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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
閑話 ミクとラーンス
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閑話 ミクとラーンス

BLですが、BL的な行為はないからセーフ!自由民ナーザールになって少しの話ですね。はい、閑話には謎が満ちています。

 ドラグーンは背が高く、体格もいい。


 ドラグーン族の族長スルターンシャアも然りだ。


 まるで陸上のアスリートに抱きしめられているようで、大きな寝台に横抱きに抱きしめられているミクは、柔らかな敷布のため寝心地は悪くないのだが、巻き付いた腕は両方で、なかなか身動きができないでいる。


「シャア陛下…あの…朝ですよ…」


「う…ん…」


 寝汚いぎたないのが、どうやらシャアの弱点のようで、ミクは這々の体で這い出し、二階の寝室から階下に降りた。


 階下の厨房はまだ誰も来ていなくて一人で水を飲んでいると、隣の洗い場から水を流す音がしてミクは慌てる。


 政務を行う建物と住居の建物は違い、一階にイーズ殿下の居住区が二階にシャア陛下の居住区がある。


 世話役の女たちは通いらしく、警備兵は政務する場所にいるから、正直物音が怖かったのだ。


「あ、ミク」


 洗い場で素っ裸のラーンスが、手桶で身体に水を掛けていた。


「ラーンス、おはよう」


「おはよ。な、悪いけど空かなんか見上げててくんない?」


 恥ずかしいのかなと、ミクは後ろを向く。


「ありがと」


 風呂の習慣のないドラグーンはたまに水浴びをするらしく、辺境の…日本での浴槽にたっぷりの湯に、洗い場に石鹸の話は大層驚かれてしまった。


「悪い。今からケツん中洗うからさあ。さすがに見られると…。次変わるから」


 意味するところが分からないわけでもないミクは真っ赤になりつつも、そのままその場にいた。


「うわ…どんだけ出てくんだよ…。毎日毎日…ったく…。ミク、ちょっと待ってろよ」


「え、あ、僕は違うから。ない、ない、そんなのじゃないから。えと…ごゆっくり…」


 それはラーンスがイーズに性的行為を受けていることを示していて、しかもこの中世時代のような世界では十五で成人だ。


 少し前の日本でもそうだったではないか。


 童謡『赤とんぼ』だって、


「十五で姉やは嫁に行き、お里の便りも絶え果てた」


とあるし、ミクは世話役の女たちのかしましい話を思い出す。


 ドラグーン完全体であり変幻できるシャアは、神聖なるモフル族寄りの性質だと話していた。


「楽士様は陛下の番いのお相手になるのかしら?」


 ミクのために毎晩湯を沸かしてくれ、躊躇したミクに先立ち毎晩シャアが湯に入り、その残り湯をミクが頂いて入る形になっている。


 女たちは湯に香りの良い花を散らし、ミクのためにサボンを用意してくれて、


「陛下の寝所に入ることが出来たのは、楽士様が初めてなんですよ」


「そうそう。成人して長いのに、まだ発情期もないのですから。寄り添って促してくださいまし」


 ねー!ときゃあきゃあ騒ぐ女たちな苦手だったが、悪気がないようであり、ミクが半年前在籍していた高校の女の子たちとは少し明るさが違うから、ミクは思わず、


「発情期…人とは違うんだ」


と思わず気軽に呟いてしまった。


「そうですわ。だって変幻できる完全体ですもの。ああ…楽士様は辺境のお方だから、私達と同じような営みでしょう?添い寝はお辛いかしら?」


 営みでしょう?


 お辛いでしょう?


と言われても、営んだことはないし、あまり性的に貪欲ではなかったミクが、目隠しの向こうで更に盛り上がる女たちに黙っていたが、


「楽士様、もうお湯から出ないとふやけてしまいますわ」


と、タオエルを持って、ミクの身体を拭こうとする女たちへの抵抗のために身体を固くする。


 すんでのところで、昨晩も欠伸をしながら待ちかねたシャアに救われたのだが…。


 毎日シャア陛下の安眠抱き枕となっていますとは、言えなかったミクだが、ラーンスの言葉に引っかかりを感じた。


「あれ…?毎日?変幻できるのに、イーズ殿下は今、発情期?」


「ん?お前、シャア陛下に抱かれてないの?寝所でなにしてんの?」


 二人は顔を見合わせた。 

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