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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第六章 花の守り人
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花の守り人4

改稿済

 黒い影が疾風の如くやって来て、俺に襲いかかる。


「ファナ様っ…」


「リムを泣かすなあああっ!」


 俺は低い姿勢をとり、左手で高速の剣を受けていた。


「トンファ、伸びろ!」 


 左腕にはトンファが伸びて、黒衣の長身の剣を受け止めて鈍い音がする。  


「わ…ああ!待て待て、俺は…っ」


 問答無用で反り刃の剣が降り下ろされ、俺が防御に回る。


「やめなさい!この方はリムよ!」


 長身の男が振りかざす剣を止める。


「……んあ?」


 ティータが冷静に長身の男に言った。


「あなたの目は節穴なの?あなたが闘った相手を見なさい。あなたはリムを傷つけようとしたわ。リム狩りなのかしら」


 俺と長身の間に入り、ティータがその男を睨み付ける。


「お前さん、ファナ…ファナじゃないか!」


 長身の男が花畑に低い体勢で伏した俺から、身を起こして俺…いや、ファナに振り返った。


「知り合い…か?」


ファナの、だが。


「す、すまない。モフルの森で会った時より、雰囲気が違い…。ハイムだ、覚えているか?」


 俺が苦笑いをしながら起き上がると、ハイムと呼ばれた男は、死体の重吾と背格好が似ていて、しかし…体毛が濃ゆい。


なんだこの無精髭は。


「悪いが、覚えてない」


「そうか…まだ、小さかったからなあ」


 どう言えば伝わるのか、わからない…見かけは美少女、中身はお兄さん二十五歳、おじさんとは認めない、と、でも?


「ファナ様に傷がないならいいわ」


 ティータが俺の反対側の服を引っ張り、ランクルに乗るように促してきた。


「あなた、よく考えて行動した方がいいわ」


 ハイムの顔は死体の重吾よりも眉が太く濃い目なのだが、赤毛がまだらに混じる黒い癖のある髪の毛と上背が似ていて、しかも腕つきの長いローブの中近東の黒ビシュートのような上着が楽そうで…俺は死体の重吾に似合うと思っていた。


 そんなハイムがティータではなく、俺をじいっ…と見ていて、


「お前さんも、リムか?」


と俺に尋ねる。


「当たり前よ。ファナ様はモルト、リムの至高よ」


「花冠のリム…名前は?」


「ティータ」


 ティータが言葉少なに言い放つとハイムが全力の笑みを浮かべ、ティータに片膝をついて、左手を自分の胸元に、右手をティータに差し出したのだ。


「可憐だ…すごく可愛い…結婚してください!」

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