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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第七章 電脳のティータ
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電脳のティータ9

改稿済

「ノーパソ、『友』って…何?」


 風穴から疲れて帰ってきたファナは泥だらけで、ティータは慌てて風呂に一緒に入り、髪の毛を洗っている間にも居眠りをし、何とか持ち直して早めの晩御飯の後寝台でうとうとし始めてしまう。


「ファナ様、寝るの?」


「んー…疲れて…疲れて…」


と言いつつ寝台でころんと横倒しになると寝息をたて始め、ティータは布を掛けてあげた。


「ん…と」


 ハイムが作ってくれた机の上で、ノーパソを開くと、指で黒い画面に触れて起こしキーボードを叩いた。


『友…とは、いつも親しく交わっている相手』


 ノーパソはそうディスプレイに出してくれたが、どうにも違う気がする。


「そうじゃないの」


 するとノーパソが


『あるいは…』


と別の意見を出してきた。


『志や目的を同じくする相手』


「あ…これね」


 ハイムが言う関係に近いかも知れないと思い、椅子から降りてファナを起こさないようにそっと部屋から出る。


「無理じゃなくて…ティは女の子で、リムとか関係ない…ティ…」


 ハイムが慌てたようにティータを見て、自分のことを話されていたのかと、ティータはどきりとした。


 居間の扉から顔を出したティータは誰もいない居間で座り込んでいるハイムに、


「おいでよ」


と手招きされた。


 ランプの灯りがハイムの長身を、さらに大きく見せて少し怖い感じがした。


 そんな風に心が揺れるのも初めてで、それを隠すようにティータは薄絹を羽織れば良かったと後悔する。


「ティ?どうしたんだ?」


「私のこと、話してた」


 ハイムが


「あっ…」


と慌て、


「違うんだ。朝、王様がティもリムとして戦闘能力が高い。下手をしたら俺よりも…って言い出して。女の子のリムは騎士には仕えないんだろ?だから…」


と言い、困った顔をしている。


「ファナ様が私のことをそんな風に?」


「ティータは、うん、多分、ハイムお前を撒かすって…。俺はそうは…」


「なんなら、今から試してみるか」


欠伸をしながら掛布を頭から被ったファナがやってきて、眠い目を擦りながら、


「夜はティータに分がある。ティータ、ノーパソとシリたちを連れておいで」


 ファナが眠そうにぶつぶつとティータを見下ろしながら呟き、ティータは頷いた。


「尻、全部?」


「ああ」


「ファナ、じゃあさ、俺が勝ったらどうする?」


 成人したとはいえまだ十五と若いハイムがむきになり、


「ちゃんとティの名前で呼んでいい?俺が負けたら、ティより下になる」


と宣言する。


「なに、それ」


 ティータにはよくわからないが、どうやら賭けの何からしい。


 しかも、勝手に。


 腹立たしい…気もする。


「は?ティータ負けねえし」


 ファナが再び欠伸をしながら、


「ティータならできる」


って笑うから、多分…勝負どきなんだと思う。


 しかし…ティータより下に…が分からない。


 リムにはヒトではないから…ハイムもヒトではなくなるのか?


「さあ、外に」


 ファナの言葉に、ティータは頷いた。

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