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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十三章 西のオアシス
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西のオアシス9

 ヤシの木みたいな木に葡萄みたいな房が垂れ下がった森の実を見ていると、


「デーツが珍しいか?」


と一つ実をもいでくれたシャアは、ミクより背がずいぶん高い。


 百八十はありそうな長身について歩くのがやっとで、ミクは慣れない長衣とさらに上からばさりと羽織る黒の着衣を足さばき出来ずに転びそうになった。


「おっ…と」


 シャアの腕に掴まりミクは、


「すみません…」


と詫びるが、


「いや、こちらこそ悪かった。弟たちは私と同じで大柄で。ミクの歩く速度に合わせよう」


とデーツを一粒ミクにくれた。


「乾燥させて他の地域に送っているが、果実として生食するのもいい」


 ミクは皮ごと口に入れて、その瑞々しい果実の甘さに驚いて、シャアを見上げる。


「美味しい!」


「よかった。ミクはまだ小さいから、毎食栄養価の高いデーツを出させよう」


 シャアが嬉しそうに笑いながら、果樹園から市街地に入る前の市場(バサール)の入り口に入ると、


「今日は人が多い。手を繋ごう」


とミクの手を引いたシャアの大きな手は温かく、とても心地がいい。


「陛下!赤きドラクーン!我らが王。お寄りください」


 バサールの露店でシャアへの呼び込みに、シャアが一つの店に入り、ミクはその品揃えに驚いた。


「とかげ…砂漠とかげの丸焼き…」 


 店に書き出してあるメニューを見て驚いていると、


「ミクは字が読めるのだな」


とシャアにしみじみと言われ、


「半年間…ガーランド王国の牢にいました。言葉を覚えないと死んでしまうから、必死に」


 辺境の…主に日本の歴史について話し、王国の王と、双子の話し相手になったときにはほっとした。  

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