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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第五章 銀の聖騎士
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銀の聖騎士4

改稿済

 シャルルの目測通り男の足を切り裂き、男が悲鳴をあげ、シャルルはたたらを踏む。


「シャルル様!」


「大丈夫だ…」


 老騎士が駆け寄るが、シャルルは歪みを感じ、老騎士から離れた。


「……誰だ…お前は…」


 老騎士から感じられる妙な冷静さが違和感に感じられ、銀の剣に当たる光が歪んでいる。


 老騎士の動きが止まり、


「ほう…リムとの戦い方を心得ているな…」


と、口を歪めた。


「ルシドラ、幻影を解け」


 老騎士の姿が壮年に変わり、くすんだ銀の短い髪をオールバックに撫で付けた、神経質そうな上背のある男に変わる。


「お前は…見たことがある…東の騎士団駐屯地の隊長…ガゼル。隊を全滅させた男」


 東の騎士団は三つの隊があり、その全てを殺したと言う無惨な話を聞いたことがあった。


「そんな噂が流れていたのか…。チロルハート、お前の幻影攻撃もなかなかだな。私はガーランド王国騎士遊撃隊長ガゼル。東の駐屯地には少しばかりいたが」


 チロルハートがケタケタと高笑いをしながら、


「そう、そのほとんどはあたしが()ったのさ!ガゼル様の幻影を使ってな!ガゼル様、そいつはあたしが…」


と、近寄ってくる。


「ルシドラ」


「はい」


 ガゼルがルシドラと呼んだリムに何やら命令し、ルシドラが軽快に大聖堂の前に走り出る。


「ちっ…」


 ガゼルを交わしながら、大聖堂に近づこうとすると、大聖堂の脇に既に背中の傷が致命傷になって事切れている老騎士を見た。


「聖騎士よ、見事な立ち回りだが、お前の弱点は人を殺せないところだ」


 ガゼルの足を狙う太刀筋を読まれ、シャルルは甲高い剣のつばぜり音を響かせる。


「それが…俺の弱さなのは…」


 そのまま剣を地に刺しそのまま軸反動で回転すると、ガゼルの胴を蹴って距離を稼いで大聖堂の扉まで転がった。


「充分に知って…いる!」


「では…このような卑怯な遣り方は、知りませんね。シャルル様」


 背後から脇腹に違和感が走り、温かい体液が足に伝わる感触が気持ち悪い。


 シャルルは背後で守る扉が少し開き血の滴る刃が見える。


 薄い短剣で銀の甲冑から隙間を狙い脇腹を刺され、がくりと片膝を付いた。


「失礼します、聖騎士様」


 ルシドラがシャルルに手をかざし、シャルルは影のような闇に足元からからめられ拘束される。


 背後の扉が開き、シャルルがバラの蔓のような搦め手で覆われた闇の蕀から振り向くと、シャルルを刺した短剣を首に押し付けられたテオがいた。

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