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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十七章 子供の凱歌
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子供の凱歌1

やっと携帯復帰です。スマートフォン書きも楽じゃない。

ガーランド王国の地域侵攻は最南端の白の楽園を飲み込み、迂回して南最大のクリムト領地を召し上げるに至った。


 小さな領地を次々に潰し、王国からやってくる事務官が処理に当たっていく。


 基本的には領主は惨殺し首切り台に晒しておき、新たなる統治者を命じた。


 当然ではあるがモルニティ教信者であり、ガーランド王国の臣が統治にあたる。


「頼む」


「はい」


 光伝達に特化したリムが太陽の光を織り上げ、四方向に広げていった。


 少なくとも北と東には伝わるはずだ。


「南を統一したガーランド王国は、セントラルを中立地域として、凱旋する」


 出立よりもやや多い騎士達は興奮冷めやらず、歓声や奇声を上げて集合して行く。


 凱旋なのだ。


 これは勝利なのだ。


クルイークは自身に何度も言い聞かせる。


 白の楽園は放棄されクリムト領地は王の支配下にある遊撃隊が先に占拠していたが、戦果そのものはガーランド王国軍にあった。


 何故、遊撃隊がと聞いてみたが、リム狩りの延長戦だと、ガゼル遊撃隊長には伝えられた。


「マスター…?」


 光伝達を終えたリムが肩で息を吐くのを繰り返し、無言のクルイークに尋ねてくる。


 クリムト領地の焼け跡に軍を配置し、しばらく経っていた。


 膨れ上がったにわか軍隊をガーランド王国に戻さなくてはならない。


 しかもそんな時に、王国軍遊撃隊は居ず、既に新たな任務を遂行しに行っている。


「凱旋する!旗を上げよ!」


白々しい戦果の凱旋…クリムトも捕縛せじ、どうにもそら恐ろしかった。


「見苦しいな…僕は」


 クルイークは耳飾りを触る。


 クリムトは才に長けた人物で、十五を前にして父の広大な領地を預かり、リムに対しても造詣が深く、クルイーロの懐刀として飼い殺す予定でいたのだ。


 クルイークはただ戦うだけでいいが、クルイーロはいずれ父の跡を継ぎ王となる。


 その懐刀は必要だ。


「クルイーク様、事務官様が」


 幕屋で立ったまま考え込むクルイークに控えていたリムのミロスが声を掛け、父が寄越したクリムト平定の事務官が眼鏡の鼻当てを上げながら入って来る。


「領地民はあらかた一掃されていまして、新たな領民をガーランド王国から移住させます。それから…」


 大きな砂金袋を机に置いた。


「国王陛下より賜りました。兵をねぎらうようにと」


 クルイークは頷き退出をさせると、深い溜息を吐く。


 権力を見せつける…領主程度の小手先の技か…。


「光伝達を全兵に行き渡させよ」


「はい」


 幕屋の幕を開き光を取り入れると、リムが光を紡ぎ始める。


「マスター、どうぞ」


 相次ぐ広域伝達に疲弊しているのはわかるが、仕方があるまい。


「セントラルで補給をし回り込んで帰還する!列を乱すな」


 歓声はセントラルでの乱痴気を感じさせるが、それくらいの褒美は必要だろう。


 クルイークは唇を噛み締めた。

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