大乱闘デルタフォース5
「ファナ君、ファナ君なのか?」
思わず黒い物体に叫びかけるエバグリーンだが、それっきりファナからの応答はない。
「くそっ…電子機器があれば…」
通信無線、レーダー、衛星…どれも現代防衛に欠かせない伝達手段であり、エバグリーンは現代自衛官なのだが、この事態に全く役に立たない自分に腹立たしい。
「エバグリーン、落ち着こう。とりあえずクリムトに行こう。道すがら説明してもらおうか、女中さんたち」
加藤がボーガンに似た弓を取りに来た空の頭を、くるくると撫でた。
「若じいじ、ナイス弓です」
「おお、空よ。お前に教えてもらったお陰だ。よーしよしよし」
「加藤ちゃ~ん、私も誉めて誉めて~」
海が巨乳を揺すりながら加藤の前で頭を低くして、いいこいいこを待っていると、少し困ったような加藤の手が伸びて、嬉しさに顔を歪める。
「ん?」
「あら~?いやああん」
背後から空が海胸を持ち上げ加藤の目前に出してきて、加藤の手がぽいんと当たってたわわな果実を撫でてしまった。
「おやおや、柔らかい頭だな」
「空、海!加藤さんも乗らないでください!」
陸が二人を小突いて馬に押し返すてと、空がすちゃ…と敬礼をし、
「てへぺろ。では、陸くん、隊長に説明を頼みます」
と、悪びれもなく馬に飛び乗ると、海と一緒に幌馬車の横に着いた。
「クリムトの領地まではまだ少しかかる。急ごう」
加藤と入れ替わり陸が手綱を取り、馬を走らせる。
南の未開の地にはいくつかの道があり、セントラル寄りのクリムト領地へ一番近いルートを走ることにした。
「私たちは、ガーランド王国城のメイドとして潜入していました。ガーランド王国は宗教を根底に侵略を始めまています」
やはり…そこまで知恵の実をかじったか…。
「進軍すると聞いてどうしようかと思っていたら、この子が来て…」
膝に座る尻を撫で回してエバグリーンが、
「温かいな…生きているのか?」
と呟くと、大きなひとつ目がまるで頷くように閉じられ開く。
「白の楽園を攻撃する話が出ていると、ファナ君から話を聞いて私たちは来たのです。間に合って良かった…」
涙ぐむ陸の肩をだきよせるエバグリーンは、とりあえず揃った仲間に安堵した。
「確かに…間に合ったよ。助かった…。さすが私の娘たちだ」
「はい、それができたのはファナ君のお陰です。だから私はファナ君を助けたい」
クリムト領地へは、あと少しだ。
森を抜け低木の生け垣を抜けると人々の住む家が見え始め、人々が昼からの仕事に出始めていた。
「隊長、陸くん、クリムト屋敷に煙が~」
「海さん、馬ぱか乳ゆさ、素敵です…」
「急ぐぞ!海、空」
「はいは~い」
「がってん…」