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さしゅごしゅ! ~好き好き大好きご主人様~  作者: にーりあ
第二章 目覚めよと呼ぶ声が聞こえ。晴耕雨読な『二度寝の人生』を決め込むぞっ!

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①-2-3

使用したのは強制服従系の呪いをかけられた者に対して様々な状態異常を発生させる権能だ。


強制の呪いの抜け道を潜り抜ける者に対してよく用いられるこのスキルは、被従属者の中にある上位者への悪意そのものを感知し罰する。


例え何を企んでいようともこのスキルを前にはわずかな悪意すら隠すことは不可能。叛意は露見し対象者は地獄の苦しみを味わうことになる。


昔魔王が召喚した悪霊の神々の中でも最古参たる十六闘神の一柱を退けた時に奪い取った権能だ。泣いて詫びても許さない。死ぬよりつらい苦しみを味わわせてやる。


――と、思ったのだが。


「…………」

「…………」


「…………」

「…………?」


おかしい。


何も起きない。


いや違う。何も起きなかったのではなく期待した反応ではなかったというのが正解か。


そこに起きたのはデバフの反応ではない。バフを示す緑の発光だ。


「……おい。念のために聞くが、体の調子はどうだ」


「……そうですね。しいて言えば、力がみなぎってきていますが?」


「…………」


「緑に光っていましたし……これはあれじゃないですかね。呪いが反転して祝いになった的な」


「…………」


「私もこれで神官の端くれですから、この変化が祝福に属するものだというのはわかりますよさすがに。ということはですよ……なるほどなるほど。呪いが裏返ってバフ効果がもりもりな状態と。私の信仰は、他ならぬ貴方によって証明されたわけですか」


「…………」


少年は立ち上がると、試すかのようにその場で自己強化スキルを連続使用してみせた。


渦巻く風。少年の周りに宿る淡い光。


マルギットを凌駕し、ディオネに迫る勢いで戦闘能力係数が上昇していく。


無論、こちらへの敵意は感じられない。


逆にそのまなざしの熱量が、向けられる視線が、気持ち悪いことこの上なくなっていく。


その恍惚とした表情は、その現象を以って少年が純粋に俺を信奉している証拠だと訴えている。なんてことだ。それがわかってしまう己の頭が呪わしい。


「〈|機械仕掛けの巨神兵団召喚(コール・レッジョディ・カラブリア)〉」


自己強化をし終えた少年が召喚術を行使した。


「ははは、やはり……神は……かみわぁ! じつざいするぅぅぅ!」


地の一面に浮かぶ光り文字。それは【緑甲紋様(タイトグリフ)】と言われる未解明の機構(ラスタライズ)が働く時に現れるという【象徴筆画(シンボル)】。時空を司る大神(トリガー)クロノクロテスの眷属神らが用いる魔道の極みの一端だ。


「本当に呼び寄せられるとは……私は、とうとうこの高みにまで……」


少年の展開した召喚門から三メートルはあろう人型の泥人形が次々と行進してくる。その数およそ百。


看破の権能はそれを絡繰り人形(マルドゥーク)――下級オートマトン――であると示す。


「素晴らしい! 机上の空論と誰もが相手にしなかった究極召喚術レッジョディ・カラブリアが今我が手に! 今の私は魔王の四天王すら凌駕しますでしょう! これなら新しい宗派の総主教を名乗ってもいいかもしれませんね!?」


興奮し何度もガッツポーズをとる似非聖職者。


一方俺は失われた技術の遺産を見せられて言葉を失う。なんてことしてくれやがってんだこのショタは。それ【賢者】の上位ジョブ【預言者】の固有スキルだぞ。


「これはますますもって布教活動にいそしまねばなりません。さしあたってはこの地に教会をたてましょう。世界樹を御神木とすれば説得力は十分です。知り合いのつてを当たってみます。私の治める教団はアットホームで和気あいあいですからね、きっとすぐに賛同者が集まる事でしょう。それと魔王の排除も行わねば。今日明日中には活動を再開するでしょうが、力をつける前に討伐してしまえばよいのです。まぁこの力があれば魔王など襲るるに足らないでしょうがね!」


覇気に満ちたその立ち振る舞いはこちらをドン引きさせるに十分であったが、その斜め上を行く言動まではスルーすることができなかった。


「魔王討伐は既に俺がやったが?」


やめておけばいいのに俺は思わず確認してしまった。そうしたら


「いえ、新魔王のほうです。先代の中年オヤジではなく、この間一緒にいたあの女のほうですよ」


「は? あの女? というのは、もしや姫について言っているのか? その復活とやらは未然に防いだだろ」


「えぇ? いやいやまさかまさか。私言いましたでしょう? あの女の誕生日をもって儀式は成ったと。今頃彼女の中で魔王は孵っているはずです」


「何を馬鹿な。ステータスは確認済みだ。異常はなかった。呪いも憑りつきもない。間違いないぞ」


「いやいや呪いでもとりつきでもないですし。しいて言うなら寄生? ちゃんと子宮を確認しましたか? 卵があったでしょう?」


「…………」


――……何それ気持ち悪い。


少年の答えに理解の追い付かない俺は詳細な説明を求めた。


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