楽園へようこそ6
改稿済
楽園では全裸…俺は最後の砦であるリムポンチョを洗濯に出され、全裸のまま食事と寝台に入ることになった。
まるで精神的拷問だよ。
ティータは裸に馴れているようだが、俺にはどうにも居心地が悪い…罰を与えられているようだ。
「ファナ様…眠たいわ…」
「そうだな、寝るか」
せめてタオエルを巻かせてくれと、ティータに頼んでみたものの、リムの最高位であるモルトの肌を傷つける気かと一蹴された。
俺の死体は椅子にダルそうにもたれていて、それはそれで幸せそうだ。
「で、ティータはどこで寝る気なんだ?」
フードポンチョと同じ滑らかな布の寝台に上がり俺が横になると、床に座り込むティータに声を掛ける。
「私は床よ。モルトに支える身だから」
「右側が空いてるけど?」
「……それは命令?」
俺は少し笑いながら、
「ああ、命令だ。語り部でありモルトの従者ティータ」
と厳かにファナの声で言い放つ。
ティータが
「従うわ」
とベッドに入ってきて、俺の右脇にぴったりと収まった。
「いい?ファナ様のご命令だからよ」
口は悪いがぴたりと密着して来る辺り、安心しているのだろう。
「ティータ何歳だ?」
「十一歳。生まれたばかりのファナ様とは二歳の時に会った。私は記憶力が良いから、モルトの語り部になったわ」
「ずっと一緒にいたのか?」
「日下博士がファナ様を連れて行かれるので…あまり会えてないわ。ヒトと渡り合うための訓練に行かれていたから」
ファナはどんな気持ちだったんだろうなあ…可哀想に…。
「まあ…考えてもな…」
隣ではファティータは少し緊張しているようだった。
「なにもしやしないって、ティータ。俺はファナであって…まあ、寝ろって」
小さな手で頭を撫でてやると、ティータがびくりと身体を固くして、それからやっと弛緩して掛布に顔を埋める。
「ティータ?」
しゃくりあげるように息を吐き、嗚咽をこらえて泣くティータに、
「あんなん、犬に噛まれたと思えって」
「怖かったの…すごく…嫌だったわ…」
警察署でも被害者にそんなことを口ばしって、上司にぶっ飛ばされた経験のある俺は、ティータの反応に慌てる。
「リムはヒトではないから…仕方がないのかもしれないけど…嫌…」
十一歳といえば日本では小学5年生か6年生で、ランドセルを背負う少女の未熟な性を踏みにじられたのだ。
ましてやティータはファナよりも背が小さくて…。
「ムカつく」
「え?」
「ヒトからリムが生まれるわけだろ?人権はどうしたよ。なんかムカつく」
「ファナ様…慰めてくれてありがとう」
ティータが俺の顔に小さな手を添えて、唇に小さな形のよい唇を寄せてきた。
「お休みなさい」
「お…や…すみ…」
俺は広い額を掛布に晒して寝息を立て始めたティータの顔をまじまじと見つめた。
キスされちゃったよ…外国式か?




