表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第一章 フーパの屋敷にて
6/226

フーパの屋敷にて5

改稿済

 服が着られない。


由々しき問題だ。


俺は鏡にうつる『ファナ様九歳』を見た。


ちなみに俺の身体はベッドに寝ている。


真っ白ですけるような肌と、痩せすぎなくらいの細い手足とらさらさら金髪に碧眼…むちゃくちゃ美少女に、すみません二十五歳警察官の魂が…まじか?


 俺の相棒警察車両ランドクルーザー…ランクルだって、塗装がなくなり鉄色になるし、何が何やらわからない。


「ここはアーバーグランド大陸だ。グランツ達がつけた名前だ」


 ラビットが唯一何とか身体に巻けるバスタオル…タオエルというらしいが…を出しつつ話してくれた。


「リムのくせに」


と、騎士にげらげらと笑われる。 


「なんなんだ?」


「辺境の黒髪の兄さんの持ち物なんだな、このリムは」


ラビットの言葉に、


「だから変わってるのか」


と馬鹿にされたように笑われ、騎士に「一杯おごりな」と、ラビットが麦酒を陶器ジョッキで渡すと、騎士は俺の死体に向かい乾杯と杯を上げてから、ラビットの横でわいわいと話し始める。


 バニーガールも中で笑っていて、その姿を何となく眺めていると、茶色の長い髪をひとつにまとめてアップにしているバニーガールと目が合い、嫌そうな顔をされてしまった。




リム嫌いなんだよ、あの子はな、とラビットに言われて、自分のことではないのに、自分に降りかかった嫌な気分に俺はベッドに転がった。


「眠れん」


 俺は月明かりの差し込む真夜中のベッドに転がり込むと、大の字になった。


「あーあ…」


 アーバーグランド大陸なんて世界地図にはないし、辺境人と言わる筋合いもないこの世界は、まるでヨーロッパの片田舎だ。


まあ、世界旅行に行ったことはないけど。


 焦りがないと言えば嘘になる。


「寝れん…」


 声が女の子なのにも違和感ある。


「きゃあ…なんてな」


 月明かりを一身に受けた美しい少女はどんな風に生きてきて、なぜ縊られたのか。


再び鏡を見る。


 抜けるような白肌色に、金糸の髪は横髪だけ顎ラインでカットしてあり、長い髪が幼い顔を少しだけ大人びて見せていたが、丸い頬と大きな青い瞳がまだ、庇護下に置かれるべき年齢だと理解させる。


 なにより全裸の肢体はまだ小さく細くしなかやで、いや、痩せっぽっちの鎖骨の真ん中で、赤々とした不思議な花びらが輝いていた。 


「明日、騎士団の本部にいくから、寝ろ、俺」


 生温かい体温…不謹慎だとは思うが、ベッドは一つで譲る気はない。


俺は死体である俺の身体横に潜り込み、やっぱり違和感のあるバスタオルを外すと、ファナ様に申し訳ないと思いつつ寝た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