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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十章 大乱闘デルタフォース
110/226

大乱闘デルタフォース10

改稿済

「海さーん、、あのー、ファナです。わかりますか?聞こえますか?ええと…ノーパソの回線とリンクしました。そちらからも通話できます…でいいか?ティータ」


「はい、大丈夫よ」


 ファナが必死で説明をすると理解したのか、


『え、あなた、日下さんのとこの?ファナ?』


『あ、ファナちゃんだ』


『久しぶり…ハラショー』


『私は陸です。ここはガーランド王国の裏庭です』


と若い声たちが返事を返してきた。


「ファナ様、周囲の声。ガーランド王国軍が、南に侵攻してるわ。南の楽園にもよ」


 ティータの言葉にファナが頷き、


「聞いてくれ」


と小声で話す。


『ファナちゃん、話し方が変ですよ』


「あー、とりあえず、ガーランド王国から出てくれ。エバグリーンの考え方を想像すると、早めに撤退し安全的な近場の友好領地を目指す。一番近いのは何処だ?」


『クリムト領地です。そこに向かえばいいですか?』


「多分その前に合流出来ると思う」


『あの、ファナちゃん、根拠はなんですか』


「あ~元警察官の勘だなあ…」


『もう、ファナちゃんじゃない、ファナ君だよ。陸っくん、かけてみるしかないよ』


『女は度胸…と、乳』


『空!…わかりました』


「俺たちもクリムト領地に向かう」


『はい』


 尻との通信を切ると、


「忙しくなるなあ。さ、食べるか」


とファナが食堂に入ってしまい、慌てたシャルルが追いかける。


「あ、おい。ねえっ…拘束解いて…シャルル!」


「ジュリアス国騎士とテオはそのまま帰すとするが、俺はお前と一緒にいこう。奴には借りがある」


 わめいているテオの布団巻きを、ティータがどうやら反省を促すような言葉を連ねながら解いているのを目端で確認しつつ告げた。


 シャルルが一緒にクリムト領地に行くと言い続けたが、ファナは首を立てには振らない。


「なぜだ。ガーランド王国遊撃軍といえば、ガゼルを中心にした精鋭部隊だ。一人でも多い方が…」


「だからこそだ。闘いは最小限にして、グランツとリムをジュリアス王国に連れて逃げてくる。ジュリアス王国に逃げ延びることが、今回のエポックになる。ジュリアス王国ならなんとかしてくれる、助けてくれる。多分そうなる。ジュリアス王国にはその余力を残し、迎え入れてくれないか?」


 ラビットが出してくれた自分の作ったシチューと、フライパンパンがテーブルに置かれ、シャルルはちゃっかり横に座ったテオと朝御飯にする。


「そう。冷静が一番だな。ともかく食べてから動こうな。ここはラビットおじさんが屋敷の増築をしながら待ってるからな」


 シャルルは自分の作ったシチューにパンを浸して食べると、パンが甘くないことに気づいた。


「甘くない…意外とシチューに合う。辺境風か?」


「ノーパソが教えてくれたの。意外と簡単、美味しいわ」


 様々なことを理解していくティータやファナを見ていると、ガーランド王国が辺境人から知識を得ようとした気持ちがわかる。


「テオ…後で話がある」


「うん、どうしたの?」


「考えていたことがある…」


 シャルルはそこまでで止めると、食事を続けた。 

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