②-2-3 リコ2
(毎日こんな試合ばかりだといいな)
私が思うことはそれだけ。
槍から放出されたエネルギーが私の下腹部にある門をこじ開け、そこから幸せが体の隅々まで広がっていく。白い部屋に意識が解けていく。
私が私でなくなっていくような多幸感。
気持ちいい。
ずっとこうしていたい。
そうやって消えかけていた私の前に、不意に空から何かが下りてきました。
『私の名はエイレテュイア』
黒いシンプルなドレスを着た白銀の髪の女性。
碧い瞳を持つ真っ白い肌。
首には金のチョーカー。
『おめでとう。あなたは今、天上の快楽を感じているところです』
何て美しい。
可憐で儚げな女性は、私が知るすべての女性の中でも断トツ首位のかわいらしさだ。
『ここは快楽で作り出した生と死の岐路。もうこれ以上の快楽に至るとあなたは永遠に目が覚めない状況になってしまうので、急ぎ私が来た次第です』
そうですか。
それはご丁寧にありがとうございます。
心の中でお礼を言う私。
しかし私はその時、彼女がぼそりと呟いた独り言を聞き逃しませんでした。
「こんなことはあり得ないのに……勇者……本当に恐ろしい子」
彼女は何かを確認しているようなそぶりでした。
一体何を探っているのでしょう?
私が質問を投げかけようとした時。
『久しぶりに役目を果たせたこと、大変喜ばしく思います。我が信徒よ。あなたにも、幸せが訪れますよう』
彼女は微笑み、光の中に溶けるように消えていきました。
「待って――待ってください! あなたは……!」
誰もいない白い部屋で、自分の言葉だけが頭に響きます。
その後は無音。
消えてしまった彼女の面影を思い出しながら、私は一人、物思い。
――あぁ、居たんだ。アリスJ教に神様。本当にいたんだ。
まさか主神の名を呼んではいけないという宗教の主神の正体が十六闘神の一柱だったとは。
人間のでっち上げなんちゃって神様だと思っていました。売れずに煮詰まって自暴自棄になった駄作作家に宗教家が金でビンタして創作させた子供騙しだと決めつけていました。
でも人間に伝えられている女神は確か黒い翼があって、眼も髪の毛も黒で無垢な白いドレスを着ていたと思うのだけれど――いや、きっと同一人物なのでしょう。伝言ゲームには食い違いがつきものですから。
――私が無知でした。ごめんなさい。そしてよく来てくださいました女神様。
私は大盟主様の偉大さを改めて噛みしめます。
そりゃウチの大盟主様(神様)に昇天させられたのなら別の神様(十六闘神)が様子見にやってくることだってありますよね。そりゃそうです。私だって気になるし確認したいって思いますもん。ふふふ。
決めました。
私、明日からはしっかり生きていきます。我が木の根っこ人生にもう悲観しません。変にうがった見方をしたり斜に構えたりしないで、まっすぐ前を向いて生きていきます。地下活動する時もオタをキモい汚物だと見下す前に、一人の応援してくれる一人間だと思うようにします。
だから神様?
またいつか、もう一度お会いしたいです。
そして願わくば寝所のお相手を……。
私、舌には自信があるんです。女性相手でも敵なしだったんです。絶対に損はさせませんから。
だからお願い。
あぁ、女神様。




