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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
閑話 パンツ記念日
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閑話 パンツ記念日

改稿済


成人の日おめでとうございます


 クサカの意思を継いだ(らしい)ファナが王様で、なんとファナの魂は辺境の男性だと聞いたとき、


「王様の中身はおいくつですの?」


とクリムトは小首を傾げた。


「二十五」


 ファナがランクルを洗いながら答えた。


「では、ファナ様はおいくつです?」


 同じくファナが、


「九つ」


と言い、クリムトはこれをどうしたものかと悩んでいると、


「ん、クリムト」


と、ティータがノーパソの画面を見せてくる。


 ノーパソの画面にはでかでかと


『ロリコン』


と書かれており、注釈としてなるほどと頷ける内容が書いてあった。


「まあ、王様はロリコンという種族なのですね!ドラクーンやウォールフ、モフル以外にもロリコン族がいるなんて」


 速やかに


「ちっがーう!ノーパソ、いい加減な…いや、余計な知識をクリムトに晒すな。めんどくさくなる!」


と、ファナが反論するが、ノーパソが他にも羅列してくれた。


「では、ファナ様は王様であり姫様ですわね。一人二役ですこと」 


 クリムトが思わず笑ってしまうと、悪戯な風が風穴から吹いてきて、ファナのワンピースの裾を跳ね上げる。


「うを!」


 ファナは水が掛かって悲鳴を上げたが、


「まあっ!」


クリムトはその姿に驚いた。


「王様、ヒトとリムの違いは何だと思われます?」


「え…ええと…」


 クリムトの鋭い視線に、ファナがきょとんとし、


「そりゃ、刻印のあるかなしかだろーが」


と切り返したが、クリムトは首を横に振った。


 目の前にいるファナは、綺麗な金髪の可愛らしい女の子で、虫の糸を粗めに織った風通しのよい純白の二段フリルの切り返しワンピースを着ている。


 清楚な可愛らしい女の子なのに、あるべきものがない。


「いいえ、王様。リムとヒトの違いは、パンツです!」






 わたくしとしたことが、わたくしとしたことが!


 クリムトは滑らかな布に糸を刺す。


 クリムトの指は器用にドレープを作り出し、綺麗なギャザーを寄せては返した。


 リムと人の違いはなに?


 クリムトは父からヒトとして育てられた。


 ヒト以上に学び、領地を管理し、知識を蓄えた。


 リムが手が掛かるのは幼児期だけだ。


 感情をコントロール出来るようになれば、従順な能力者でありクリムトのようにマスターを持たなければ、リムの能力は全力開花しない。


 クリムトは素敵なマスターと出会ってしまい、リムであることに覚醒したわけだが。


 つまり二十までしか生きられないのはともかくとして、リムの見た目がダメなのではないか。


 ヒトとリムの違い。


 自然に近い?確かに、リムはデリケートだ。


 リムの肌に合う虫の糸の布しか使えないなら、白でも黒でもいや、染めて美しく作ればいい。


 モルトを美しく…ファナを…王様に負担にならない服を作ることが、リムの価値を高める…わたくしの使命ですわ!


「出来ましたわ!ドロワース」


 ふりふりのかぼちゃパンツを、ファナはおそるおそるはいていたが、それはそれでとても可愛らしい。


「柔らかいな。ふわふわ。蹴ってもケツが出ない」





 後世、リム衣装デザイナーとして名声を誇るクリムトの最初の作品は、ドロワース…つまりパンツだったのは、一部の人しか知らないことであった。

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