表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エッセイ関連

アメトーーク!で不覚にも心打たれた話。40歳過ぎてバイトやめられない芸人にて

作者: セパさん

 アメトーーク!というバラエティー番組は、多くの人が知っているだろう。見たことが無くても名前くらいは聞いたことがあるのではないだろうか。


 システムとしては【〇〇芸人】(運動神経悪い芸人・東京に出たい関西芸人など)というくくりで、様々な芸人が悩みやあるあるでトークを繰り広げる番組だ。


 わたしは久しくTVを見ていなかったし、どちらかといえば〝10代後半から20代前半時代の思い出番組〟だったのだが、TAIGAという芸人が出ると聞いて久々に録画までしてみた。


 筆者はぺこぱのファンであり、ぺこぱファンやガチアンチの方はご存じと思うが、ぺこぱ……特に松陰寺(ナスビの方)はTAIGAというピン芸人を師匠と仰いでいる。


 TAIGA?となる人も多いだろう。そりゃそうだ、ぶっちゃけ売れていない。何しろ今回出た〝くくり〟だって


 【40歳過ぎてバイトやめられない芸人】


 というタイトルからして哀愁漂うものだ。


 目的だったTAIGAさん含め、出演したの芸人たちはM-1グランプリ、キングオブコント、R-1グランプリと、名だたるお笑い界の賞レースで決勝・準決勝まで勝ち抜いたメンツだ。


 〝それでも売れなくて、バイトをやめられない!〟というのが今回の趣旨。


 上記した様に、お笑い界の巨大賞レースで勝ち抜くほど実力のある漫才師・コント師・漫談師達だ。


 これが『まったく実力もなく、賞レースも1,2回戦落ち、ローカルTVのチョイ役にも出られない』なんて芸人だったら「才能無いよ、さっさと辞めろ。」で終わるが、そうではない。


 なろう風で言えば『コンテストで最終選考まで残るが幾度となく大賞を逃した。』『書籍化はしたが、思うように売れず単発、2~3巻で打ち切られた。』面々といえば、なんとなく伝わってくれるだろうか。

 

 タイトルにもあるように全員、齢40を超え、中には妻子持ちもいる。はたから見れば〝40過ぎたフリーター〟というなんとも悲惨な烙印を押されても文句を言えない人たちだ。


 そんな境遇でテレビに出るというのは、凄く意地悪い捉え方をするならば【笑い物】になる覚悟が必要となる。芸歴20年を超えており、上記したように数多の芸人が参加する賞レースで勝ち抜いた実績もある人々だ。プライドもあるだろう。


 それでも出演できる喜びの方が大きいことは、番組のVTRで見て取れた。


 〝夢を追う人間のドキュメンタリー〟


 こう書けば凄く手垢の付いた陳腐な言葉になってしまうが、正直【高校球児がプロを目指す】といったものや、【亡くなった母の意思を受け継ぎ医者を目指す】といったようなドキュメンタリーよりも心を打たれた。


 若い人間に焦点を当てた夢を追うドキュメンタリーは可能性に満ちており、素直に応援出来る。しかし、【40歳過ぎてバイトやめられない芸人】の言葉が全てを物語っているように、若くして成功する夢は既に失敗に終わっている。


 彼らの若いころ夢見た未来が〝今〟なのだ。


 それでも彼らは諦めていない。コンコルド効果で〝今更諦められない〟という気持ちもあるのかもしれない。だが先の見えない泥沼の中、困窮という耐えがたい現実の中、必死に夢を追っている。


 わたしは、不覚にもそんな彼らに勇気をもらってしまった。〝文才もないのに、いい歳こいて小説家になりたいなんて……〟と不貞腐れている自分が少しだけ恥ずかしくなった。


 セントラルクエスチョンが失敗しているという意味で、彼らの人生は【現時点では】BADENDと言えるだろう。それでも足掻く姿は滑稽でもあり、格好よくもあった。


 叶うか叶わないかではない。夢とは追いかける事そのものが楽しいのかもしれない。失敗すらも敗北すらも笑い話とする彼らのように、わたしも死ぬまで夢を見ていたい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] テレビ芸が下手だから売れないのでは? ネタ以外の方が需要が多いし。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