救援
「……何とか間に合いましたね」
ギリギリと金属同士の擦過音が道に響く。
「遅い」
「いえいえ、助っ人としてはナイスタイミングだと思いますけど」
安堵の息を吐く復讐の魔女に救済の魔女は微笑む。
「ちが、う。まじょ、きた。たべる。たべ、たい」
「生憎、私は美味しくないですよ!」
錫杖を振りかぶる。
「あ、れ?」
鉈少女が宙に吹き飛んだ。
訳の分からぬまま家屋の壁にぶち当たり、崩れた煉瓦と共に轟音をあげて崩れ落ちる。
「本当に馬鹿力ね」
「乙女に馬鹿力は酷いですよ~」
「おい! 大丈夫か!?」
リクとソラ、そしてアルが合流する。
「? 誰よ、その子?」
復讐の魔女は救済の魔女の絹のローブを羽織ったソラを不思議そうに見る。
「ああ、この子はネズミだった子だよ。名前を付けたら大きくなって」
「はあ!?」
リクの言葉に復讐の魔女は驚愕する。
「じゃあ、この子はアンタの使い魔になったってわけ!?」
「まあ、そうだな」
復讐の魔女のあまりの動揺っぷりに、さすがのリクも何か不味いことをしでかしたのかと思い始める。
「余計なことをしてくれたわね」
「良いじゃないですか。これからの旅で力がないのは不便ですから」
眉間を押さえる復讐の魔女に救済の魔女は微笑む。
「俺は何かヤバイことをしたのか?」
リクは気になり訊いた。
「アンタ、今まで感じなかったものを感じられるようになったんじゃない?」
「ああ。うっすらとだけど。救済の魔女さんには魔力を感じられるようになったとか」
「なら決定。おめでとうと言っておくわ」
「何をだよ?」
リクの問いかけに復讐の魔女は嗤った。
「良かったわね。今からアンタは"魔導師"よ」