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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第二十章 クサカノート
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クサカノート1

お久しぶりの更新です。エタりません、エタりません!

 出立はもう少し先で、同時にシャルルの護衛とジュリアス王国のリムと息子は帰っていくらしい。


 クリムトの民は土壌改善された北の大地に根を張る覚悟があるようで、すでに家を建て始めていた。


 クリムトの民は工房を二つと話していて、それを通訳するクリムトの横で『加藤』と『木村』のグランツがねじり上げ細くした布を頭に巻いて、なぜだかまねして頭に巻いているハイムは木材を運んでいる。


「さあ、行くか」


 ラビットバスケットを積み込んで、しばらくの旅支度をしたランクルの中に乗り込んだティータを確認すると、俺はランクルの給油口に重吾の血の袋を放り込んだ。


「頼むぞ、ランクル」


 ここ最近稼働なしのため飢えていたランクルがここぞとばかりに吸血をし、挙げ句の果てに、


『マスター、ナビをするので血を頼む』


と話せるようになったノーパソが偉そうに血を要求する。


『尻にも分けるので少し多めに』


 ランクルからぺっ…と返された兎腸から垂れる血をノーパソの画面の裏のリムにこすりつけた。


「あとを頼むな、クリムト、エバグリーン」


「はい、王様」


「ああ、任せてくれ」


 ティータラブのハイムが落ち込みつつオタオタしているから、ハニートラップにすることにした。


「ティータさん、ティータさんや、自分の唇に指くっつけて」


「なあに、それは?」


「いいから、いいから」


 ティータが分からないと言った顔で、人差し指を唇に当てる。


「おおい、ハイム!」


「なんすか、王様」


 ハイムが呼ばれて二、三歩歩いて来ると、その指を掴んで唇からぷるんと離して、ハイムに向けさせた。


「ティータからの投げキッス。ハイム、家づくり頑張れよな」


「うわ…は、は、はいっ…」


「王様…大変ですわねえ。うちのマスターにも気を使い…あと、シャルルにも…」


 シャルルは皿を洗うことで無心になるという修業についてもらい、心の平穏を保つ理由からか、ラビットカチューシャとフリルエプロンを着用している。


 もっとも、全裸で修業に臨めと言われてもやりそうだが…。


「とにかく、俺が帰るまで修業させとけよ。頼むな」


 隣の死体の重吾にシートベルトを締めさせ、俺は小さな姿でポンチョをかぶり運転席に座る。


「ノーパソ、ナビ。連結してランクル自動運転。しばらくは川を降ってガーランドの港に行く」


偽の通行許可証も手に入れた。


あとはモスを追うだけだ。


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