぐ部屋に入ってきそうなので戻るとしようか。


 部屋に戻ると、フラウはまだ何かを書いていた。

 調査が順調なようで何より。

 そこへパタパタと走るような足音が響いてくる。


「フラウさーん、変なものを発見しましたニャー。どこですかニャー?」


「ここよ、どうしたの?」


「わわ、いつの間にこんな研究室ができたのですかニャ?」


「ついさっきよ、入ってきてちょうだい」


 簡易研究室テントを見てオーバーリアクションするニャーノさん。

 なかなかいい絵である。


「おじゃましにゃーす。これを見てくださいニャ」


 ニャーノさんが手にしているのは、なにかの紙の切れ端だ。

 フラウはそれを受け取る。


「ふむ……これは」


「うちには読めないのですニャ。フラウさんなら読めると思って」


 それはこの世界の言語で書かれているので普通に見てもわからないが、強く念じれば頭の中に意味が浮かび上がってくる。

 当然それをすればニャーノさんにも読めるのだが、今は見習い研究員だから読めない設定なのだろう。


「そうね……たしかこのあたりに資料があったわ」


 フラウは飾り本棚から適当な本を手に取った。

 おそらくすでに読めているのだが、雰囲気作りをしているのだろう。

 リアリティーを追求するのかと思いきや、意外と演技派である。

 フラウはその本と紙切れを見比べ、翻訳している振りをしている。


「さすがフラウさんですニャー」


「この程度、あなたもすぐできるようになるわ」


 ニャーノさんがフラウの助手という設定にしたことをフラウは知らないのだが、今の振る舞いはまんまである。

 本人は真剣に調査してるだけだが、知らない人が見れば演技力すごいとなりそう。

 レオンやニャーノさん視点ではアドリブ力がすごいとなってそうだ。


「それでそれで、なんと書いてあるのですかニャ? 新発見だったりしませんかにゃあ?」


「ふふ、献立のメモが書いてあるだけよ。いつかはわからないけど、書いた日の食事はタルタル風シチューというのもののようね」


「ええ……たんなるメモ書きですかあ……にゃうー、残念ですニャ。でもでも美味しそうな響きですにゃあ」


「探せばレシピもあるかもしれないわ。過去の料理を再現するのもいいかもね」


「おお! それができたら歴史的大発見ですニャ! 探しに行ってきますニャー」


 元気よくテントを走りでていくニャーノさん。

 たぶんだが、あのメモ書きはニャーノさんがフラウを楽しませるために書いたのだろう。

 だってタルタルという愛称は現代人がつけただけで、過去の記録にタルタルという名前が出てくるわけないのだから。

 フラウはそのことに気づいていないようで何よりだ。


「転ばないようにするのよー」


 テントの中からフラウの楽しそうな声が聞こえる。

 ニャーノさんのドジっ子助手ロールプレイは大成功っぽいな。

 よし、俺も何か持ち込むかな。

 特に用途はないけど、フラウが興味を引きそうなものがなにかないかアイテムボックスを確認。


 見覚えのある樽の欠片。

 タルタルくん人形。

 タルットカード月。

 うーん……どれも遺物ではなく現代のものだよな。

 何か落ちてないか探そうか。


