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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十三章 西のオアシス
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西のオアシス1

 よくわからないカード並べが終わるまでに、ゆうに十分。


 チロルハートはその間に酒を二杯おかわりをし、したたかに酔いが回り残心が浮かび出す。


 手元にレイピアがあれば、ただいま男たちに弄ばれているシャールの顔面を刻みにいくのにと、残忍な感情にチロルハートは高揚していた。


「私に、辺境伽の奪還ですか?」


「ああ、手段は構わん。ミクと言う年は十五ばかりの男だ。髭も生えていない、見た目は子どもだがな」


 ロングビスは痩せて青白い長めの顔をにゅうっと付き出すと、


「今…西では、ウォールフ族がドラクーン族にどうやら不満を持っている様子で…」


と話す。


「ふむ…」


「そこで、二つをぶつけて、混乱を生じさせたあと、奴隷解放を称して奪還しては…と」


 キンキンと高い声のロングビスの、勘に触る声にチロルハートが苦虫を潰したような顔をしたが、


「ただし、ウォールフを利用しますが、よろしいですか?」


「構わん」


 ガゼルが立ち上がると、ロングビスに告げる。


「辺境伽を捕らえたら私のところに連れてくるようにな」


 そのまま二階に上がって一番奥の隊長室に行く前に、どうやらシャールを見つけたらしく、シャールを運び出してリム世話役に渡すよう、低い声で叫んでいるのがチロルハートの耳に聞こえてきた。


 あのリムは駄目になったんだ、あたしが刻んどきゃあよかった…。


 チロルハートがふーっと酒臭い息を吐いて、再び酒を持ってくるように告げると、


「おかしいなあ…」 


ロングビスがにこにこと笑いながら、チロルハートに話してくる。


 目が細くなり能面が不気味な表情になり、後ろに全て撫で付けた緑がかる髪が生っぽい生き物のような気持ち悪さを倍増させた。


「なにがさ」


「だって、辺境伽は城の所有物だろ?なのにガゼル様のところに?しかも始末じゃないんだよ?」


 二つの麦酒が来て、一つはロングビスの前に置いてやる。


「知らないよ。それにドラクーンとかウォールフとななんだい?」


 ロングビスは


「どうも」


と、酒に少しばかり口をつけ、先程のカードをテーブルに出す。


「あたしはカードは…」


「西には人を超えた『正統なる種族』とやらがいる。砂漠地帯にはガーランド王国から奴隷を買っているウォールフ。多分、色素の薄い髪と瞳が特徴的なガゼル隊長はそこ出身」


 カードを一枚テーブルに置いた。

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