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さしゅごしゅ! ~好き好き大好きご主人様~  作者: にーりあ
第二章 目覚めよと呼ぶ声が聞こえ。晴耕雨読な『二度寝の人生』を決め込むぞっ!

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②-2-2 リコ

リコです。


お忘れの方もいるでしょうから申し上げますと、つい最近までアリスJ教の巫女をしていた似非天使、マジ四大天使の一角ディオネ様を崇めるアルラウネリーナ氏族の木っ端班長でございます。


あ、いえ違いました。最近昇進したんでした。


今はディオネ様の上司たる大盟主様の率いる騎士隊の儀仗兵長兼大盟主様領世界樹の副管理者という過分な大役を仰せつかっております。


閑話休題。


皆さんは呪いの藁人形を御存じでしょうか。


ええそうです。丑の刻参りに使うアレです。


今日私は、大盟主様に藁人形役で呼ばれました。


農業やら宗教の巫女やら地下アイドルやらと様々な場数を踏んできた私ですが、藁人形役をするのは初めての経験です。


なんでも魔王が宿ったお姫様を救出するために必要な儀式だとかなんとか。


亜空間を連結して特殊な場を作りそこへ星幽体化した精子を通すとかなんとか。


正直何を言っているのかわからないです。


でもそういう魔法なのでしょう。深くは考えません。


この世界、考えを放棄する柔軟性こそが長生きの秘訣です。


伊達に神樹庭園の外で生きながらえたわけではございません。温室組とは生活力が違います。


とはいえ、そんな私でも驚く時は驚くのです。


呼ばれてホイホイ行ってみればそこにいたのは神話に出てくるビッグネーム。


世界三大凶獣の一角、旧世界を終末に追い込んだバハムートとリヴァイアサンにならぶ凶鳥・ジズが人の身に化けて鎮座しているではないですか。


「あの……呼ばれて、あの、お呼びに従いまか、まかりこしてあの……」


盛大にドモリました。声の震えをおさえられません。


目の前にいるのは海と陸でガチンコやってる中あっちこっちを燃やし尽くしたといわれる文明破壊の立役者。


それでなくとも私たちはでかい鳥が苦手なのです。あれらからみれば私たちは空飛ぶ虫のような存在です。生存本能が逃げろ逃げろとビンビンに訴えてきます。


「アリスJ教の巫女経験者。我が母エイレテュイアの名において依り代となれ」


少女の姿をした神の使徒が見た目に似つかわしい可愛らしい声を発したかと思うと、私の意識はぷつんと刈り取られてしまいました。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





次に目を覚ました時、私は真っ白い部屋にいました。


そこで私が行わされたのは、大盟主様との試合・性戦です。


私は某国の性界で不倒の巫女として名を馳せ君臨し続けてきました。


性界の皇帝巧克力玉向井のエキヴェンラッシュにも屈せず。


性界の大魔術師イーグルの絶頂術式黄金指の奏でる性音攻撃すら退け。


逆に両者を達せさせ勝利したこともあります。


つまり腕に自信ありなのです。


連戦連勝負け知らず。男級も女級も両タイトルを制覇し続けてきた私。


ですが私はこの時、知りました。


世界は広い。と。


絶望しました。


主人とはいえ、まさかこの私が、少年がごとき体躯の槍の前に完敗する日がこようとは。


この私が飛ばされた。絶対に飛ばないと豪語し、実際今日まで飛んだことがなかった私。魔神器桃色殿摩の洗礼さえ凌ぎ切ったこの私が。


接待試合と思い余裕をかまし己の不敗を信じていた私は、信じられない現実を直視させられ、長く長く伸びた天狗の鼻をへし折られました。


もう指先一つ自分の意思で動かせない。自己の意識下より離れた身体が、不定期に激しく痙攣します。


けれど何故でしょう、つらさは一切ありません。


イキ過ぎるほどイキ過ぎたというのに苦しさはなく、逆になんというか、魂がどこまでも広がる快楽の海を揺蕩っている感じです。


不敗の記録を止められた後に待っていたのは悔しさではなく、充実。


私は満たされている。


穏やかな気持ち。生まれて初めて感じた深い深い安心。


これが女の喜びというものなのか。


だとしたら私は――女に生まれたことを今日ほど感謝したことはありません。


まんまん万歳。ありがとう私。

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