それぞれの戦い6
湯槽に何故おっぱいはたわわに浮くのだろう。。
「やっぱり、王様ってすごいねえ。お風呂入りたいて言ったらー、王様家族専用のお風呂使わせてくれちゃうんだもーん」
温かくされている脱衣室で海がメイド服を脱ぐと、一緒に来ていた女が貰うように手を差し伸べてきた。
「ほら、陸っくんも、空ちも脱いで脱いで」
ガラス張りの巨大な風呂は、昼間の光に水面が煌めき、海はザバン…とお湯を溢れさせながら入る。
「は~…気持ちいい…」
「海さん…乳…浮いてる素敵」
空が横に入ってきて、たぷんと海の大きな胸を両手で挟み込んだ。
「超弩級だな…」
「全くですな」
湯気の向こうに人影があり、濡れタオエルを頭に乗せた加藤と山本がひょこりと手を上げる。
「きゃあああ、山本さん、加藤さん!」
風呂に入っていない陸だけが洗い場にいて、全裸を晒しているのだからたまらない。
ザバァ…ンと水飛沫を散らして、海の横に飛び込むと、
「陸っくん、むごい…」
跳ねたお湯でずぶ濡れになった空が、恨みの声を上げた。
「ほっほっほ…眼福、眼福」
「全くです」
「も~…いるならいるって仰ってくだされば…」
陸が胸を押さえていたものの、老人と偽老人は動く気配もなく、陸は控えている女がいるのに気づいてため息をつく。
「ああ、君。酒を追加だ」
どうやら風呂に浸かりながら酒をちびちびと飲んでいるらしく、
「君たちもどうかね?」
と、葡萄酒のコップを上に上げてくる。
「本当は日本酒で一杯、なんて言うのが最高なんだけどね」
そう言った加藤は、陸が丁重に断るのは想定内らしくそこからは何も誘いはせず、くつろぐデルタフォースとは少し距離を置いて、山本とちびりちびりと葡萄酒を飲んでいた。
「若い君たちに聞きたいのだが…」
「はい、なんです?」
山本がガラスから外を眺めながら聞いてくる。
外では遠く人々が、畑を耕していた。
「君たちは軍人かね?自衛隊とは、新たなる軍だと理解しているが…」
つまり、山本にとっては三人の娘たちが、辺境軍人…日本の自衛隊員だと信じられないようだった。
「私は間違いなく陸上自衛隊員ですが、海さんと空は違います」
山本が不思議そうに陸を一瞥した。
「二人は違う…と?確かに君と二人は違う。訓練された人間というものは、どこかその癖がでる。二人と君は…」
「共通するの、殺人犯で死刑囚だよ、大じいじ」
今まで潜ってあちこちに出没していた海が、山本の横に出てきてぽつりと話す。
「私も、海さんも、陸っくんも、死刑囚だからデルタフォースにスカウトされた」
沈黙が流れてどうにも風呂場の空気が重くなった時、太陽が隠れるように暗くなりそれから一気に明るさを取り戻した。
「…っ!何があった?」
陸が風呂の縁に手をかけると、飛翔する影を捉える。