表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/100

24.ベッド上の儀式

 前回までのあらすじ。ひょんなことから出会った中二病少女と一緒に、俺がおすすめする某VRMMORPGを楽しむ日々。俺は彼女に惚れてしまっているが、向こうはどう思っているのかよくわからない状態。ま、出会ってまだ5日も経っていない状態だし気長に行こう。今日はどんな冒険しようかなー。


 今日は早朝からコンビニのバイトをしていて、お昼に終わる予定だ。 

 花ちゃんは本日補習で午前中は学校に行っている。

 お昼を食べたあと俺の家に来て一緒にゲームである。

 俺はデートの待ち合わせをしている気分で仕事を終わらせるのであった。


 そしてコンビニ弁当を家で食べ終わり、ちゃんとシャワーも浴びた。

 部屋の掃除もしたし、花ちゃんがゲーム時に横たわるベッドもキレイにした。

 あとは少し待つだけである!


 それにしても、あんな可愛い子が家に来るのに手を出したりしない俺はなんて紳士的なんだろう。

 なんてことを考えていると、心の中の悪魔が遊びにやってきた。


『へへ、紳士の皮をかぶるのもそろそろいいんじゃねえか? もう限界だろう?』


 うーん、たしかにわりと我慢は辛い。

 女の子と2人だけで部屋にいるのに何も起きないわけがないよな。


『そうだろう、今日はやっちまえよ。向こうもきっと待ってるぜ。多分あの子もシャワー浴びてから来るだろうしな。準備バッチリって証拠よ』


 そう言われるとそんな気がしてきた。

 こうやって心を惑わされる俺の元に、天使も遊びにやってきた。


『そうかもしれないわね。でもよく考えてご覧なさい。今まで手を出さなかったのは、あなたが紳士的だからじゃないわ。ただ単にあなたがへたれだからよ! どうせ今日だって、襲おうと思ったけどわたしに止められたって言い訳をして実行はしないんでしょう?』


 くっ……痛いところを突かれた。

 たしかに俺はへたれだから襲う勇気なんて無いし、紳士的に振る舞ってると言い訳してるだけだ。

 すまん、俺の心の中の悪魔……俺は妄想するだけで実行はできない男なんだ。


『そんなことはわかってるさ……でもこうやって毎日囁やけばいつかはやってくれるかもしれない。俺はそんな日を夢見て、お前に誘惑の言葉を投げかけるんだ……』


 悪魔……俺をそんなふうに思ってくれてたんだな。

 ああ、今日は無理だが、いつかお前の甘言に乗せられるよう努力するよ。


『ふん、なんかわたしが悪者みたいじゃない。いつもあなたが道を踏み外さないよう誘導してあげてるってのにね』


 すまん天使よ、そういうつもりじゃなかったんだ。

 お前にもちゃんと感謝しているさ。

 お前がいなかったら俺はきっとだめになっていたもんな。


『冗談よ、わたしも応援しているわ。いつかあなたが私を乗り越えて大人になり、童貞を捨てるその日をね……』


 天使……俺の心の中には俺を応援してくれる存在がたくさんいるんだな。

 あとは心の中のカーチャンが現れていつもの台詞を言ってくれるのだろう。


『タカシー、母さんねー、孫は女の子がいいなー』


 母さん、悪魔、天使……俺頑張るよ!

 ここで玄関からチャイムの音がし、時間つぶし妄想は終了した。


 玄関を開けて花ちゃんを招き入れると、シャンプーのいい香りが俺の鼻をくすぐる。

 いつか来てほしい幸せな時を思いつつ、俺は紳士的に対応する。


「さあ、さっそく向こうの世界へ行こうか」


「そうね、でもその前に今日のお世話をさせてほしいのだけど……」


 花ちゃんは俺の部屋をキョロキョロと、何かを探すように見回している。

 弟子は師匠の身の回りのお世話をするというあれらしいが……。

 昨日お昼ごはんを作ってくれたのでわりと満足なんだがな。


「昨日ご飯を作ってくれただろう。あれを時々してくれるだけで十分すぎるくらいお世話してもらってるぞ」


「それ以外もしたいのよ。でも掃除は必要無さそうだし……」


 花ちゃんはポケットからメモ帳のようなものを取り出して見つめている。

 あれにお世話することリストでもあるのだろうか。

 料理に掃除に以外だとなにかあるのだろうか。

 花ちゃんは小さく深呼吸をし、俺に問いかけてきた。


「ねえ、肩や腰が凝っているということはないかしら?」


 これはあれか? もしや肩もみとかしてくれるのか?

