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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十七章 子供の凱歌
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子供の凱歌9

すみません、いろいろありまして、今日はここまで。

 シリシリーズと同期しているノーパソが反応して小さなアラームを鳴らし、相棒であるティータを呼ぶ。


「む。何、ノーパソ?」


 ティータはクリムトの手伝いで作っていたサンドを、テーブルに置いた。


 ティータとノーパソは一人と一台で一人前のリムであり、この世界で唯一の『電脳のリム』だ。


「ティ様、どうなさいました?」


「馬」


「はい?馬ですの?」


 ノーパソをクリムトに見せると、真っ黒な馬がノーパソの画面の真ん前に映っていた。


「あら、この馬は騎士馬ですわね。主人を呼んで脚を鳴らしていますわ。警戒をしているのですの」


 クリムトの言葉に、ティータはクリムトを嘆賞の眼差しで見上げる。


「あらあら。当然の常識ですわよ。わたくしはリムでありながら『ヒト』として育てられましたもの。お忘れでして?わたくし、領主でしたのよ」


「変態領主だわ…」


男娘ダンムスには褒め言葉ですわ。あ、ほら、騎士様が…」


 オホホホ…とまるで芝居掛かったように笑うクリムトが、


「あら、イケメン。なかなかかっこいい騎士様ですわよ、ティ様」


と、むうっ…とするティータに、ノーパソから学んだ辺境スラングをここぞとばかりに使用する。


「ほらほら、ティ様!」


 ノーパソの画面を覗くと、


「あ!」


と叫んだ。


 見たことのある黒尽くめの騎士が、見上げていた…尻二号を通じて。


「あ、あ。ファナ様!」


「ティ様!あ、ちょっと!」


 ティータはクリムトからノーパソを奪い返すと、慌てて厨房を飛び出しファナを探して外に出た。


 外ではログハウスをどう組み立てるかで、先程まで真剣に悩んでいたから、屋敷の裏にいるはずだ。


 きょろきょろと探すと、ファナがまだ悩んでいた。


 その横にラビットとハイムがいて、ハイムが満面の笑みを浮かべるのを無視して、


「マスター、これ!」


とノーパソの画面を見せる。


 そこにはまだ騎士がいて、ティータは安心した。


「どうした、ティータ?」


「これ!騎士様!」


 あの時の…あの時の…。


 ファナが


「あ!」


とティータを肩車したまま叫ぶ。


「ダグラム!ダグラムか!どうしてここに…」


〈ファナか?〉


 画面の中の騎士はやはりフーパの屋敷で、ティータたちを救ってくれた騎士で、尻は女騎士をも映し出していた。


 木にもたれかかり体調が悪そうでファナが、


「森を開いてくれ」


と言う。


「わかったわ。尻で誘導してみるわ」


 小さなリムは、尻を通じて騎士に声を掛けた。

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