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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十五章 砂漠の陰謀
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砂漠の陰謀2

年内最後の更新が、陰謀で終わるとは。皆様、よい年越しを。

 ビスの連れている男たちの荷物が武器だったからだ。


「ああ…」


 ジョバンニの視線にビスが肩をすくめ、


「ジョバンニの旦那、船を出してくださいよ。後から話そうじゃあありませんか」


と、出港を促す。


 日は真ん中を少し過ぎた。


 幾ばくかはかかる船旅にジョバンニは頷き、マルクルを棒で優しくつついて海洋に出る。


 ざっと三十人ばかりの船旅の半分は奴隷で、ガーランド王国侵攻の余波をくらい土地を手放し、自ら奴隷として志願したものもいるらしい。


 ジョバンニはそれもありだと、苦々しく思った。


 奴隷には繁殖用と労働用とがある。


 どちらにしても衣食住は最低限与えられ、一生をその屋敷でそのオアシスで暮らすことが出来るのだ。


 よい主人に出会えれば、奴隷焼き印を潰してくれ自由民になり、自分で生き方を選ぶことが可能だ。


 厄介な渦巻き海廊を渡り切り海流の流れに乗ると、


「ジョバンニの旦那」


と、ビスが荷物を背負いながらやって来る。


 隣にはビスの連れである武器屋もいて、ジョバンニは苦い顔をした。


「そんな顔をしなさんな。基本俺たち商売人は何でも屋ですし。こいつらだって好きで武器を運んでるんじゃないんです」


「ほう…どんな案配だ?」


 ジョバンニが唸りを噛み殺しながら、頭に布を巻いた糸目の男を見下ろした。


「私はマンボです。ジョバンニの旦那、よろしくご贔屓に。実は今回、ウォールフのほうから、武器の調達を頼まれたんで。近々、オアシスの侵略があると」


 もう一人の堅太りの人当たりの良さそうな男も頷き、


「俺はヨーグルです。俺はドラクーンのほうからの依頼なんです。少し前からそんな依頼がありましたがね、ガーランド王国のほうが大変で」


と、困った顔をしていた。


「ガーランド王国…そのうち全土を掌握しちまいそうだな…」


 東でも大きな領地を持っていたガーランド領地が、王国になり進軍していると語り屋が噂していたが、どうやらものすごいことになっていそうだ。


「本当に混乱してますよ。セントラルは武器職人だらけになってましてね。でも、足りないんですよ」


 ヨーグルがため息をつきながら、マンボと船の端に座ってしまう。


「あ、おい。オアシスは…」


 ジョバンニは大事なことを聞き忘れた気がして、武器商人の二人を呼ぼうとしたが、ビスに止められた。


「旦那、ここだけの話にしといて下さいよ。ウォールフのダイナナのほうと、ドラクーンのヴェスパのほうが、くすぶってると、聞いたことがありますんで」


 ダイナナとヴェスパは港オアシスから一番近いオアシスで、ミクとラーンスが逃げ込んだ可能性のあるオアシスだ。


 彼らが生きているならば、教えてあげたかった。


「ありがとうな。これは情報量だ」


 船代の砂金と、先程貰った甘水のボトルを手渡すと、ジョバンニはマルクルに少し急ぐように告げにいく。 


「旦那!…………どうも…」


 ビスは大袈裟に声をかけたが、振り向かないジョバンニの背後でうつむき、ニヤリと口角を上げた。


「まいどあり……」


 ビスは二人のいる船縁に座ると、二人に指示を出す。


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