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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第三章 重吾、刻をこえて
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重吾、刻をこえて6

改稿済

 結局…俺は…ファナを助けられなかった。


 見ていただけで…どうにもできないでいる。


 俺は…俺は…無力だ。


 ランクルの形状が肉々しいがランドクルーザーの形になりガラスとタイヤが出来、フーパの屋敷のファナの横にバウンドして落ちた。


 俺はまだ身動きすら出来ないまま頭から血を流し、それがランクルの鉄の肉を濡らしていく。


 俺は…あの少年を助けられたのか…?


 一緒にこっちへ来てしまったのか?


 もしそうならば、あの少年も助けなきゃならない。


 動けよ身体…。


 俺の身体はランクルのバウンドの衝撃に耐えられずに、ずるりと扉から出てしまった。


 屋敷はフーパの仲間と使用人がごった返していて、俺と死んだファナには興味もなく過ぎていた。


 ファナ…死んでしまったのか?


 動け、俺!


 俺は俺の中で叫んでいた。


「邪魔だな、なんだ、こいつは」


「おい、早くしろ、女隊長が攻めてくるぞ。跳ね橋を上げろ」


 死体の俺はフーパの仲間にがっこりと蹴られて、仰向けに倒れていたファナの死体の胸元に顔が乗っかった。


 二つの死体。


 一つは首を自ら切って血を噴き出し…事切れたリムの子ども。


 一つは日本の高速道路からランドクルーザーごと落っこちて来て、頭を切った血まみれの警察官。


 俺の唇はファナの消えかけていたリムの刻印に触れ、ファナの刻印が輝きだした。


 今から起こるだろう事柄が、俺にとっての現実だ。


 う…わ…。

 

 俺の意識は死んだはずの小さな身体に入り、俺と俺の死体との精神的リンクがぷつりと切れた。

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