 ぜひしてほしい……しかしそうなると俺の理性がやばい気がする。

 俺の心の中の天使と悪魔と母さんよ、アドバイス求む!


『成り行きに任せろ、なるようになるさ』

『欲望のまま突っ走りなさい。どうせへたれてなにもできやしないんでしょうけど』

『あんたが小さい頃にもらった肩たたき券、まだとってあるんだよ』


 よし、成り行きに任せるか。

 きっと事故は起こらないだろう。


「んー、さっきバイトで重いもの運んだから少し腰が痛いかな」


「それならちょうどいいわ、さあそこに寝て頂戴」


 促されるまま、ベッドにうつぶせとなる俺。

 花ちゃんもベッドに乗ってきて……俺の太ももにやわらかな重みが……。

 これは……花ちゃんが俺に乗っかっている!?

 腰をマッサージするんだから当然の体勢なのか?


「では施術を開始するわ。痛ければ悲鳴をあげることね」


 何の色気もない、いつも通りの口調が今日はありがたい。

 この状況で可愛く何かを言われようものなら俺は憤死してしまう。

 柔らかな手が俺の腰を抑えてくる感触……最高です!

 欲望で理性がどうこうなるとか心配してたけど、ただひたすら感激で胸が一杯になる。


「どうかしら? こちらの世界では魔力を行使できないわたしの非力な力では不満かと思うのだけど?」


「そりゃまあ強いほうがいいけど、今のままでも十分だよ」


「安心して頂戴。今日は試練に挑む同胞と共に訓練を積んできたのよ。互いの体を犠牲にしあってね」


「ほう……」


 それはあれかい?

 JK同士がお互いをマッサージし合うという、傍から見たらいちゃいちゃうらやまけしからん光景のあれかい?

 時々くすぐったりして色っぽい声を出させたりとか……っとやばいやばい。

 そっちの思考にいってしまうといろいろやばくなるので、純粋にマッサージを楽しむマッサージ紳士とならねば……。


「ではいくわ、強すぎたら言って頂戴」


 花ちゃんが立ち上がったのか、太ももに感じていた重みが薄れる。

 スカートと思しき布が俺の脚裏をくすぐってきているようでなんとも……。

 おお……腰に先ほどの数倍の圧力が加わってきた。

 くうう……痛気持ちいい!


「どうかしら? 力弱き種族である我らが同胞が編み出した技法。膝であれば手より遥かな力を呼び起こせるわ。この強さなら満足行くと思うけど。まだ強くできるけど、どうしたい?」


 花ちゃんの膝が俺の腰をマッサージしているわけか。

 傍から見たら攻撃されてそうな絵面になってそうだが、間違いなく気持ちいい。

 後ろを振り向いて花ちゃんの生膝を見たいのを我慢する俺であった。


「うん……今のでちょうどいいぞ……」


「そう、ではこれで全部位を満遍なく治癒していくわ。ふふっ、男性というのは硬いものなのね」


 花ちゃんは女友達にマッサージ練習をしていたわけだよな。

 男に対してマッサージをしたのが初!

 なんか嬉しくなる……そして体というか顔が熱いな……。

 膝マッサージは腰を満遍なく圧迫してきて、本当に疲れが取れていく。


「ほんと気持ちいい……なんでそんな上手いんだ」


「念入りに特訓したからかしら。同胞に格闘技の心得がある猛者がいるのよ。その子を満足させるために皆で四苦八苦したものよ」


 格闘技の部活か何かで疲れた子を癒やすために皆でマッサージ練習したのか。

 仲いいんだなあ……そしてちゃんと友達もいて仲良くやってるんだなあ。

 中二病と言えばクラスで浮いてそうなイメージだったが、問題ないのかな。

 もしくは俺が知らないだけで最近の高校生はみんな花ちゃんみたいに……なわけないか。


「学校を嫌がってた気がするが、楽しそうだな」


「理解者の少ない空間にいるのは少し苦痛よ。でもそうね、今の試練に立ち向かう同胞には理解者が混じっているから」


「そうか、大切にしなよ」


「ええ、そうするわ」


 補習友達は花ちゃんの中二病にちゃんと相手してくれているんだな。

 高校時代の友達はこれからずっと長く付き合うことになるとよく聞くし、ほんと大事にしてほしいな。

 それにしても……ほんと気持ちいいし花ちゃんの本音っぽいトークも聞けるし幸せだなあ。

 まさにいちゃついてる恋人のような感じではないか。


 そして楽しい時はあっという間に過ぎ、マッサージは終了した。

 と思いきや?


