電脳のティータ7
改稿済
今回重吾の血でよみがえった辺境の遺物は、ノーパソと尻十匹だった。
眠っていたノーパソはアーバー グランドの情報を肌身で感じ取り蓄積していて、また辺境の様々なことをティータに教えてくれ、ノーパソと尻とは親と子どもみたいな関係で、尻たちは見たり聞いたりしたことを、ノーパソに遠距離からでも同時性を持って伝えることが出来るらしい。
リムが使う水鏡や風音と同じようなことを、労力なしで常に行えるのだ。
ファナがジュリアス王国に一匹置いていきたいと話していた。
当のファナは死体の重吾と、風穴の辺境の遺産に漁りに行っている。
もう少し戦力になるものを探しているようで、理由を訪ねると、
「だってさあ、少しでも楽したいじゃん」
とファナが子どもみたいに破笑した。
血の使いすぎ死体の重吾の顔色が悪いのに。
ファナはずっと動いていて相変わらずガリガリに痩せているし、昼御飯の兎サンドを持っていったから、しばらく帰らない。
「美味しいもの…作る…あ、おかえりなさい…」
扉が開きハイムが入ってくるが、ここ最近元気がない。
「あ…ポンチョ」
ティータは全裸なのを忘れていて、キッチンの踏み台から降りると、小さくため息を付きながらハイムの為に身に纏う布を取りに行った。
「いいかげん…リムに…慣れてほし………え?」
木の椅子に腰かけたハイムに、手を捕られる。
「……や…っ」
振りほどこうとするが、高い背格好のハイムの腕はびくともせず、ティータは身を固くした。
「王様と契約した時…すごく悔しかったけど…。王様は、恋愛は別だって言った。俺はティに一目惚れしてる。ティのことが好きなんだ」
ティータは青臭く真摯なハイムの言葉に戸惑い、やっと…やっとマスターを得られた幸せだけで良かった気持ちの満足さを踏みにじられた気がして、むきになってハイムの手を振りほどこうとする。
びくともしないその手は二つに増え、ティータは左手をハイムの両手で包まれた。
「私のことなにも知らないのに」
ティータはハイムの真摯が怖い。
その心に押し潰されてしまいそうで…。
「過去も未来も知らなきゃダメか?今のティを好きなのに?」
「私はリム。あなたとは違う」
「同じ人間から生まれたんだろ?」
西にはリムがいないという…だからただ夢見ているのかも知れない。
「私は……」
フーパの屋敷でも、騎士崩れの小遣い稼ぎでも、ただ無惨に犯された。
ティータにはそれが重く苦しくてたまらない。
自由を謳歌するリムにとっては、それされ昇華され甘受されるのに、ティータは夢に見て泣きたくなることもあった。
天真爛漫にティータに伴侶になりたいと騒ぎ立てるハイムに、知られたくないと思うのは…なぜだろう。




