表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の死体は今日もダルい  作者: 沖田。
第十章 大乱闘デルタフォース
103/226

大乱闘デルタフォース3

 エバグリーンは二人からの同時攻撃を受けて、次もなんとか凌ぐがたたらを踏んだ。


 剣道とは無縁だったエバグリーンは、こんな戦いが苦手で、近代的戦闘における有意義制は銃術であり、エバグリーンはそれに長けている。


「くっ…」


 背後からの敵に意識をしていて、前から来るユーグの剣を避け損ね、エバグリーンは剣でせめてもの頭を庇った。


「ぎゃっ…」


 ぎゃ…?私ではないぞ…そんな声は…。


 剣が降ろされ来るはずの痛みがなく、目の前のユーグが剣を落としてもんどりを打つ。


 エバグリーンが見るとユーグの右手甲に矢が刺さっていて、振り返ると加藤がクロスボーのような弓の持ち方をし、更にエバグリーンの背後を狙うユーグ隊に弓を打った。


「加藤さん!幌馬車に火矢を!」


 矢に動揺したユーグ隊の兵の顔面を殴り付け、足を掬って地面に叩きつけると、加藤に指示を出して突破口を開こうとする。


「え、火?火は…山本司令、ありますでしょうかっ!」


 幌馬車からにゅっと山本が顔を出した。


「ない。火気厳禁だ」


 思わず敬礼をした加藤も、加藤だ。


「はっ!」


「ただのしじいに、敬礼はいらん。それから、司令と呼ぶでない!」


「はっ!久々の戦場に高揚しております!」


「馬鹿者、平常心たれ!」


「はっ!閣下」


「閣下もなしだ」


 漫才か…。


 目の前にやって来るユーグ隊の小太りを蹴り上げ、加藤と山本のやり取りを目端に残し、全体を見渡す。


 幌馬車にいるのが死体だけならいいが、幌馬車内部が幻影で覆われているならばリムがどこかにいるはずだ。


「すまない、エバグリーン!」


 準備のないものは出ないらしく、エバグリーンはそんな慌てる加藤も可愛い…と思いつつ、ユーグ隊の最後の男が、ユーグに駆け寄るのを阻もうとした。


「隊長っ…。幌馬車から離れてください!」


 エバグリーンは白い服が汚れるのも構わず、転がって岩の裏に回り伏せる。


「はいぃっ、てっつはう~!」


(うみ)さん、(ちち)が揺れ揺れ、ナイス…」


「うーん、おっぱ~い!」


 幌馬車が閃光と破裂音と共に、散らばる雑多な木っ片にけたたましい叫び声と、賑やかな女たちの声がする。


「わあああ!」


「ぎゃあああ!」


「隊長、大丈夫ですか?」


 ショートカットの赤髪のスレンダーな女が、しなやかな肢体を素早く動かして駆け寄り、二刀を左右の腰から引き出すと、エバグリーンの前で構えた。


「殲滅排除の許可を」


(りく)、リムは残せ」


「は!」


 鉄はうの火薬で燃えた幌馬車に近づいた緑がかるツインテールの巨乳娘が力の抜けたスローなしゃべり方で、


()っくん、幌馬車にリムのボーイいるよ~」


と、陸に言いながらばきばきと幌を破壊して、赤髪のリムを引きずり出す。


(うみ)さん、確保よろしくです!」


「はいな~」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