ラーンスイート重吾
改稿済
フーパの屋敷で死体の俺をどうするべきか悩んでいると、金髪のおかっぱがランクルの横からひょこっと現れた。
「ねえ、君、本当にリムじゃないの?リム返りでもなく?」
やったら見目が整った少年全とした顔が突き出され、俺の死体の方をじろじろ見る。
「だーかーら、何度も言ってるだろーが。俺だって全くもって分かんねーんだけど…」
ここでこのやせっぽちの金髪の女の子の中には、二十五歳のそこで死体になっているお兄さんの魂が宿ってます…なんて真顔で言えるか?
すまん、俺には言えない。
リアルに俺の死体は…そこにある…俺…金髪につむったまぶたをべーっと広げられていた。
おいおい、やめてくれ。
だらしなく白いシャツを着崩した美貌は、真っ白な顔に薄くそばかすが浮き、金の髪を肩で揺らして微笑む。
「いーじゃん、俺、結構好み。真っ黒な瞳なんてすっごく美味しそうだ。ね、喰っていい?」
「は?」
「ラーンスやめな。その子にかまうんじゃないよ」
美貌のラーンスが死体の重吾の目に指を入れようと…おいっ!
「なにすんだよっ!」
と俺は情けない声を上げた。
するとランクルが驚いてボディを揺らしながら警戒音を鳴らしたから、ラーンスが驚いてランクルに詰め寄り声を上げる。
「この鉄の四つ輪、生きている?」
「あ、ああ…」
というか、俺も訳が分からないんですけど…多分…こいつには意思がある。
そのランクルは俺を…いや…俺の死体を守ろうとしている。
「お前…本気で俺の目玉食べようとしただろう」
「うん、だって美味しそうだし」
いやいやないない…食人の民族か、ここは
「ラーンス、カニバはやめなって…ごめんね、お嬢ちゃん…と…中身はお兄さんか…この子食人衝動があってね。まあ、病気みたいなものよ」
ラーンスは真っ赤な髪の豊乳の女性に捕まってずるずると引っ張られていった。
幌には二人の女の子…どうやら虐待にあったらしい子どもだ。
俺のランクルの横には俺の死体がダルそうに横たわり、俺はすっぱんぽん…しかも俺の警察の服を羽織ると皮膚がちくちくして…着られない…なんだ…これは…。
「あ、これ、貸してあげるよ。リムは肌が弱いからね」
本来の目的がこれだったかのようにバスタオルを投げてくれたラーンスに、お礼を言うほど俺は心が広くなかった。