「カーターよ、困っているようだな」


 いつの間にか現れたレオンが小声でそう言ってくる。

 こいつの知恵を借りるとするか。


「ああ、さっきのニャーノさんのみたくフラウが喜びそうなものを持っていきたくてな。なにかないか?」


「あるぞ、こなこともあろうかと用意しておいた。これを渡してみろ」


 レオから渡されたのは、タルタルの歯車というアイテム。

 たしかなにかのクエスト用アイテムだったな。


「これなんだったっけ?」


「迷子のタルタルってクエストで必要なアイテムだ。本来ならここに落ちてるものではないが、バレることもないし楽しめるだろう」


 ふむ……たしか森で行方不明のタルタルを探してくれと言われて行ったら魔物がいて、そいつを倒すとこれを落とすんだったか。

 それを状況証拠として、タルタルは魔物にやられたんだと依頼者に報告に行く悲しいお話。

 なおオチとして、タルタルは家の倉庫に間違って閉じ込められてて、歯車はそのタルタルとは無関係というお騒がせエンドだった気がする。

 このクエストやるとしたら当分後のことだろうし、このまま研究室に飾っとくのもありかもしれないな。


「よし、これ渡してみるわ。ありがとさん」


「うむ、タル運を! お前にはニャーノさんを紹介してくれた恩ができたからな」


「お、じゃあいい感じか?」


「おう、夏の後に冬が来たけどすぐ春になった気分だ」


 この後すぐに冬にならないことを願う。

 そういえばニャーノさんがネカマということは知ってるんだっけか?

 まあいっか。なるようになーれ。


「紹介して良かったよ。お互い頑張ろうな」


「おうよ!」


 さて、俺は俺で自分の恋を頑張らなくてはならない。

 フラウの研究テントに声をかけつつ入ろう。


「フラウ、何か見つけたぞ。タルタルの部品みたいだ」


「興味深いわね。そこに置いて……いえ、そのまま見せてちょうだい」


「これだ」


 わりと大きめの物なので、両手に乗せてフラウに見せる。

 フラウはそれを眺めながら手で触れてくる。

 俺の手にフラウの手が時々触れてくすぐったい。

 机に置かずに俺の手の上で見ているのは、もしや俺の手に触りたかったからか? とありえない妄想をしてみる。


「駆動部分を制御しているもののようね。魔導兵器研究所を見学した際に見たものに似ているわ。じっくり見たいから角度を変えてもらえる?」


「よし、こうか」


 フラウが見やすいように持ち方を変える。

 フラウは虫メガネを持ってそれを様々な角度から眺めていく。

 俺に持たせたのはこうやって見やすいからか。

 助手な感じの俺だが、ここは共同作業をしていると思おう。


「損傷はないようね。破壊された魔導兵器のものではなく、交換用の予備部品なのかも。あったのはこれだけ?」


「ああ、残念ながらな」


「そう……ならば偶然これがあっただけかしら。製造や修理をしていた工房でも見つかれば大量にありそうなのにね」


 歯車ひとつでも楽しそうに考察していくフラウが可愛い。

 と同時に、ここで見つかったわけじゃないものを見せてる罪悪感もあったり?

 いや……俺はこの出来ることが限られたゲーム世界で、いかにフラウを楽しませるかということに工夫を凝らしているのだ!

