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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十四章 それぞれの戦い
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それぞれの戦い6

湯槽に何故おっぱいはたわわに浮くのだろう。。

「やっぱり、王様ってすごいねえ。お風呂入りたいて言ったらー、王様家族専用のお風呂使わせてくれちゃうんだもーん」


 温かくされている脱衣室で海がメイド服を脱ぐと、一緒に来ていた女が貰うように手を差し伸べてきた。


「ほら、()っくんも、(くう)ちも脱いで脱いで」


 ガラス張りの巨大な風呂は、昼間の光に水面が煌めき、海はザバン…とお湯を溢れさせながら入る。


「は~…気持ちいい…」


「海さん…乳…浮いてる素敵」


 空が横に入ってきて、たぷんと海の大きな胸を両手で挟み込んだ。


「超弩級だな…」


「全くですな」


 湯気の向こうに人影があり、濡れタオエルを頭に乗せた加藤と山本がひょこりと手を上げる。


「きゃあああ、山本さん、加藤さん!」


 風呂に入っていない陸だけが洗い場にいて、全裸を晒しているのだからたまらない。


 ザバァ…ンと水飛沫を散らして、海の横に飛び込むと、


「陸っくん、むごい…」 


 跳ねたお湯でずぶ濡れになった空が、恨みの声を上げた。


「ほっほっほ…眼福、眼福」


「全くです」


「も~…いるならいるって仰ってくだされば…」


 陸が胸を押さえていたものの、老人と偽老人は動く気配もなく、陸は控えている女がいるのに気づいてため息をつく。


「ああ、君。酒を追加だ」


 どうやら風呂に浸かりながら酒をちびちびと飲んでいるらしく、


「君たちもどうかね?」


と、葡萄酒のコップを上に上げてくる。


「本当は日本酒で一杯、なんて言うのが最高なんだけどね」


 そう言った加藤は、陸が丁重に断るのは想定内らしくそこからは何も誘いはせず、くつろぐデルタフォースとは少し距離を置いて、山本とちびりちびりと葡萄酒を飲んでいた。


「若い君たちに聞きたいのだが…」


「はい、なんです?」


 山本がガラスから外を眺めながら聞いてくる。


 外では遠く人々が、畑を耕していた。


「君たちは軍人かね?自衛隊とは、新たなる軍だと理解しているが…」


 つまり、山本にとっては三人の娘たちが、辺境軍人…日本の自衛隊員だと信じられないようだった。


「私は間違いなく陸上自衛隊員ですが、海さんと空は違います」


 山本が不思議そうに陸を一瞥した。


「二人は違う…と?確かに君と二人は違う。訓練された人間というものは、どこかその癖がでる。二人と君は…」


「共通するの、殺人犯で死刑囚だよ、大じいじ」


 今まで潜ってあちこちに出没していた海が、山本の横に出てきてぽつりと話す。


「私も、海さんも、陸っくんも、死刑囚だからデルタフォースにスカウトされた」


 沈黙が流れてどうにも風呂場の空気が重くなった時、太陽が隠れるように暗くなりそれから一気に明るさを取り戻した。


「…っ!何があった?」 


 陸が風呂の縁に手をかけると、飛翔する影を捉える。


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