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さしゅごしゅ! ~好き好き大好きご主人様~  作者: にーりあ
第二章 目覚めよと呼ぶ声が聞こえ。晴耕雨読な『二度寝の人生』を決め込むぞっ!

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②-1-3

深紅のドレスの上に赤き竜鱗の皮鎧をまとった金髪碧眼の人型。


真っ白な肌をした中性的な顔。その造形は儚さの中に凛々しさを併せ持つこの世のほとんどの男性を魅了するだろう整ったものだ。


だが俺は騙されない。


俺は知っている。この目の前の人型の正体を。


「ノア。俺は言ったはずだ。次に会った時がお前の最期だと」


「うん。……大好き」


「……ノア。俺の言葉が聞こえているか? 俺が今なんて言ったか復唱してみろ」


「次にあった時が結婚。勇者は今そう言った」


「言ってない、脳内で記憶を改竄するな。答え直せ、正確にだ」


「うん……次出会ったら2.5秒で合体。ボクはキメ顔でそう言った」


「やめろ。そういうのは色々アレだからやめろ」


やはり直っていない。目の前のノアは封印する前のノアのままだ。


――まずい。コイツが暴走したら城が燃えるどころか溶ける。かといって再び梁山泊エデンに沈めるには手持ちの触媒が足りない。


さてどうしたものか。また百回殺して卵状態スフィアモードにしてしまうか。


いやそれは悪手だ。卵から孵る時発動する翼神竜モードの超爆発フェニックスブレイズは王都を消し炭にしてしまうだろう。


――これは……――。


「これは困った手詰まりでしゅ、ってところでちか?」


不意にノアの後ろから声がした。


注視するとノアの後ろの空気が大きく歪み陽炎が――その中から人影が現れる。


「おはヨーグルトこんにチワワこんばんワイン! 勇者君!」


「……どういうことだ」


ノアの背から出てきたのは――姫。


しかしその声は――魔王だ。


「間に合わなかったと、いうことか?」


「うーん。それは難しい質問ばい? そうでもあるしそうではないといったところでちか。ジュラ君のせいでぽっくんの復活は不完全な形になってしまったとですよ。でもこうしないとぽっくん死んでしまっていたでしゅからしかたなかばい」


見た目は完全に姫。しかし声がイライラする感じのだみ声になっている。某ロボットものエクスなんとかに出てきた星川フ〇コみたいな声に。


「そうか。それは本当に残念なことだ。助けられるものなら助けたかったが、仕方あるまい。姫は尊き犠牲になった、そういう事だ。ならばここで貴様を滅ぼすことに何の障害もない」


「しぎゃぴー! 待って欲しいとでしゅよ勇者君! はやい! 見切りが早すぎるとでしゅ! ぽっくんがいる限りお姫さんは無事ばい! 逆にぽっくんを殺したらお姫さんは死んでしまうとですよ?!」


「なんだと?」


「ぽっくんは今気を失っているお姫さんの身体を魔術で動かしてるだけだとでしゅ。ぽっくんの身体は今卵ばい。だから星幽体アストラルボディすらおぼつかない状態でっしゅ。ひーこらひーこらばひんばひんでっしゅ」


「貴様……魔術だと? ということは、姫の身体は姫のもののままと言いたいのか?」


「そうばい? 子宮にくっついてる卵だけはぽっくんのものでしゅけど。あ、あとぽっくんの声を出すのにお姫さんの処女膜も貰ったばい」


「絶許」


「しぎゃぴー! おそろしっこ! すいま千円! ゆるしてクリンチ!」


「お前は忘れたのか? お前が俺にともだちんこをした瞬間から俺に滅ぼされる宿命を背負ったあの日のことを」


「そんなバナナ! ただのご挨拶だったのに!」


「お前は俺にぬぐいがたい屈辱を与えたこの世でただひとりの存在だ。俺はお前を絶対に許さない。絶対にだ!」


「なるほロケット。ぜっこーもんでしゅね? そこまでぽっくんの事に執着してくれるなんてうれちんこ、ありがたまきん♪」


「キサマアアァァァアアアァァァア!! 殺す! 殺す殺す殺す!!!」


俺は怒りのあまり我を忘れ全力鉄拳をぶちかました。


いつもは力をセーブしているのだがあまりのむかつきっぷりに見境なくぶっ放してしまった。


そうしたら俺の拳は魔王の側にいたノアをぶちのめし、アイツの作った結界すらも粉々にしてしまった。ついでにその余波で逃げようと準備していたジュラも巻き添えで粉々にしてしまったようだ。そういう手ごたえを得た。


当然破壊目標たる魔王は粉々だ。姫もろとも少しのかけらも残さぬほど目に見えないレベルで破砕され、いかに卵だろうと星幽体と言えど復活は不可能と思われた――のだが。


その後奴が何をしたのか。次の瞬間、映像を逆再生するような事象改編が起こり、奴はその場に戻ってきた。


「おそろ鹿! 危なく姫さんも死ぬところだったとでしゅよ! 勇者君ほんとパナイばい!」


「…………なるほど……今の俺の装備では貴様を殺しきることはできないようだ。ならば俺の命を対価に全力以上の力を振るうまでの事――」


「そんなことには付き合ってられまっしぇーん。勇者君ゆるしちくり? お姫さんはちゃんとかえすばい」


「愚かな。貴様の行いにより姫はもう死んだのだ。姫なのに膜のない人生など生きていてもつらいだけだろう。お前は俺を怒らせた。おとなしくここで消えていけ」


「それは無理でしゅよ。ぽっくんは勇者君が滅ぼしたジュラ君を生贄に大典礼〈カルネアデスの板〉を発動させたばい? 大典礼カルネアデスの板の効果によりぽっくんの魂は分割され一つが欠けてももう一つが欠けを復元するばい。そしてぽっくんの分かれた無事な方の魂はジュラ君と共にこの場からさいならっきょでしゅ! 少しの間姫さんからぽっくんは消えましゅが安心しちくり? 時間が経てばぽっくんは姫さんの子宮に戻るとでしゅよ。あいるびーばっくばい! そいじゃあそれまで、さいならっきょ!」


「ッ?! 待て――くそっ!!」


魔王による謎の術が発動し、世界は七色のタペストリーに飲み込まれる。


魔王を追いかけようとした俺の体は動かない。鎧が俺を守る為セーフティーを発動させたのだ。


次元のはざまに飲み込まれかけた俺をシノビが緊急脱出機能でその場から跳躍させる。




気が付くと、俺はパンデモニウム城内の王族専用の寝室に飛ばされていた。


そして目の前には、ベッドに眠るお姫様の姿があった。


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