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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
閑話 生きた死体の洗い方
45/226

生きた死体の洗い方

改稿済

「ファナ様、マスターが臭いわ」


 俺はふんふんと死体の重吾の臭いをかぎ、そのスメルが死体独特の臭いではなく、お兄さん臭…加齢臭じゃない…にこくんと首を縦に振った。


 月明かりは淡い光に溶けて、自然に近いリムたちは起き始め、箱庭をぐるりと囲む小さな部屋たちから、静かに死体の重吾と俺とティータのいる部屋を遠巻きに見ていた。


「なんか…怖いな」


 俺は身の危機を感じて死体の重吾の前に立った。


「大丈夫、あなたはモルト。呼ばない限り来ないわ」


「本当か?」


「本当よ。それくらい分かりなさいよ、お馬鹿さん」


 これはファナ様にではなく、間違いなく俺に言っていて、ティータは深く息を吐く。


「マスターをお風呂に入れましょう」


「へ?」


「だって臭いもの。ポンチョは脱いで、一緒に入れば問題はないわ」


 いやいやいやいや、問題あるでしょーーー。


 だが、ティータが重吾の服を苦労して脱がせはじめ、ファナにはない下半身のものを指差す。


「あら…ちゃんと男性なのね、マスター」


 見られた…全部…見られました…。


 大人一人に子ども二人の湯船は狭かったが、臭いと言われた全身を二人で泡だらけにして、俺はティータに頭を洗われてタオエルでしっかり拭き、三人で朝風呂を堪能した。


「これで大丈夫、臭くないわ」


 大の字になっている重吾に服を着せるのが…正直…めんどくさい。


 もう少し簡単な服はないもんかな…。


 俺は生きた死体のケアを正直考えているところだ。

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