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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十四章 それぞれの戦い
151/226

それぞれの戦い5

改稿済

「あー…ばらさなきゃダメ?」


 ファナが頭をがしがしと掻いてごまかそうとするが、ラビットがそれを許さない。


「クリムトの光珠(オーブ)はティータが教えたのかー?」


 ファナがリムポンチョのウサギ耳を揺らしながら歩いてきて頷いた。


「ええ、私がで考えたのよ。あ、ノーパソも役に立ってくれたわ」


「そうか…すごいな。ティータは黒のリムの技も理解しているわけだ」


と話題を濁していると、ラビットが


「む~ん…」


と苦い顔をしたから仕方なく話し始める。


「ラビット…。あのさあ、俺の身体って戦闘時、ファナの力で光の膜みたいなのにぴたりと一枚包まれてあんだわ。防御用なんだけど、今回、俺は光の壁を別口でランダムに出して、自分の目にだけ光の壁を見えるようにして踏んで…って、聞いてないじゃん!」


 ラビットはティータを、絶賛誉めちぎっていたのだ。


「ティータちゃんが自分で考えたのかな?偉いぞー。おじさん感動するなあ」


 まあ、実際には、ノーパソの力が一番ではあろうが、クリムトの


「王様に勝ちたいのです。負けっぱなしていたなどマスターのの股間が立ち…いえ沽券が保たれませんわ」


からのスライディング土下座にティータは驚いて


「きゃ」


と悲鳴を上げ、そのまま膝でにじりよるホラーな姿に、ノーパソが助け船を出したのが真相だ。


 ハイムとクリムトを観察記録分析し、それを如何に戦いに組み込むか。


 結果は前代未聞、リムのクリムトが指示を出し、マスターであるハイムがそれに従う形だ。


 クリムトはリムではあるが、ヒトとしてしかも領主として教育を受けている。


 しかも知恵が回り、知識も豊富のようだ。


 ハイムはリムのなんちゃるかを全く知らない素人で、マスターとして使役するタイプでもないから、騎士とは違う戦い方をしたわけなのだが…。


「でも、負けは敗けだ…」


 ハイムがかなり凹んでいて、ファナはとりあえずハイムの背中をバンバンと叩いて慰める。


「いや、今までよりも戦略的に…おま、背中の筋肉…違うな…なんだ?」


 筋肉の異様な盛り上がりを感じたファナに、


「王様、ご存じなかったのですか?わたくしのマスターはドラ…」


クリムトが言い掛けたたのを、


「たたたた、王様っ!手合わせのチャンスをっ!」


とハイムがむきになり慌てたように切り返した。


「う…ん、まあ、別にいいけど…だったらもっと機転を聞かせてくるんだな」


 この『機転』イコール『正当方ではない』に食いついたのが、策士クリムトだったのだ。





 夕食の後、ファナはお風呂にはいるためにティータを探していた。


 髪が長くて自分ではサボンで洗い切れないから、ティータと二人で入って洗いっこするのである。


「お、王様。風呂か?」


 食堂でクリムトと話していたらしいティータが、


「こっち、こっち」


と手招きしてきたから、ファナはティータに走り寄って行き、


「どうした?え?」


ハイムに膝に抱っこされる。


「捕まえた。王様の負け」


「ええええ!」


とファナがさらに絶叫する。


「王様、ティ様は…マスターですわ」


「おまっ…離せ!クリムト、幻影が使えたのか!」


 クリムトが


「うふ。努力は人を成長させますわ」


とにっこりと笑った。




 この幻影…後に大いに役に立つのだが、ファナがハイムに敗北したのは、これが初めてで最後になった。

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