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魔女たちの宴 ヴァルプルギスの夜  作者: mask
破断の魔女
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破断の魔女

いたかった

さむかった

ねむかった

こわかった

「なんでこいつは死なないんだ!?」

「悪魔の子だからよ! 恐ろしい!?」

「おい! 誰か銃を持ってこい!」

「いや、斧で首を跳ね飛ばせ!」

「縛り上げろ!」

 ギリギリと少女は縄で両手足を縛られる。斧の刃が少女の瞳に映る。

やだ。やだ。やだ。

やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ――

「殺せ!」

 ジャシュ、と肉と骨が潰される音がした。



「これがあなたの、ねえ」

 復讐の魔女は足元に転がる頭を見ずに言った。

「可哀想、とでも言えば良いかしら?」


 たす、けて


「残念ね。生憎、私は救済者じゃないの。それに――」

 復讐の魔女は嗤う。

「あなたは世界に絶望しても復讐心を抱かなかった。利用する価値もない」

 復讐の魔女はしゃがみ、虚ろな瞳を覗き込む。

「それにあなたはまだ死んでないんでしょ。何度も罵られ、傷つけられ、殺されても」

 復讐の魔女の言葉に少女は思い出す。

 剣で斬られた。

 槍で貫かれた。

 縄で縊られた。

 銃で撃たれた。

 斧で刎ねられた。


 でも、わたしはいきている


「悪魔に憑りつかれた哀れな怪物。死を許されない永遠の罪人」


 どうすればいいの?


「知らないわよ。あなたは何を望むの?」


 わたしののぞみ?


 少女は自分の記憶から探る。


 ままがほしい


 わたしをすきでいてくれるままが


 わたしはほしい


「それならば私が名付けましょう」

 救済の魔女が少女の頭を優しく抱いた。

「あなたの名は『破断の魔女』。邪を破り、悪を断つ正義の魔女」

 救済の魔女は少女に微笑む。

「あり、がとう。まま」

 少女の頬に温かな涙が伝った。


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