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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十五章 砂漠の陰謀
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砂漠の陰謀1

ジョバンニのイメージは、東山動物園のイケメンゴリラですね。

 西の船着き場は東との唯一の交易港で、その港オアシスはモフル族が管理している。


 海の住人マルクルと陸の住人ジョバンニは、港オアシスで仕事を探しているうちに出会った仲間だ。


 マルクルとジョバンニ以外にも海を渡るものがいるが、東と西を繋いで渡れるのは、この二人だけだ。


 オアシスは点在し、オアシスは砂ロバを使えば人だけで行けるが、海ルートは海の住人と海路見極めの陸の住人を組み合わせて行う。


 仕事としてかなりうまくいっていた。


 まあ、それを考案したのは、辺境人の『ブツリガクシャ』という仕事についていたクサカなのだが。


「クサカ、春に来なかったね」 


 桟橋で頬杖を付きながらマルクルが、つまらなそうにしている。


 もうじき航行の時間になるから、東の桟橋に人が増えてきた。


 東の桟橋の整備はよく整えられていて、マルクルの大きな身体を傷つけないように、海草で満たされていて、ついでにそれを食べながら乗客を待っているマルクルの背中の舟形乗り物を固定しているジョバンニは、


「孫娘を連れて毎年来てくれていたのになあ…」


と思い出す。


 少し暗い表情の孫娘が元気になるのは、モフルの森で裸で走り回るときだけだた。


 見事な真っ直ぐの金髪で、綺麗な青い目をしていたが、片方だけ病気なのか白目が黒く濁っていて、それを気にしているらしいと、クサカは前髪を切らずにいた。


「あの子、すごく綺麗で可愛かったよね」


「お、マルクル、あの子に惚れていたのか?」


 マルクルは身体は大きいが、まだ子どもだからか、無邪気に 


「リーフ様の次に好きだよ。ジョバンニは?」


と答えた。


「俺は…内緒だ」


 好きの次元が違う。


 とはいえ、ジョバンニもまだそんな気持ちなど出てきはしない。


 仕事が楽しくてしかたが無いからだ。


 若い後輩も育てなければいけない。


「若い…か、ミクは無事かな?」


 辺境人のクサカは毎年一週間くらいモフルの森に滞在して、色々なことを教えてくれ面白かったのだ。


 だからクサカと同じ辺境人ならば、なんとかしてあげたいと思ったから逃がしてしまったが…。


「あの子も可愛かったよね。孫娘の次に好きになっちゃうよ」


 奴隷商人はぶつぶつ言っていたが、他の奴隷が高く売れたようで、港オアシスの奴隷市場からすぐに戻ってくると、ジョバンニにお詫びとして砂金を追加したのだ。


「お、マルクル。真ん中太陽だ」


「はいよ」


 時間になり奴隷商人を含めた商人が、マルクルの背船に乗り付けていく。


 奴隷は鉄枷に繋がれ全員が焼きごてを肩に押されていて、もはや抵抗もしないでいた。


「また…奴隷…」


 マルクルが小さく呟くのを、


「よせ、仕事だ」


とジョバンニが嗜める。


 殆どが商売人で港オアシスの市場で店を開いてオアシス仲買人が買い出す形となるが、たまに各オアシスを渡り歩いて商売をする者もいた。


 そういった者は姿形…西仕様の服を着ているからよく分かる。


「やあ、久し振りだねえ、ジョバンニ」


「ビス、おお!久し振りだ」


 西の長衣に荷物を背負った上背のある痩せた男が、二人の仲間を伴って乗り込んできた。


「よい甘水が入って。久々の行商だよ」


 甘水の小瓶と砂金袋を出してきた馴染みに、ジョバンに驚く。

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