 自分を正当化完了。


「そうだな。とりあえずこれは飾っておくか」


「そうね、今はまだ探索中だもの。あ、皆を待たせすぎても悪いわね。そろそろ戻るわ」


「わかった」


 空いている棚に歯車を置いておく。

 こうしておけばテントを収納した時に一緒にしまっておける便利仕様。

 当たり前と思われるかもしれないけど、ゲーム的にはすごいことなんだ。たぶん。

 フラウは楽しそうに研究テントをしまうのを楽しく眺める俺であった。


「2人はどこかしら?」


「外の通路で警戒をしてくれているはずだ。行こう」


「ええ、合流して次の部屋へ向かいましょう」


 2人で調査員ロールプレイの相談をしているのかもしれない。

 きっとなにかしらやってフラウを楽しませてくれそうなので期待である。

 通路に出ると、一体のタルタルと戦闘をしている2人が見えた。


「戦闘中のようだ。援護するぞ」


「ええ、不意をつくために無詠唱でいくわ。はあっ!」


 フラウの可愛く元気な掛け声と共に炎の球が飛んでいく。

 俺はダッシュしながら武器を構える。

 炎の直撃に一瞬遅れて切り掛かるので、気分だけ連携だ。


「待たせたな2人とも。俺たちも参戦するぜ」


「ふ、お前たちが来なくとも余裕だったがな」


「嬉しいくせに」


「嬉しいですニャー」


 呑気に言いたいセリフを放っていく俺たち。

 敵はかなり弱っていたようで、フラウが二発目の魔法を放ったあたりで倒れた。


「さあ、次の部屋への進路を確保するわ」


 フラウはそのまま先陣を切って歩き出す。

 探索を張り切っているようで何より。


「あいよお姫様」


 レオンが適当に言ったお姫様という単語。

 何故かフラウがそれに反応した。


「ちょっと待ちなさい。わたしのことをあなたは何か知っているの?」


「お? いや……俺にとって女性はみんなお姫様なんだよ」


「そう……。ならば注意することね。あなたの不用意な一言で、あなたの故郷が滅亡する可能性もあるのよ」


「お、おう……それは失礼したな」


「では進むわよ」


 今の不可解な会話に対し、なんとなくの予想。

 フラウの自分の設定の中にはどこかから逃げ延びたお姫様というのがあるのかもしれない。

 それがバレたら世界に影響を及ぼすレベルのどでかい設定が盛られているなら、先ほどの言葉にも納得だ。

 フラウをお姫様扱いはしないようにしようと心の中のメモに書き込む俺であった。


「レオンさん、うちもお姫様ですかニャ?」


「ええ、それはもちろん」


「じゃあレオンさんはうちを守る騎士ですニャー」


 小声でイチャつくニャーノさんである。

 普通の女の子はお姫様扱いされると喜ぶものなのであろう。

 あれ? ネカマだったか?

 まあ心は女性だろうからヨシ、気を取り直していこう。


 道中の暴走タルタルを破壊しながら進み、次なる部屋は図書室のような場所だった。

 本棚にはたくさんの本が並んでいるのだが、その本を取り出すことができない不思議な場所だ。

 本に手を伸ばすと見えない壁に阻まれる。


「これは……魔術による結界? 太古のセキュリティということかしら?」


「会員カード的なものがいるのですかニャ?」


「そうね、そのための鍵となる魔術具があるのかもしれないわ。少し探してみましょう」


 ゲーム世界の本棚は大抵読めないものである。

 とはいえVRゲーム世界ではこういうのも手にとって読めないとリアルではない。

 だからフラウが言ったように魔法で封じてる設定なのだろう。

 鍵があるかどうかは不明だが、あれば楽しいなと思いつつ探してみよう。


「鍵があるとしたらどんな形なんだろうな」


「そうね……擬態させるならばやはり本の形かしら。特定の場所に配置することで魔術が発動するとかね」


 ゲームとかで割とみる仕掛けだな。

 ここではないが、他の場所ではそういう仕掛けの本棚を見たことがある。

 いや、知らないだけでここにもあったらいいな。

 このゲーム、ゲームイベント的に何もない部分でもいろいろ探索できるように凝って作られているので、クエストやらに無関係な場所には未発見の仕掛けがあるかもしれない。


「この部屋にあればいいな」


「ええ、でも別の場所にある可能性の方が高いわよね。とは言え確実に調査していきましょう」


「そうだな」


 フラウと2人で端から順番に見ていく。

 レオンは多分周囲の敵を警戒してくれているはずだ。

 ニャーノさんは落ち着きのないドジっ子という設定のもと、あちこち走り回っている。

 かしわもちのごとく何か起こして欲しいものだ。


「ニャニャ!? ウニャーッ!」


 悲鳴と共に何かが動く大きな音が聞こえた。

 フラウと共にそちらへ向かうと、ニャーノさんが謎のドアの前に立っていた。


「どうしたんだ?」


「あ、転びそうになってそこの本棚の真ん中を掴んだら動いてこのドアが出てきたんですニャ」


 そこにあるのは、明らかに部屋の他の場所とは雰囲気の違うドア。

 正しく隠し扉である。

 果たしてここにはいったいなにがあるのか。

 レオンとニャーノさんの恋仲は進むのか。

 とてもワクワクする展開であった。

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