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さしゅごしゅ! ~好き好き大好きご主人様~  作者: にーりあ
第一章 魔王倒して勇者退職、悠々自適な『第二の人生』を楽しむぞっ!(敗残将掃討編)

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世界変革の鬨 ④-1-3

「そういうことです。ですからおとなしく私に捕まり、魔道具として魔王様の依り代となるのです。まぁ万が一私を倒すことができたなら? 生きながらえることも出来なくはないかもしれないかもしれないですがねぇ。ふっふっふ。ふはははは!」


なにこれ。


何そのとってつけたような設定は。


しかもアレだよ、よく魔王が倒されたところから始まる物語は大体魔王が復活するのが定石だとどこかの吟遊詩人が言っていたけど、これってそれ?


火の玉ストレートか。王道とはいえド直球が過ぎるのでは。


あと、聞き覚えのあるワードが飛んでいたような。


「すまん。ちょっといいか。一つ聞きたいことがあるんだが」


ビクッっと俺の顔を見て身を震わせる姫。どうやら俺の言葉を遮ろうかどうか吟味しているみたい。


片やどや顔でこちらを睥睨する魔術師風衣装の少年。


その様はまるでフカシた三流悪役。余裕に満ち溢れた態度が当て馬感半端ない。


「赤カブトって聞こえたんだが、それって熊だろうか」


「豪傑熊一族を率いていると聞こえませんでしたか? 説明しなければわからないでしょうかねぇ。これだから低俗な人間風情は」


「あ、いや、そうじゃなくてだな。ついこの間、お前の言う名前の熊とその他大勢を駆除したのでな。同一人物……同一くまぶつ? だったらすまないなと思ってな」


「…………はい?」


あ。


やっべ。


これ、ソイツだわ。あいつめっちゃ目を泳がせてるもの。


なんかごめん。知らなかったんだよそんな重要キャラだったとは。


――〈威気制圧〉――


「――っ?! うひゅぃ?!」


俺のスキルをもろに受けて、身を乗り出していたローブ姿の少年がドスンとバルコニーから地面に落ちた。


下はふかふかした芝なので大怪我はしていないと思うが、そこそこ痛かったのか苦痛に悶えている。


「いたひ……うぅう、なんです? なんなのですこの感覚は! ……貴方はいったい?!」


もがきながら、少年は驚きの表情で俺を見上げる。


俺はそんな少年に一歩近づく。もう十分しゃべったでしょうそろそろ退場してくださいと念じながら。


「魔王死すべし慈悲はない。関係者も以下同文。選べ。今死ぬか? 後で死ぬか?」


眼帯の少年は顔色を悪くし表情を歪ませ引きつらせている。信じられないものを見るような顔で目がきょどっていた。


「貴方何者ですか! こっちが聞いているのですよ? 答えなさい!」


威気制圧を受けて喋れるのか。


レベル1だったとはいえ大したものだ。レベル2にしたら死んでしまうだろうが。


殺すのは容易いが、姫の前で子供を殺すのはどうなんだろう。


ちょっとためらわれたので、俺はこの場ではそれっぽく尋問だけをして、殺すのは後にしようと決めた。


「その前に魔王の復活について尋ねておくか」


「はん! 誰が答えますか! こっちが先に聞いているのに答えないような無礼な奴に話すことなどないわい!」


「ほう。名前を名乗れば答えるのか? では名乗ろう。俺の名前はアトラス」


「はん! 今度は偽証ですか? 何がアトラスですか勇者の名前を出したくらいで魔王軍が驚くなんて思わないでください? こう見えて私はハーゴン級のアークビショップなのです! そんな小細工程度でひるむなんて考えないで欲しいものですね! ……え?」


俺はアイテムデポから聖剣を引っ張り出す。


「これはプロパガンダ用に作った名もなき剣なんだが――」


鞘から引き抜かれた刀身が青く輝き、その光を見た少年の目がくわっと開かれた。


「――お前が魔王の関係者だというのなら、噂くらい知っていよう?」


「それは……もしかして、魂砕喰剣ソウルイーター?」


「そうだ。人種族ひとしゅぞく間ではこれを聖剣エクスカリバーと呼ぶんだが、お前はこいつの正体まで知っているのか。ならば魔王の幹部に近い関係者で間違いはないな」


「そんな……そんなどうして、どうしてこんなタイミングに、こんなところに――」


「ちなみにお前がさっき言ってた熊のなんとかは死んだぞ。俺が殺した。お前の関係者だとは知らなかったのだ、すまない」


「な!? アレを倒したというのですか!? 殺しても生き返ってくるアレを……」


「あんなものただの偽死スキルではないか。魔王の同盟者の何某とかいう吸血鬼もどきに比べれば雑魚もいい所だ」


「そ、それはまさか、始祖ヴァンパイア・ジ・オリジンジュラ様の事を言っているのですか?」


「そうそれだ、確かそんな名前だ」


「……えっと、あの。あぁ。そう、ですか。そうでしたか……ふ、ふっふっふ。なるほど。なるほど。つまり……この邂逅は世界の選択せしさだめ、と。ふっふっふ……さらばです!」


少年は急いで立ち上がり、ジャンプ――して着地した。


「……あれ?」


少年はもう一度ジャンプ――して着地。


もう一度ジャンプ――して着地。


ジャンプ――着地。


「あ、あれ? お、おかしいですね。なんで飛べないのかな?」


ギギギギ、と、錆びたブリキの人形のように首だけこちらに向ける少年。


何かしら思い当たることがあったと言わんばかりに。


「ま……さか?」


そしてへたりと、その場に女の子座りした。


「知らなかったのか? ――勇者からは逃げられない」


「ひっ?! なんでほんもの!??!」


盛大に顔を絶望にゆがめて身を掻き抱く少年。その時小刻みに震えていたのはその場で漏らしてしまったからなのか。


おしっこすると震えが走ることって、あるよね。


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