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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十一章 流血のクリムト
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流血のクリムト3

改稿済

 ラッパのようなガンクルから、バチンッ…という高音の悲鳴のような音がして、小さな鋼鉄弾丸が高速で飛び出し、俺は両手を広げそれから手を閉じて、指を真下に下げる。


 弾かれて弾道がやや上向きになった不思議なものを見ていた騎士たちの薄笑いが、悲鳴になったのは瞬時だった。


「があああっ…」


「ぎゃあああああ…っ…」


 俺が高速弾道の軌道を変え、男たちの脳天を次々に直撃する。


「何で…てめえ、(めす)のリムがなんで…!」


 俺の明らか白ポンチョを見てそう怒鳴ったのだろうが失礼な男に、俺は振り向きざまにトンファを伸ばしながら男の顎を下から叩き上げて蹴り倒した。


(めす)とか言うなよ」


 俺は目の前で崩れた男を跨いで叫ぶ。


「ハイム!」


 弾丸が宙に舞う光景を見向きもせずハイムは長衣を翻して奥に走り、真っ白の服の少女の手を掴んでいる露出度の高い女に斬りかかった。


「きゃああ…」


 アルトの悲鳴がハイムの耳に刺さり、ハイムは反り刃を薙ぎ上げる。


「威勢がいいねえ!髭面!」


 胸と腰回りを布と鉄当てで覆っただけの露出した女が、甲高く笑いながらレイピアで連続的に突いできて、ハイムは防戦一方になり領民がばたばまと倒れていく様を目端で追うのが精一杯だ。


「くっ…あ、う、わ、わ!」


 レイピアの速度に追いつけずハイムは尻餅をつき、そのままぐるりと転がっていき、


「領主様っ」


「いやっ、…離してくださいっ!」


少女領主が壮年の男に掴まれ連れて行かれそうになるのを阻止しようとして、体勢を崩しつつ反り刃を男に向けた。


「無謀だな、小僧が…」


 ガッ…鈍い音と共に反り刃が真ん中から折れて、カランと高音の澄んだ音を立て床に散る。


「あははは。終わりだよ、若造っ!」


 女がレイピアで半身起き上がったハイムの背中に回り込み、突いてこようとした。


「きゃああ!」


「ハイム!」


 俺が叫んで手を広げて光防御をしようとするが間に合わず、ハイムは肉を裂かれ…


「…あれ?」


ハイムとレイピアの間に尻が入り、硬質化した顔面で受け止めレイピアをへし折ったのだ。


『馬鹿ハイム…っ』


「なに…気持ち悪いっ…なんなんだよっ。あたしの剣を折りやがった!」


『起きて!クリムト領主確保。ファナ様はまだ敵と応戦』


 しかし手元の折れた刃のない剣では何もできないだろーな…。


 女領主を連れていかれまいとする領民が、銀髪の壮年に素手で挑んでは斬られていくしで、しかも女領主は首を掴まれ壮年の騎士が移動する度に、顔色が悪くなっている。  


「くそっ…!」


って言いたいのは、俺だ!

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