バニートラップ
改稿済
騎士団食堂の一階の隅を臨時の宿泊スペースに用意され、死体の重吾をベッドに降ろしてもらうと、俺はふーっとため息をついた。
「小さい身体ってのは…意外に疲れる」
ベッドに横たわる死体の俺は、日本…辺境でも背が高いほうだったしな。
「はい、こんばんは。辺境人さん」
部屋の開けっぱなしの扉をノックされた。
バニーガールが、微笑んで立っている。
店の看板ウェイトレスらしいの彼女は、死体の重吾に色々と声を掛けて、リムであるファナ的俺にはつばを吐きかける勢いのある超二面性を持っている。
「はあい、あなた、明日の朝までここにいるんだって?」
「まあな。明日朝一で騎士団長に…」
「あんたに聞いてるンじゃないわよ、リムガキが」
寝ている俺の死体の首に手をかけ、店のバニーガールが、身体にのしっ…と跨ったのだ。。
「うわわ…」
「メスリム、声出すんじゃないよ…」
バニーガールのネルをぱっつんぱっつんにさせてる胸からは欲情した匂いがして俺は生唾を呑む。
女の子に組み敷かれる形となった俺の死体は、真っ赤な唇を舌で舐めるバニーガールに唇を合わされそうになっているが、胸やら太股やら押し付けられ、逃げることも出来ずにいた。
「ま、待て…」
「待って!」
バニーガールが、突然がばりと起き上がる。
そのまま短いパンツの股を、死体の俺の下半身にぐりぐりと押し当てた。
「なぜなのよっ!どーしてなのよっ!」
「だって死体だもん」
生きた死体の下半身はいたって冷静で、バニーガールの怒りを直撃したらしい。
「このっ、あたしがっ、誘ったのよっ!」
と、言われても…。
きっとここいらで一番胸と尻と顔が良さそうなバニーガールのお誘いを、全身が拒否をしているみたいなのだ…死体だから。
ベッドに立ち上がったバニーガールのすんなりした健康そうな足に、思いっ切り下半身を強打される。
「あっ…痛そう…死体だけど…」
「あんたなんかっ…あんたなんかっ…このクソ野郎!」
バニーガールがどかどかと下へ降りていき、怒りに満々た大きな甲高い声で
「あいつは変態よ」
とか
「貴族趣味なのよ、絶対」
だとか、下にいるお客に言い放ち、追い討ちをかけるようにラビットが
「あいつはあのリムの物らしいな」
と話すと、騎士団の笑い声がしていたが、死体の重吾には弁解の余地もなかった。