フーパの屋敷にて10
改稿済
リムは人前ではフードを被るものだとダグラムに聞いて、仕方なくフードを被せるとやっぱり兎耳がついていて、がっくりと肩を落とした俺を尻目に、フードコートを着た俺を見たラビットは嬉しそうで、耳つきのコートの耳をピョンピョン揺らしている。
「可愛いもんだな」
しみじみと呟くラビットの横で、俺はひらひらとコートをたなびかせた。
「ポンチョの下はパンツもないんだぞ。風が吹いたら尻が丸出しじゃないか!」
「着られる服がそれしかないんだから仕方ないだろう。で、死体の重吾はこのままコートを羽織らせておくのか?」
たしかに…どうしたものか。
目立つが俺の死体は今、警察機動隊の服を着ている。
「しばらくは鉄の四つ輪から出さずに走ることだな」
「普通のリム狩りは野良の主無しのリムを奪って、白の楽園に行かない奴らにも売りつける。仮契約でもリムは使役できる。しかし疾風ガゼルとその一味のリム狩りは訳が違う。どうやらリムを集めて何かに利用する記らしい。気をつけろ」
一人心地で呟くダグラムに、俺は驚いた。
「しかもガゼルは黒のリムを使役している。何をされるかわからんな」
黒のリムって言えば…俺は思い出した。
「さっき、ミロスが人相を空間に出したやつみたいにか?すげえな…常にそうやって見せ続けるなんて、リムが疲れちゃうぜ?」
「奴のリム使いの荒さは、隊ないた時から有名だからな」
「隊にいた?」
ダグラムが苦々しく言い放つ。
「やつは東の楽園支部にいた裏切り者だ。いいか、ガゼルに万が一出会ったら全力で逃げろ」
「また、無茶苦茶な…」
「重吾、お前警察官ってのは騎士とかわらないだろう?なんとかなんないものかな」
ラビットに言われてみたりするものの、こんなちっこい手足で何ができるンだっつーの。
「死出の旅みたいに言わないでくれよ、ダグラム。ま、うまくいけば、ええと…マクファーレンたちと落ち合える。そうしたら安心じゃん」
ランクルの脚でまる二日かかるという楽園に行けばなんとかなる、そんな一縷の望みを託して俺は用意ができた荷物を見て思うことにした。