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辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十章 大乱闘デルタフォース
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大乱闘デルタフォース5

「ファナ君、ファナ君なのか?」


 思わず黒い物体に叫びかけるエバグリーンだが、それっきりファナからの応答はない。


「くそっ…電子機器があれば…」


 通信無線、レーダー、衛星…どれも現代防衛に欠かせない伝達手段であり、エバグリーンは現代自衛官なのだが、この事態に全く役に立たない自分に腹立たしい。


「エバグリーン、落ち着こう。とりあえずクリムトに行こう。道すがら説明してもらおうか、女中さんたち」


 加藤がボーガンに似た弓を取りに来た空の頭を、くるくると撫でた。


「若じいじ、ナイス弓です」


「おお、空よ。お前に教えてもらったお陰だ。よーしよしよし」


加藤(かと)ちゃ~ん、私も誉めて誉めて~」 


 海が巨乳を揺すりながら加藤の前で頭を低くして、いいこいいこを待っていると、少し困ったような加藤の手が伸びて、嬉しさに顔を歪める。


「ん?」


「あら~?いやああん」


 背後から空が海胸を持ち上げ加藤の目前に出してきて、加藤の手がぽいんと当たってたわわな果実を撫でてしまった。


「おやおや、柔らかい頭だな」


「空、海!加藤さんも乗らないでください!」


 陸が二人を小突いて馬に押し返すてと、空がすちゃ…と敬礼をし、


「てへぺろ。では、(りっ)くん、隊長に説明を頼みます」


と、悪びれもなく馬に飛び乗ると、海と一緒に幌馬車の横に着いた。


「クリムトの領地まではまだ少しかかる。急ごう」


 加藤と入れ替わり陸が手綱を取り、馬を走らせる。


 南の未開の地にはいくつかの道があり、セントラル寄りのクリムト領地へ一番近いルートを走ることにした。


「私たちは、ガーランド王国城のメイドとして潜入していました。ガーランド王国は宗教を根底に侵略を始めまています」


 やはり…そこまで知恵の実をかじったか…。


「進軍すると聞いてどうしようかと思っていたら、この子が来て…」


 膝に座る尻を撫で回してエバグリーンが、


「温かいな…生きているのか?」


と呟くと、大きなひとつ目がまるで頷くように閉じられ開く。


「白の楽園を攻撃する話が出ていると、ファナ君から話を聞いて私たちは来たのです。間に合って良かった…」


 涙ぐむ陸の肩をだきよせるエバグリーンは、とりあえず揃った仲間に安堵した。


「確かに…間に合ったよ。助かった…。さすが私の娘たちだ」


「はい、それができたのはファナ君のお陰です。だから私はファナ君を助けたい」


 クリムト領地へは、あと少しだ。


 森を抜け低木の生け垣を抜けると人々の住む家が見え始め、人々が昼からの仕事に出始めていた。


「隊長、陸くん、クリムト屋敷に煙が~」


「海さん、馬ぱか乳ゆさ、素敵です…」


「急ぐぞ!海、空」


「はいは~い」


「がってん…」

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