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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第四章 楽園へようこそ
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楽園へようこそ6

改稿済

 楽園では全裸…俺は最後の砦であるリムポンチョを洗濯に出され、全裸のまま食事と寝台に入ることになった。


まるで精神的拷問だよ。


 ティータは裸に馴れているようだが、俺にはどうにも居心地が悪い…罰を与えられているようだ。


「ファナ様…眠たいわ…」


「そうだな、寝るか」


 せめてタオエルを巻かせてくれと、ティータに頼んでみたものの、リムの最高位であるモルトの肌を傷つける気かと一蹴された。


俺の死体は椅子にダルそうにもたれていて、それはそれで幸せそうだ。


「で、ティータはどこで寝る気なんだ?」


 フードポンチョと同じ滑らかな布の寝台に上がり俺が横になると、床に座り込むティータに声を掛ける。


「私は床よ。モルトに支える身だから」


「右側が空いてるけど?」


「……それは命令?」


 俺は少し笑いながら、


「ああ、命令だ。語り部でありモルトの従者ティータ」


と厳かにファナの声で言い放つ。


 ティータが


「従うわ」


とベッドに入ってきて、俺の右脇にぴったりと収まった。


「いい?ファナ様のご命令だからよ」


 口は悪いがぴたりと密着して来る辺り、安心しているのだろう。


「ティータ何歳だ?」


「十一歳。生まれたばかりのファナ様とは二歳の時に会った。私は記憶力が良いから、モルトの語り部になったわ」


「ずっと一緒にいたのか?」


「日下博士がファナ様を連れて行かれるので…あまり会えてないわ。ヒトと渡り合うための訓練に行かれていたから」


 ファナはどんな気持ちだったんだろうなあ…可哀想に…。


「まあ…考えてもな…」


 隣ではファティータは少し緊張しているようだった。


「なにもしやしないって、ティータ。俺はファナであって…まあ、寝ろって」


 小さな手で頭を撫でてやると、ティータがびくりと身体を固くして、それからやっと弛緩して掛布に顔を埋める。


「ティータ?」


 しゃくりあげるように息を吐き、嗚咽をこらえて泣くティータに、


「あんなん、犬に噛まれたと思えって」


「怖かったの…すごく…嫌だったわ…」


 警察署でも被害者にそんなことを口ばしって、上司にぶっ飛ばされた経験のある俺は、ティータの反応に慌てる。


「リムはヒトではないから…仕方がないのかもしれないけど…嫌…」


 十一歳といえば日本では小学5年生か6年生で、ランドセルを背負う少女の未熟な性を踏みにじられたのだ。


 ましてやティータはファナよりも背が小さくて…。


「ムカつく」


「え?」


「ヒトからリムが生まれるわけだろ?人権はどうしたよ。なんかムカつく」


「ファナ様…慰めてくれてありがとう」


 ティータが俺の顔に小さな手を添えて、唇に小さな形のよい唇を寄せてきた。


「お休みなさい」


「お…や…すみ…」


 俺は広い額を掛布に晒して寝息を立て始めたティータの顔をまじまじと見つめた。 


キスされちゃったよ…外国式か?

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