「では最後に……我流ではあるけど、新秘術をあなたに試していいかしら? 同胞にも実施していない秘密の術よ」


「よくわからないけど、やってみてくれ」


 友達で練習すらしていない秘密のマッサージ?

 怖さ9割、秘密という言葉のワクワク1割。

 1割に賭けるというか期待しちゃうのが男心である。


「ではこれよりあなたの秘孔をついていく。痛いかもしれないけど我慢して。まずひとつ!」


「お、おう……ふおっ!」


 突如背中に走る鋭い痛み。

 細いなにか……指だと思うのだが、思い切り突かれたようだ。


「ふた、みー。よー!」


 なんか数を数えながら俺の背中を突いてくる。

 秘孔とか言ってたけど、俺死んだりしないよな?

 

「いつ、むー、なな、やつ、ここのとぉー!」


 なんかよくわからんが、掛け声が可愛いのでそれを楽しんで痛みに耐える俺。

 十回突かれて終わりのようだ。

 マッサージではなかったようだが、いったいなんの儀式なんだ……。


「終わったわ。ねえ、なにか思い出したりしてない?」


 そう問われるが、何も思いつかない。


「いや特に……なんだったんだ?」


「そう……前世の記憶を呼び起こす秘術だけど、そう簡単にはいかないようね」


「そ、そっか……」


 前世の記憶って……。

 あれ? ここでなにか思い出せばもしや?

 前世で恋人同士だったとか思い出せばそのまま……なんて展開もありえる?

 ならいっそ……いやいや、嘘はいけないよな。


「ありがとう師匠、これでお世話をする役目が果たせたわ」


「おう、こっちこそありがとな」


 立ち上がった俺は手足を伸ばしてビクトリーポーズ!

 後半のことは忘れ、前半の幸せなマッサージタイムを思い出す。


「体がスッキリだよ。ほんとありがとね」


「それならよかったわ。いつでも言って頂戴。師匠のお世話であれば毎日でもするわ。秘術も何度か行えば効果が出るかも……」


「そ、そうか……また疲れが溜まったら頼むよ」


 毎日でも……それはほんとお嫁さんに来てくれと言いたくなるが、あの秘術を毎日はちょっとつらい。

 でもそういう謎の行動も俺に気があるからとかだったりするのかしないのかなにがなんやら?

 何故か顔が熱くなっているので、花ちゃんに背を向けた状態でほんとよかった。


「それでは行きましょう。永久なる幻想の……いえ、真の世界へわたしをいざなって頂戴」


「よし、準備するか」


 花ちゃん用のVRセットはベッドの脇に置いてあるし、俺の分も机に置いてある。

 各自がそれを装着して横になれば準備は完了だ。

 でもいざなってほしいと言われたわけで……手でもつなごうと言ってみようか。

 思っただけで実行はできないのが俺であるけど……。



――Welcome to Eternal Fantasy――



 特に何もなくいつも通りやってきた。

 昨日は2人で一緒に落ちたので、目の前にはフラウがいる。

 俺と目があってニヤリと微笑むその顔が愛おしい。

 あー、俺ってこんな惚れっぽかったのか。


 いやいや、頭を切り替えて俺の中の中二病心を呼び起こそう。

 なお、予定は特に決めていない。


「さてフラウ、今日はどうしたい?」


「そうね……魔導兵器タルタルについての見識を深めたいわ。タルーガ博士に聞くのもいいけど、実地調査というのをしてみたいの。あなたと一緒にね」


 あなたと一緒に……深い意味もなく言っているのだろうけど、そんな言い方をされるとドキっとしてしまう。

 頼られている以上、いい場所に連れていきたいぞ。

 よし、冒険心をくすぐられるあそこにしよう。


「ならば地下遺跡を探検してみるか。制御不能となった暴走タルタルが徘徊している。出逢えば破壊するしか無いが、調べるにはうってつけだぞ」


「地下遺跡……たしかそこで発見された原初のタルタルから今のタルタル達が作られたのよね。ぜひ行きたいわ」


 というわけで目的地はロマン溢れる地下遺跡に決まった。

 暴走し殺戮をするマシーンと化したタルタル、略してボサタル狩りである。

 途中にはちょっとした文献やメモが落ちてたりもするので、きっとフラウは楽しめるはず。

 今日も一緒にゲームを楽しむぞ! とはりきる俺であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