活動
活動に参加しますが、内容が変わった活動もありました。
私は寝る時にマルシェで買ったチェック柄や花柄のガーゼのマスクをしていた。リップクリームを塗ってマスクをして唇の乾燥を防ぎたかった。
パジャマにマスク姿で廊下を歩いていたら、担当の看護師さんから「台湾に職員旅行に行った時の事を思い出しました」と言われて、他の看護師さんや看護助手さんを呼ばれて私は皆さんから注目されて少し恥ずかしかった。
朝は早く起きていた。ベッドの上でストレッチをしてから、顔を洗い歯を磨いてパジャマから長袖のシャツにジーンズかスリムパンツを履いていた。
顔に日焼け止めを塗りお粉をはたいて紫外線カットのリップクリームを塗り、首にタオルを巻いて帽子を被って、朝一番の煙草を吸う為に並んでいる方々の列に並んだ。エレベーターは毎朝七時に看護師さんか看護助手さんが稼働させておられた。
まずは病院内の通路を三十分歩いていた。コースは毎朝変えていた。
それから喫煙所に行き煙草をゆっくりと吸っていた。
病棟の部屋に戻り手を石鹸で洗いうがいをして、日記帳に睡眠時間と天気と気分を記号で書いていた。
食事は最初はお粥に特食のオカズだったが、変更してもらって特食の柔らかく炊いたご飯にして貰った。私は気まぐれにペースト食にしたり、刻み食に変更していたから、副長さんから「栄養部がもう変更は受け付けないってさ」と言われて、特食のままになってしまった。特食は常食に比べて味が薄味であっさりとした献立だった。総カロリーも1600カロリーと少なかった。
私は黙々としっかり噛んでゆっくり時間をかけて食べていた。
活動は運動系のにも参加してみたが、運動音痴で向いていたのはグランドゴルフだった。グランドゴルフと言っても、体育館の中で行われていた。集中力が必要でした後は疲れ果てていた。
体育館はかなり広くて、様々なスポーツが出来た。バレー、バスケットボール、バドミントン、卓球など。
所長が私と卓球をすると言うから、言われるがままにしてみたが初めてした卓球でラリーが続くわけがなく、見かねたカッコいい眼鏡の看護師さんが私の代わりを務めて下さった。お二人ともとても上手だった。私は二人を冷やかしながら応援した。私は調子に乗っていた。
体育館の活動では休憩時間が設けられて、作業療法士さんが冷たい麦茶かスポーツドリンクを渡して下さっていた。
料理という作業療法にも参加するようになった。四階の音楽鑑賞をする部屋で、長いテーブルを置いて、食材を切る係、煮たり炒めたりする係に分かれて作業をした。お菓子も作ったりした。出来上がった物を皆で食べて活動は終わっていた。
以前から参加していた、陶芸やアート、音楽鑑賞にも参加していた。
屋外の作業療法は日焼けするのが嫌で出なかった。カラオケと映画鑑賞も参加しなかった。カラオケは長く行っていなくて歌える曲が無かったから参加しなかった。映画鑑賞は観たことがある映画ばかりだったから参加しなかった。
カウンセリングの先生と話し合って、一日一つの活動に参加する事にしていたのだった。先生から「疲れる事はいけないわ。楽しい事は疲れるのよ」と言われていた。
陶芸は決まり事が増えて、前は同時進行で二個三個作れたのが、一個に限られるようになっていた。
新聞紙を広げて薄い綿の布を広げて、作業療法士さんから粘土を受け取って、両端に物差しのような板を並べて延べ棒で粘土を板の高さに伸ばした。思いつきで粘土を真ん中でプラスチックのナイフで切って、手の平に乗せて造形的な三角の器を二つ作ってしまった。私の様子を見ていた作業療法士さんは「仕方が無いですね」と二つ作るのを認めて下さった。手伝ってくださり、成形を終えた。
アートの時間に他県の精神科病院の入院患者さんが描かれた絵の画集を見付けて眺めた。力強い色鮮やかな絵から目が離せなかった。最後のページに何ページの作者の病名と入院歴が書かれていた。
カウンセリングの先生に尋ねたら、その病院を視察しに行った時に買われた物だと話された。アートの時間にしか見れない画集が欲しくなって、病院名と出版社をメモした。
作業療法士さんが毎回活動の内容を工夫されて、増やしておられていた。
音楽鑑賞の活動では、私は好きな洋楽ばかりをリクエストしていた。年輩の方が昔の歌をリクエストなさる時は皆で盛り上がっていた。そこで今流行りの曲を知ったりしていた。
病院のお母さんは活動には参加されなかった。料理には参加されていたが何もされず食べる係だった。若い女性は参加してもスマホでゲームをしていた。隣のベッドの女性は屋外での活動に参加されていたから、活動が被ることが無かった。
活動が終わると毎回手を石鹸で洗ってうがいをして、外に煙草を吸いに出ていた。
喫煙所に行くと顔見知りがいて、ベンチに座って話をしていた。
デイケアの方や作業所で働かれている知り合いも増えていた。話をする方も出来た。
月・水・金曜日の大浴場の入浴は欠かさず行っていた。
ある日「文!」と呼ばれてぼやけた視界で目を細めて誰なのかな、と見ていたら巨人好きの友達だった。彼女はとても興奮していて一方的に私に話をした。巨人戦があるから観に一緒に行こうと言うのだった。「カウンセリングの先生と私たちとで行こう」と私が言うと、「それなら観に行けるね!」と嬉しそうだった。彼女は二階の閉鎖病棟に入院していた。
お風呂を上がったら、仲良しの看護師さんから「文さんに会うと興奮するみたい。お風呂の時間をずらしてもいいかな」と言われた。「分かりました。彼女の為ですから」と私は言った。
私自身の軽躁はどんな具合なんだろうと思った。
「不思議な部屋」で、音楽療法と書いていましたが、正確には、音楽鑑賞でした。。。
明日にでも修正しますm(_ _)m